7、side小鳥遊美春
他人視点です。
それと、小鳥遊美春の父親は繁です。
なんかもう、本当に申し訳ありません!
私の名前は 小鳥遊美春!
私、今日からお兄ちゃんの通う学園の小学生になります!
お兄ちゃんは私の3つ上でとっても優しくて頭もいい自慢のお兄ちゃんです!
ふふふ、でね、今日はそのお兄ちゃん、入学式見てくれるんだって!
…今日から小学生…か。
友達、出来るといいな…。
朝食を食べて制服に着替える。
実はこの制服はとても気に入ってたりする。
うん!やっぱりこの制服とっても可愛いや!
着替えたらお父様の車に乗って学園に出発!
学園ならきっと大丈夫だよね?
学園に着いて校門を潜ると沢山の親子がいる。
今年は新入生が多いんだって!
なんでも4人の王子様が通うんだとか!
男の子にはあんまり興味ないし、お父様が怖くなっちゃうから実はどうでもよかったりするんだけど、王子様って聞くとやっぱり気になっちゃうよね!
ふらふらと人だかりに近付いていく。
おー、あれが鷲宮様かー。
周り睨みつけてて感じ悪いなー。
なんで人気者なんだろ?
まぁ、理由かっこいいのとお家が立派だからだよね。
鷲宮様の傍にいる令嬢さん達が怖いからそろそろ離れますか。
お次は…あっ!鷺沢様だ!
…なんで私は鷺沢様には近付きたくないなんでだろ?
初対面なんだけどなー?
どうした足よ!震えてるぞー!落ち着けー!
…ああ、女たらしだからか。
周りに女の子が沢山いるのに他の女の子を口説くなんて私には不快にしか感じないんだよなー。
顔は見たしさっさと離れよっと。
絡まれたら面倒だしね。
鷺沢様から離れてふらふらしてたら、これまたかっこいい子発見!
あれはたしか…白鳥様だよね?
無邪気な笑顔ではしゃいでる、随分と元気だなー。
私のテンションが低いだけかな?
あれ?そういえば白鳥家の子は双子って聞いてたけど、あと一人はどうしたんだろう?
うーん…あ、たしか誰も見たことがないんだっけ?
普通幼稚園とかに一度くらいは行くだろうから誰かが知っててもいいはずなんだけど…。
まぁいいか、それにしても…来てすぐなのに大人気だなー。
あと一人は知ってる。
鶴岡家の御曹司、 鶴岡洸。
あいつは絶対に許さない。
あいつは幼稚園で私や友達だった子をいじめたり脅したりしたくせに、やめてと言えばさらにしてきた。
だから私は先生達に言ったらあいつは注意されたけど、私を逆恨みして嫌がらせをしてくる。
表面上は友達として、嫌がらせをするために近づいてくる。
かっこいいし家柄も立派だから誰も疑わない、むしろ私が悪者にされてる。
そしてあいつは言うんだ、「美春ちゃんは本当はいい子なんだよ」って。
友達なんかじゃない、あいつは悪魔だ。
そんなやつと同じ学園に通う事になるなんて…嫌だなぁ…。
お兄ちゃんが私を守ってくれるって言ってくれたけど、学園ではなるべく関わらないようにしたいなぁ…。
はぁ…。
入学式なのに憂鬱な気分になりながらクラスに向かう。
少し歩くと教室を見つけて中に入る。
中にいるのは…8人か。
この中で友達になれそうな人はいないな、女の子は同じ幼稚園の子だし、あとは男の子だし。
やる事もないのでぼーっとしていると、だんだんと人が集まってくる。
私は目立ちたくないので壁側の席にいる。
今のところ、私の傍に座ろうとする人はいない。
…幼稚園の頃の悪評のせいなんだろうなー。
なんで同じ幼稚園出身の人が沢山いるんだろ?
みんな私と同じ、金持ちだからか。
だんだんと悲しくなってきて泣きたくなってきた時に隣に席に女の子が座ってきた。
…見たことない子だ。
綺麗な銀髪、ものすごく白い肌、とても細い体、そして、一番特徴的なのはなんにも見ていないかのように暗く澱んだ瞳。
一体何があればこんな風になるんだろう?
「初めまして、私は日陰って言います。庶民だけど、これからよろしくね?」
じーっと見ていたらその子から話しかけてくれた。
へー、日陰ちゃんって言うんだ、珍しい名前だなー。
庶民って言ったけど、この学園に初等部から通う子はお金持ちしか許されないんだけどな…。
あ!自己紹介しなくちゃ!
「う、うん!私は小鳥遊美春って言うんだ!家はオモチャを作ってる会社を経営しているんだ!庶民だとか関係ないよ!御令嬢らしくないけど、これからよろしくね!」
「うん!あの、それで…、私、友達がいないの…友達になってくれる?」
ちょっと焦りながら自己主張したら日陰ちゃんが早速友達になろうって言ってくれた!
なんだろう?無表情なのに照れてるように感じる…。
意外と明るい子なのかもしれない。
どのみち可愛い子は大歓迎だけどね!
「いいよ!これからよろしくね!日陰ちゃん!私も名前で呼んでいいよ!」
「ありがとう!よろしくね!美春ちゃん!」
「いやー、仲良くできてよかったよ。ぶっちゃけさ、最初は…というか今もなんだけど無表情だからもしかしたら仲良くできないかもなぁって思っちゃったよ」
「…目が死んでるし無表情でも話しますし感情豊かですから」
「ご、ごめん…」
「いいですよ、美春ちゃんとは友達になったんだし、これから分かってもらうから」
「えへへ、りょーかいだよー」
若干ムスッとさせちゃったけど友達になれた!
やったー!
それから私は日陰ちゃんと色々お話していた。
話してて気付いたのは日陰ちゃんは基本的に明るくて優しくって若干大人びてるって事。
時々難しい言葉を言うから混乱しちゃうけど、すぐに気付いてしどろもどろになりながら説明してくれるとことか可愛い…。
でもなんだろう…?時々何かを覚悟するように気合いを入れてるのを感じる。
入学式かパーティーがあるから緊張してるのかな?
あ!それこそ入学式がそろそろだ!
いつの間にか教室の子もいなくなってる!?
「おっと、日陰ちゃん、そろそろ入学式だよ、一緒に体育館にいこっか!」
「うっ…ぐすっ…、うん、行こう」
あれ!?泣いてる!?私なんか悪い事しちゃった!?
「な、なんで泣いてるの!?」
「初めての友達と…美春ちゃんの優しさに感動しちゃって…」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟なんかじゃないよ」
「と、とりあえず泣き止んでさ、入学式いかなきゃ、ね?」
「うん、ごめんね、すぐ泣きやむから」
体育館に一緒に行こうって言ったら日陰ちゃんは突然泣き出したからびっくりしちゃったけど、感動しちゃったなんて大袈裟な気がするけど、私みたいになんかあったのかな?
「これでよしっ!美春ちゃん!一緒に行こう!」
考えていたら日陰ちゃんが突然大声をあげた。
無表情で大声出されるとびっくりからやめてほしいなー…。
見た目は人形みたいなのに、意外とやんちゃでフレンドリーなんだよね、日陰ちゃん。
まぁ、そんなとこも好きなんだけどさー。
「全くもう、びっくりさせないでよー」
もう周りには誰もいないし急がないとね。
これからの学園生活、楽しみになってきた!
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入学式が始まる…。
出席番号順という事で日陰ちゃんとは別々だ。
…あれ?私、日陰ちゃんの苗字知らないや。
後で聞こうかな?
でも日陰ちゃん、教科書とかノートとか[日陰]とだけ書いてて苗字書いてないんだよね。
ハーフとかで苗字が長過ぎるとかかな?
本人が言いたくないのかもしれないし、聞いてからギクシャクしちゃったりするのは嫌だし聞かない方がいいか!
そんなこんなで入学式が始まりました!
めんどうだから寝よう!おやすみなさい!
…おはようございます。
今は入学式の閉会式を聞いてます。
入学式の間はぐっすり寝ていたみたいで先生に起こされた時にはほぼ終わっちゃっていました。
日陰ちゃん、いるかな…?
あ、いたいた!肌が異常なくらい白くて銀髪だからものすごく目立ってる!
「おーい!日陰ちゃーん!」
「美春ちゃん!」
日陰ちゃんは私に気がついて走ってくる。
死んだ目で無表情のまま…。
これが可愛い笑顔とかなら微笑ましいシーンになるんだろうなー。
別にそれが嫌だってわけじゃなくて、日陰ちゃんだなーって思っただけだからね!
「入学式は退屈だったねぇ…。一緒に教室に戻ろっか」
「うん!一緒に戻ろう!」
日陰ちゃんとお話しながら教室に戻る。
日陰ちゃんの周りをくるくるしたりしながら話してて気づいたんだけど…。
日陰ちゃん、目立たないようにしてても分かるくらい体中に痣があるし、細いなって思ったけどそんなんじゃすまないくらい骨が浮き出てる。
ふざけたふりして抱きしめてみたり持ち上げたりしたけど、力を入れたら折れそうなくらい骨が浮き出てるし、私でも少し強めに力を込めれば持ち上がるくらいとっても軽い。
ねぇ、日陰ちゃん。
日陰ちゃんに一体何があったの?
日陰ちゃんは本当に明るく楽しそうに話してくれてるけど、気にしているからか段々と無理してるんじゃないかって思っちゃう。
後でお父様に話してみよう。
日陰ちゃんには迷惑かもしれないけど、このままにはしておけないよ…。
日陰ちゃんの事ばかり考えていたらいつの間にか教室の中だ。
私、考え事しながらなにかするスキルがあるのかもしれない。
「きゃー!鷲宮様よ!」
「鷲宮様と一緒のクラスになれるなんて!光栄だわ!」
一人の男子が教室に入ると同時に女の子達が一斉に黄色い声をあげる。
あ、あれは鷲宮様だ、最初に見た時と同じで睨んでばっか、怖いなー。
それでも沢山の令嬢が集まるんだから家柄とイケメンはすごいよなー。
ま、いくら鷲宮様でもお兄ちゃんには敵わないけどね!
その人気だけは認めよう!
「…鷲宮様は大人気だねー」
「美春ちゃん、気になるの?」
あ、日陰ちゃんが隣にいるの忘れてた。
日陰ちゃんはああいうのに興味なさそうだけど、意外とあったりするのかな?
とりあえず、今は鷲宮様が気になるという不名誉を取り消してもらうよー。
「いや、私ああやって女子から大人気のイケメンさんは苦手だったりするんだよね…。もしかして日陰ちゃんは気になったりするの?」
「いやまったく。むしろ関わりたくないです」
「あはは!そんな気がしたよ」
やっぱり日陰ちゃんは興味無いんだ。
日陰ちゃん、あの鶴岡にも興味ないといいな…。
好きなんて言われたら、友達でいれないかもしれない。
「おーい、お前ら早く席につきなさーい」
担任になるんだろう先生が教室に入ってくる。
見た目は暑苦しいけどさっぱりとした先生だ。
いい先生そうでよかった。
先生はパーティーについて幾つかの注意事項を言うと立ち去っていく。
私は日陰ちゃんとパーティー会場に向かった。
理由はお兄ちゃんに会うためだ。
今回のパーティーでお兄ちゃんは一年生を見て将来のお嫁さんを探したり仲良くなれそうな子を探すんだとか。
お兄ちゃん、お嫁さんは私でいいよね?だから探さなくていいんだよ?
パーティー会場に着いてお兄ちゃんを見つける。
うん、お兄ちゃんが学園一番かっこいいよ!世界一だよ!
おっと、日陰ちゃん紹介しなくちゃ。
「おーい!兄ちゃん!」
「ん?ああ、美春か。どうしたんだい?」
「あのね!友達が出来たの!日陰ちゃんって言ってね、庶民だけど私の大事な友達だよ!」
「初めまして、美春ちゃんのお兄さんですね?美春ちゃんとは仲良くさせてもらってます。えと、これからよろしくお願いします」
「ああうん、君が日陰ちゃんだね?そんなに畏まらなくてもいいよ、うちは家柄だとかそんなことはあんまり気にしていないからね、むしろ何かと暴走しちゃったりする妹だけど仲良くしてあげて」
「はい、喜んで!」
「ちょっ!?兄ちゃん!?私の評価をさげるのはやめてよね!もうっ!」
…それとお兄ちゃん、日陰ちゃんを見て一瞬え?って考えたよね?
普通は気付かなくても私、わかっちゃうからね?
日陰ちゃんは無表情だし目が死んでるけどいい子だから見た目で判断しないでね?
…後でお兄ちゃん抱きしめながら、日陰ちゃんについてゆっくり話すとしよう。
「大丈夫、私は何があっても美春のそばにいるから」
「日陰ちゃん愛してるよ~」
「美春ちゃ~ん、私もだよ~」
「あっはははは!仲良いようでなによりだ!入学おめでとう!パーティー楽しんでいってね!」
「「はーい」」
お兄ちゃんとお話出来て私の心は満ち足りております!
話し終わった後、日陰ちゃんキョロキョロして比較的目立たない席に座ったので私も座る。
このまま開始までのんびりと雑談をしながら過ごしますか。
っと、その前に。
「日陰ちゃん、ちょっとトイレに行ってくるねー」
「うん、いってらっしゃい」
お父様に日陰ちゃんの事をお願いしないとね。
会場を出てお父様のいる場所に向かう。
たしかこの辺にいるんだよね…?あ、いたいた。
一応大人の人達の前だしお嬢様口調にしなきゃね。
「お父様!」
「む?おお!美春じゃないか!どうしたんだ?まさか…いじめら…」
「それはないですわ、お友達も出来ましたし」
「そうか!それはよかった!」
「それでお話…いえ、お願いなのですが、よろしいですか?」
「そうか、わかった。…悪い!娘のお願い聞いてくるわ!」
お父様は大人同士の話を切り上げて人の少ない場所に移動する。
真剣なのがわかったんだ、流石お父様だ。
「それで、どうかしんだ?」
「そのお友達、日陰ちゃんって言うんだけど、なんか普通じゃないの」
「日陰?…(たしか白鳥家だったな。そんな娘が私の娘と友達だと?)」
「はい、それでお願いというのは日陰ちゃんを助けて欲しいの」
「…状況を短めに説明してくれ」
「やせ細っていて、目が死んでいて、肌が異常なくらい白くて痣だらけ、可愛い」
「つまり、虐待している…と?」
そうじゃないといいけど、半分以上確信している。
「うん、だから助けてあげて」
「…後でその日陰ちゃんに会いに行こう。今は部下に情報収集させる」
しばらく考えたお父様は私にしぶしぶだけどOKしてくれた。
…お母様が「あなたのお父様はオモチャ会社社長だけど、実際はもっとすごいのよ。だから誇りに思いなさい」って話してくれたのを思い出した。
「ありがとうございます。私は会場にもどりますね」
お願いはお父様がなんとかしてくれるだろう。
私は席に戻って日陰ちゃんとお話の続きをすることにした。
しばらく話していたらパーティー開始の時間になった。
ふふ、日陰ちゃんと美味しい料理をたーべよ!
私日陰ちゃんとは美味しい料理を食べようとしていると、不意に背筋に悪寒が走る。
「初めまして、私の名前は鶴岡充っていうんだ。それでこの息子は洸こうという、ところで、君達のテーブルに息子を混ぜてもらっていいかな?いい席が見つからなくてね」
…そんな…なんで、なんで鶴岡が…。
続きます




