王都観光と結婚指輪
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コナーさんに見送られて車で貴族街を走って行く。
門を出たらノアのナビ通りに進む。「止めて」と言った所からは、車をアイテムボックスにしまい、ノアと手を繋いで歩いて行く。
今日のデートはすべてノアに行き先を任せているんだ。だって私、初めて来る場所だから分からないんだもん。迷子になる自信ならあるよ!屋敷はマップでチェックしたけども。
獣人が珍しいからかノアが美形だからか視線が凄い。見られてるーって分かる。ノアは気にしてないけど。普通に仕事着も格好良いんだよね。やだ私、無意識に惚気てる。頬がカッカしてきた。
「どうしたの?」
顔を覗き込まれるようにノアが見る。
「ノアが格好良いから悪いんだよ!」
自分でも意味分からない事言ってるってわかってる。ノアは嬉しそうに笑ってるけど。ペシってノアの腕を叩いた。
ノアが連れて行ってくれた所は宝石で装飾してある物を売ってる、雑貨屋さんみたいな所だった。あっ、これ絶対高い。
ノアは私の髪留めを買いたいみたい。色々頭に当ててくる。店員さんも「お似合いですよ」なんて褒めてくるから、ノアがご機嫌さんだ。
お会計の時も「良い旦那様ですねー」なんて言われて、恥ずかしい。旦那様だけども。ノアに「ありがとう」と感謝の気持ちを込めた。
今度から私の髪留めはこれになりそうだ。ノアの青の瞳と同じ色の宝石。どんどんノアに染められていく。
次の行き先は靴屋だ。おしゃれな靴を売っている。私ヒールって嫌いなんだよね。それを知ってるのか、履きやすそうな靴ばかり選んでいる。何故お前が知っている。ノア。
「だって、私のお嫁さんは活発だからね。足が痛くないようにしないと」
ただ私の行動で選んでたみたいだ。なんか凄い愛されてるって感じがして恥ずかしい。今日のノアは私を憤死させたいのか。
靴を複数買って、カーマインのお屋敷に配達させる手続きをしていた。私は慌てて「アイテムボックスで持って帰ります」って言った。ノアはどっちでも良かったみたい。
女性服を売っている店にも寄ろうとしたから「ノアからたくさん服貰ったよ!」と言って、説得した。
それから、おしゃれな喫茶店に入ってケーキを食べた。当然のごとく給餌された。負けじとノアの口にケーキを突っ込んだ。美形はどんな顔をしても美形だ。悔しい。今世の私も悪くない顔してると思うんだけど。
創造魔法で自動治癒に自動結界、飛行魔法を付与したサイズ自動調整の劣化しないルビーが付いた指輪を創造する。私のは自動治癒に自動結界が付与されたサイズ自動調整の劣化しないサファイアがついた指輪を創造する。
お互いの色を指輪にして身に着けるのだ。私は赤みがかった茶色だが、赤の色のほうが綺麗だから赤色にした。ルビーとサファイアはコランダムと言う同一の鉱石だ。同じ石を着けて、お揃いだ。
「ねえ、ノア。私の国では結婚した男女が左手の薬指に指輪をはめるの。私が作ったんだけど、貰ってくれる?」
「もちろんだよ、カヨ」
私はノアの左手を取って薬指にルビーの指輪をはめた。ノアは私の左手を取って机に置いてあったサファイアの指輪を薬指につけてくれた。
「ノア、この赤の宝石と青の宝石は色は違うけど、同一の鉱石なの。お互いの色と同じ鉱石。いつも一緒だよ」
ノアはお店の中なのに抱きしめてきた。私は前世での結婚の儀式をした事で、感動してしまっていた。周りに居たお客さんが驚いて、こちらを見ているにも関わらず。
店員さんに注意されて、慌てて店から出て来た。おかしくなって笑ってしまう。ノアは楽しそうな私を見ていた。
私はノアに指輪に、自動治癒に自動結界、飛行魔法が付与されている事を話した。ノアは嬉しそうだ。飛行魔法が気に入ったらしい。帰ったら、子供達と中庭でノアと一緒に遊ぼう。きっと楽しい。
ノアと手を繋いで、ぶらぶら散歩しながら屋敷に帰った。歩くと意外と距離がある。いい運動になった。
瞬間移動扉の事は今はコナーさんにだけ話すらしい。その内王都に働きに来ている人が里帰り出来るようにするようだ。使えるなら便利に使わないともったいないよね。
王都の屋敷で夕食をいただいた。ここの食事も美味しかった。ノアの部屋に行き就寝。今日はたくさん歩いたので、秒で夢の中に入った。
翌朝起きたら、王都の屋敷で朝食を食べて、ノアは名残惜しく瞬間移動扉から領地の領主館に仕事に行った。
私はコナーさんに領地で食事を食べるから、食事の準備はしなくていいとお願いした。コナーさんは「1日で、名残惜しゅうございます」と言っていた。
獣人だけあって、忠犬の素質があるのかな?
私はノアの部屋に行き、地球通販で姿見の鏡を購入する。それを壁ぎわに置いて、魔法使いツブラに変身する。問題なし。インビジブルを掛けて、王宮に続く道に瞬間移動する。王宮に歩いて行き、門番に王太子から貰った指輪を見せて、王太子に用事があると伝える。名前を言い待つ。孤児の子供達を見つけた時の計画を実行するのだ。
奥の詰所から獣人の兵士が出てきた。ヤバいと思ってクリーンを掛ける。獣人は変な顔をしていたが、他所に歩いて行った。そういえばノアが王宮に民を勤めさせてると言っていた。今日だけで、用件を終わらせなければいけない。何度も来たらバレてしまう。
王太子の使いの人が来て、私はその人に付いて行った。王宮の中は不思議だった。綺麗に整っているのに、迷子になりそうになるのだ。元々方向音痴の私には今どこにいるのか全然分からない。マップだけが頼りだ。
豪華な応接間に案内された。王太子が待っていた。私は胸に右手を当ててお辞儀して挨拶する。
「お久しぶりでございます。いきなりな訪問で会っていただき感謝致します」
「堅苦しい挨拶はいいよ。普通に話して。あの時貴方に指輪を渡しておいて良かった。また会えたのだから」
「一度要らないと言った指輪を使わせていただき、感謝いたします」
「そんなつもりで言ったんじゃないよ。またツブラ殿に会えて嬉しいだけさ。ソファに座っていいよ」
「失礼します」
「それで、今回王宮に来て私に会いに来てくれた用件は何かな?」
「個人的なお願いで国を騒がすことになるかもしれません。今回も対価を払わせてもらいます。お願いとは、孤児院が無い街町に孤児院を作って孤児の子供を保護していただきたいのです。あれから沢山の場所を見てきました。孤児院が無い子供達が、働いたり、物乞いのような事をして、痩せておりました。満足に食事も取れないのです。私が見つけた数人は保護いたしましたが、この国は広いです。今日にも、死んでしまう子供がいるかもしれないと思うと、心が痛いのです。お願いします。国全土に孤児院の設立をお願いします」
私は頭を下げた。とても大きなお願いをしているのだ。許しがあるまで頭を上げる事は出来ない。
「頭を上げてくれないか?僕の権限では、その願いが叶えられない。父上に相談しなければならない。おい、君!父上を呼んできてもらえるか?火急の要件だと言ってくれてもいい。ツブラ殿父上を呼びに行かせたので、頭を上げてくれ」
私は頭を上げた。こんなに親身になって王様まで動かした王太子に嘘をついている事に胸が痛む。王太子様には姿を変えている事を教えていいんじゃないだろうか。
「王太子様、私は出会った時からずっと嘘をついて来ました。申し訳ございません。私の自由の為です。私可愛さに嘘を付くのが苦しくなって来ました。厚かましいお願いですが、許していただきたいのです。家族にまで、その罪を罰さないとお約束して下さい。お願いします」
私は床に土下座した。
「ええ!?ツブラ殿立って下さい。その罪を知らなければ、罰する事も出来ないです。何の嘘をついていたのですか?」
「私は姿と名前を偽っております。獣人には、変身しても分かるようですが、平穏に暮らしていきたいのです」
「変身!?そんな事が出来るのですか?それでは貴方の本当の姿を見せて下さい。名前も教えて下さい」
私は立ち上がった。人払いをお願いする。王太子様は私を信じて下さっているのか、人払いをしてくれた。
私は手甲を外す。王太子様が息を呑んだ。神官の印をご覧になったのだ。姿をカヨに戻す。王太子様は驚かれた様子だ。
「これが本当の姿です。もう1つ民に姿を偽っております」
私は真面目な治癒師に変身した。
「もしかして、民の間で有名になっている、神官の銀貨1枚治癒師か?」
「そうでございます。申し訳ございませんでした。治癒師の姿の方はこのままの姿で、治療を行いたいと思っております。話題になりすぎましたので」
「地位や名声を求めるのでは無いのなら、その方が暮らしやすいだろう。許す」
「ありがとうございます」
私は深く頭を下げた。
「本当の名前は何て言うんだい?」
「2ヶ月前に結婚するまでは、カヨ・ツブラヤでした。今は結婚しまして、カヨ・カーマインになっております」
「カーマイン家か!誰と結婚をしたのだ?」
「当主のミリアン様の弟、ノアール様です」
「そうか!めでたい!カヨ殿も貴族の一員だな」
「恐れ多いことながら」
「大丈夫だ。全て許す。一民だったのならば、権力者が怖かろう。神官の印も出ているし、悪い事はしていないのだろうしな」
「ありがとうございます」
私はまた深く頭を下げたのだった。
それから王様が来るまでは世間話しだった。どうやってノアに知り合ったかの所では笑われた。
私の能力が凄いのは何故か聞かれて素直に運命神様と眷属メンリル様のおかげと話しておいた。だから神官の印があるのかと言われたが、これはイレギュラーだと話しておいた。心の底から神に祈ると神官の印が出たと言ったら、王太子様も試されていたが無理だった。
他には何が出来るか聞かれたので、カメラとフォトプリンターを出した。王太子様にカッコいいポーズと顔をして下さいと言えば、さすが人に見られる事に慣れた王太子様。1級品だった。被写体が良いので楽しくなり、カメラでパシャリと数枚撮って、フォトプリンターで大きくプリントしていく。
A4まで大きくなった写真を額に入れると、あら不思議、私が撮ったと思えないくらいモデルがいいから、凄い作品になってしまった。王太子様にすべてプレゼントした。喜んでいらした。
待ちに待った王様がいらした。右手を胸に置き、深く頭を下げる。王様が王太子様に私の事を確認して、姿を変えていた事もお話しされていた。今はカーマイン性でもある事を。
王太子様が机に置かれていた写真に気付き、話しが脱線したけども、私が話した事はすべてお話しになった。
「カヨ夫人よ、話しは分かったが、どうやって貴族達を納得させるかが問題だ。王族だけで政治は出来ないからな」
「何か物で対価を出せとおっしゃるならば、ご用意します。どうにかなりませんか?子供達の為です」
皆で、黙ってしまう。王様が次の会議の議題にすると言った。今はそれで満足するしかない。もう一つのお願いだ。
「私は、王都で銀貨1枚で治療したいと考えております。ですが王都は人が多すぎます。どうにか数日に分けて治療出来ないでしょうか?」
「それなら協力出来る。日にちが決定したら、カーマインの屋敷に人をやっていいかね?」
「はい。それでお願いします」
「話しが終わった所でカヨ夫人。さっきのカメラとプリンターを売ってはもらえないか?」
「あれなら差し上げます。紙は専用の物を使わないといけないので、沢山置いていきますね。ついでにアルバムも」
「ありがとう。母上が喜ぶ」
「カヨ夫人にはお礼を言いたいと思っていたのだ。毒無効の魔道具を貰った事で、温かい食事を摂れることが出来ている。ありがとう」
「勿体ないお言葉です」
私は王太子様と王様にカメラとフォトプリンターの使い方を教えて、大量の紙と額縁、写真立てやアルバムを使い方を教えて帰った。
「カヨ夫人は凄いな、メルセ」
「はい。いつも驚かされます」
「神官の印も本物だしの、心も清らかなのだろう」
「お人よしな感じは受けましたね。まぁ母上にお土産ができました。今日は良しとして、父上、今度の会議頑張らなければいけませんよ」
「そうだな」




