孤児院で生活 10
クリーンを自身にかけて、厨房の裏口から中へ入ると、バズさんが昼食の配膳をしていた。慌てて裏口から顔を外に出して「ルイーネさんフランさん昼食ですよ!」と叫ぶ。2人共裏口から入って来ようとしたので、慌てて2人にクリーンをかけた。
並んでる子供の横をすり抜けて、最後尾に並ぶ。配膳して貰ったら、食器を持って席につく。何だか席順も分かって来た。自分の周りだけ。
料理はすいとんみたいな物だ、ちょっと違うけどおいしい。あったかいからホッとする。
昼食の片付けを終えて、モニカさんと散髪部屋に行く。もう怒ってないようだ。よかった。
年長さんに手を引かれて来た子は、2・3歳くらいの子達だった。わきの下を持って補助椅子の上に座らせる。
じっとしているのが辛いようだが、耐えてもらう。なるべく早く切り終わる様に集中する。着替えも手伝う。年長さんを呼んで服と靴などを持っていってもらう。あと、子供3人だ。
次の子は絶対2歳くらいだ、抱っこして補助椅子に座ってもらう。小さいから早く散髪が終わる。着替えも補助する。足が小さい。この子も年長さんに連れて行ってもらう。次の子供で最後だから、モニカさんにカルロスさんの散髪をお願いする。嬉しそうに呼びに行った。
最後の子供は、1歳と数ヶ月といったところか、かわいいねーと抱きしめながら、切なくなった。なんで、こんなに可愛い子達が孤児院にいるのだろう?親にも事情が有るのかもしれないけれど、可愛いざかりの子供の成長を見れないのは不幸だ。
抱っこで子供を椅子に座らせあまり伸びてない髪を切る。すぐに終わり服を買う。小さい子供服は可愛いものが多くて悩む。何とか絞り込み着替えさせる。うん、かわいい。年長さんに迎えに来てもらう。
あとは大人組。最初に目に付いた人に来てもらおう。「ルンカさん、来て下さーい!」と呼ぶ。強制散髪。
「長さはどのくらいがいいですか?」と聞くと「揃えるくらいで」「重さはどうしますか?」と聞くと「重さ?おまかせします」クエスチョンマーク飛んでたよ。分からなかったんだな。でも任された。「前髪どうしますか?」と聞くと「今のままで」と言う。なんか分かった、面倒くさいんだなこの人。シンプルだけど、キレイに見えるように切っていく。毛量多いな……。大分すいた。ルンカさんは頭が軽くなったようで首をふりふり去って行った。
次は誰だーと。「ルイーネさん、こっちに来て下さーい!」と呼ぶ。椅子に座ってもらい、準備する。ルイーネさん癖毛なんだよな。「どんな髪型にしますか?」と聞くと「髪型とか分からないからなぁ。任せます」と言われた。おまかせ、美容師さんが1番困ると風の噂で聞いた事がある。ホントかウソかわからんが。肩甲骨の下あたりだから揃えてすくか。ルンカさんと同じ。ちょっとルイーネさんの頭難しい。あるんだよ、難しい頭って!ほどほどに切り揃えて、終わり。
最後はフランさんと思ったらモニカさんが切っていた。
気を取り直して、院長。バズさんは料理中だから明日ね。院長を探知!めっちゃ畑にいるじゃん。呼びに行こ。
「院長。髪の毛切りますよ。行きましょう」
「いえ、私はべ「院長!全員切ってるんですよ」
「わかりました。宜しくお願いします」
準備完了。
「院長、髪の長さどうします?」
髪長いんだよな院長。
「考えた事がなくて……いつもは自分で切れるくらいの長さにしていたもので」
このパターンも困る。
「お任せですか?」
「そうですね、お任せします」
ロングヘアの人がキレイに見えるのは腰の辺りだと個人的には思うので、そのあたりで切り揃えましょう。長い髪を一気に切るの気持ちいい。あとは髪をすいて、終わりー。
今日はたくさん切ったな、掃除掃除。もうすぐ夕食だから少し急ぎめに。
夕食だ。ご飯と具沢山スープ!スープが初めての味で、ちょっとだけ辛い。でも栄養たっぷりって感じです。
もぐもぐ食べているとルイーネさんが私に
「さっき洗濯物をとりにフランと行ったんだけどね、乾いた服がふわふわになってたんだ!乾燥の魔道具凄いな!」
フランさんも思い出して気分が高揚したのか顔を、食事からあげ、こちらを見て何度も頷いている。大人組は固まって食事しているから、他の人も興味をもったのかなんだなんだとルイーネさんに聞いている。ルイーネさんは今日魔道具を使ったことを得意げに話している。
大人組が私を見てきたので、「食事が終わったら見学しますか?」と聞くとわっと嬉しそうな声が上がった。何故だ?と思ったらモニカさんがこそっと「魔道具は珍しいからみんな気になるのよ」と教えてくれた。
夕食の片付けが終わり、みんなで洗濯場に行く。ミーチェちゃんも一緒だ。薄暗いので頭上にライトを浮かせて歩く。洗濯場につくと、鍵を開けて中を見ている。何人かが、いきなりついた明かりに驚いたようだ。
私はバズさんに声を掛けて石鹸の木の前に連れていく。「バズさんこの木の実は石鹸になっているので、厨房で洗い物があったら使って下さい」と教える。バズさんは「こんな木初めて見た」と興味津々だ。
他の人も来たので、実の事を話す。洗濯、掃除、身体も洗える事を言うと、みんな驚いていた。暗くなったのですぐ解散した。
部屋に帰ると異空間住居にカルロス一家と入りクリーンをかけて家に入る。みんなで飲み物を飲みながら、リビングでまったりする。
カルロスさんは髪が短くなり、もっさりしていた頭がシュっとしている。3割カッコよくなった、まだ痩せているが、文学青年って感じ。実態は元農家だけどね。
そういやモニカさんの髪切ってないなぁ。明日切ろう、ちょっと雑談してから「おやすみ」する。2階に行ってから着替えて就寝。
朝日が柔らかい。今日は寝坊せずに起きれたようだ。着替えも、この服だけじゃ駄目だなぁ。クリーンしてるからついつい、いつも同じ服着ちゃう。旅装なんだよな。
1階に行き、身だしなみを整えるとカルロス一家に挨拶し一緒に厨房に行く。いつもと同じだけどちょっとアレンジしてある朝食を食べた後、片付けを手伝う。
バズさんに散髪するからと一緒に来てもらい、バズさんの髪を切る。奴隷商に長くいたのか男性としてはちょっと長い。短く切る事を了承してもらい、散髪していく。
ちょっと時間はかかったがスッキリしたと思う。散髪後はクリーンをしっかりめにかける。料理人さんだからね、料理に髪が入っては困るのだ。「ありがとう」と言ってくれ、バズさんは厨房に帰って行った。
あとはモニカさんだ、勉強部屋に呼びに行く。ゆっくりドアを開け、小さい子供と遊んでいるモニカさんに声を掛けて連れ出す。
モニカさんの髪は結んであるから分かりにくいが、熊に襲われた時に背中を切り裂かれた事で、少し髪がまばらになっている。「きれいに切り揃えてくれ」と言われたので、結構バッサリ切る。肩の下くらいの長さに揃えた。
この世界の女性はショートの髪型の女性は少ない。服装も膝下のワンピース姿の女性が多い。もしくはチュニックにして、下にズボンを履いているかだ。まぁ女性らしい人が多い。
モニカさんは「頭が軽くなったわ」と笑っていた。「カルロスに見せてくる」と足取り軽く勉強部屋に行った。仲が良い事だ。
孤児院の人の散髪が全員終わったので。散髪に使った道具を全部片付ける。椅子2つと衝立もだ。何だか寂しくなったので、勉強部屋に行くことにする。元来私は寂しがり屋なのだ。
お昼まで1番小さい子供を抱っこして過ごした。まぁ暴れて元気だったが。途中でおもらししたのでクリーンをかけてキレイにした。かなり焦った。院長がクリーンを付与する時嬉しそうだった訳が分かる様な気がした。子供が多いと、おねしょする子もいるだろう。私やカルロスさん一家は夜と朝、異空間住居にいるが、案外孤児院の朝は戦争なのかもしれない。
勉強が終わり昼食だ、年長さんが小さい子供達を連れて行く。孤児院の子供は逞しい。大人がするような事を率先して自分達が行う。頼もしいような、早く大人にならざる終えなかった環境のせいなのか。
昼食はもちもちしている団子のようなものだった。穀物屋でもバズさんが何種類か買ってたからその中に米粉の様な物があったのかもしれない。日本人は餅が好きだ。私も好き。またリクエストしたい食事だ。
昼食が終わった後、院長に「新品の服を買いたいので着いて来てほしい」と伝える。院長は「今は孤児院に大人が沢山いるから良いですよ」と言ってくれた。
院長に店の場所を聞きながら一緒に歩いて行く。散髪も終わり、お金の目処もついたから明日から私とカルロス一家に勉強を教えて欲しい事を言う。
院長は少し考えていたが、ルンカさんに教えて貰ってはどうかと提案して来た。ルンカさんは元先生だ、適任かも知れない。了承をして、ルンカさんに伝えて貰うようにお願いする。
店に着いたようだ。中に入ると、品が良い店構えだった。店員さんが寄って来たので院長の背中を押して「この女性の服を3着選んでほしい」と言った。院長は焦った顔をして「カヨさん!?」と叫んでいたが、店員さんに連れられて行った。
私も自分の服を選ぶ。店員さんがもう1人寄って来て「お1人で大丈夫ですか?」と聞いてくれたので、着心地の良い服を2着選んで欲しいとお願いした。
院長も私も服を選び終わって、お会計をしていたら、「鞄はお持ちですか?」と聞かれた。持ち帰り袋は別料金取られるようだ、アイテムボックスで持って帰った。
店で騒がなかった院長は帰り道で「帰ったらお金をお支払いします」と言ったが、今孤児院に居る大人全員にも私が服を買ったと伝え、遠慮しなくていい事を伝えた。それを聞いた院長は顔を赤くして、少しはにかんだ。
役場の調査員の人が来た時に、今の孤児院出身と言っていたので、新しい服はもしかして初めてなのかも知れない。
何となく院長が喜んでくれて良かったなと感じた。
孤児院に帰って来て服を院長に渡す。「ありがとうございます」と受け取ってくれた。
まだまだ夕食まで時間がある。院長に子供達、特に年長さんと個人面談をしないか?と提案してみた。
今の孤児院には、料理人・元先生・元冒険者・元農家とフランさんは元主婦だ。多彩な人材がいる。この世界は15歳で成人だ、希望の職業に就くのも経験があるとないじゃ全然違うだろう。と院長に言うと是非にと言っていた。
散髪していた部屋に美容室の椅子を向かい合わせで置くと、院長先生に歳が上の人から呼んで貰う。その間私は地球通販で1人用の机とセットの椅子を買い院長の席の後ろに置く。
院長と子供が来た。私は紙と鉛筆を出して書記に徹する事にする。エリックくんだ。やっぱり1番歳上だったか、。院長とエリックくんの話しが始まった。名前と年齢、将来着きたい職業を紙に書いていく、終わったら次に歳が上の子供を呼んで貰う。それを繰り返して行く。
畑の子供達が帰って来たので、面談を終わりにする。幸いこの孤児院の子供達は午後いっぱい畑作業をしていた。体力はあるはずだ。書いた紙を院長に渡して言う。
「院長、歳が上の子供達はもう時間が余りありません。教育は明日の朝からでも始めるべきでしょう」
「そうですね……。その様にします」
私と院長は夕食に向かった。
私はまだこの世界の事を余りにも知らなすぎる。アドバイス出来るのも、これまでか。後は、院長に任せるしかない。
今日の夕方は野菜が入った小さめのお好み焼きみたいな物と野菜と肉のスープだ。以外と美味しい。
食事が終わったら、院長が奴隷4人に残ってほしいと言っていた。職業訓練の事だろう。
夕食の片付けをしたら、わたしとカルロスさん一家は部屋に帰る。異空間住居に行きリビングのソファに座り、みんなに飲み物を出し報告をする。
「お待たせしましたが、明日から私達の勉強が始まります。朝食が終わったら、勉強だと思っておいて下さい。先生はルンカさんです」
返事が帰って来る。「ミーチェちゃんもですよ」と言うとミックスジュースを飲んでいたミーチェちゃんが、んっ?とした顔で見てきた。かわいい。
少し雑談して、おやすみした後2階のベッドの上で地球通販を開き、食パンの3斤用型を沢山買う。パン切り包丁も2本買う。明日バズさんに渡そう。
着替えて寝る、おやすみ。




