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頑張って書いていきますので、よろしくです。

誤字、脱字、そのほか意見等あればお願いします。

「ああ、やっと終わった…」


 残業を終えた私は背を伸ばし呟く。

 時計の針は既に11時を過ぎており、周りには誰もいない。


「いまごろみんな飲み会で楽しんでいるんだろうなぁ……」


 楽しんでいるだろう同僚や上司を想像し溜息を吐く。

 別に呼ばれなかったわけじゃないが、人間不信気味な私は飲み会参加を断ってしまい、仕事を押し付けられてしまった。

 その代わり明日は休みを貰えたので文句はない。


「あーあ、リア充共め、爆発してしまえばいいのに」


 私は現在42歳で独身で、40を超えた頃にはもう結婚は諦めた。

 告白はいままでで二回程したことはあるが、酷い断られ方をされ、いじめられたりもした。

 それもあって人間不信気味になり、人と近い距離間で付き合うことに恐怖感がある。

 自分で言うのもなんだがコミュ障ってわけじゃないし、学生時代の頃は頑張ってモテようと努力だってした。

 顔は平均的だし太ってもいない。


 だがどうしてモテなかったかというと、部分的な醜さと、それによって捻くれてしまった私の性格だと思う。

 まず歯並びがとても悪かった。

 そのせいで子供頃仲良かった男子に「お前って笑ったらキモいよな」と言われて口を開かずに笑う努力した。

 努力の結果、ほとんどの感情を抑えるようになり、笑わないようになったし、無表情を貫いて感情を出さなく出来るようになった。

 最終的にはいつも無表情だったから「不気味」なんて言われてしまったけどね。


 それともうひとつ原因があって自分を高め過ぎたことだ。

 恋愛絵本や恋愛小説、乙女ゲームを小さい頃から好んでいた私は自分の醜さをチャラに出来るよう様々な自分磨きに力を入れていた。

 小学生の頃から真面目に勉強して有名大学を4位で卒業出来るほどだ。

 ほかにも料理やお菓子作り、裁縫や礼儀作法も完璧に出来るようになった。

 夢見がちだった私はダンスなんかも出来るようになっていた。

 まぁ、運動会のフォークダンスで全力を出した私は男子にドン引きされてしまったわけだけどね。



 なんかだんだんと鬱になってきたからこのくらいで暗い自己紹介はやめとく。

 今考えるべきは休日の過ごし方だ。


「うーん、積んでた乙女ゲームは完全クリアしたし、新しい乙女ゲームでも買うかな」


 荷物を纏めた私は会社を出て車のある駐車場に歩く。

 信号が点滅して機能していない交差点の横断歩道をのんびり渡る。

 あ、トラックが私のとこにすごいスピードで向かってくる…。


「え!?あの運転手寝てるじゃん!?」


 ――――――ガンッ


「あ…」


 目の前が……暗く………なって…………




======================




 ――――――パンッ!


(痛っ!)


 突然右の頬にするどい痛みが走る。

 え?なに?なにが起きたの!?


(なんなのこれ!?私トラックに轢かれたよね!?)


 恐る恐る目を開けると目の前には知らない女の人がこちらを睨みつけている。

 20代くらいだろうか?とても若く見える。

 少し周りを見渡すと、壊れたおもちゃを前に泣いている小さな可愛い男の子とその子を宥めながらこちらを路傍の石でも見るような冷ややかな視線を向けてくる男の人がいる。

 え、銀髪碧眼ってどこの外国人ですか…ってそれどころじゃないか。

 あとはこちらに向けて残念なものをみるかのように見てる人が…3人か。

 この人たちは服装から察するに執事やメイドさんかな?今見ただけでもこの家はすごい豪邸だってわかるし。


 とりあえず言わせて、なにこの状況…?


「ヒカゲっ!ヒナタを叩くなんて…あなた、双子とはいえ姉としての自覚はないの!?」

「ご、ごめんなさい」


 よくわからないけどとりあえず謝っておこう。

 あんまりにも状況がわからなくて思考が追い付かない。

 と、とりあえずは1人になる時間をくださいっ!


「はぁ…もういいわ、あなたは部屋に戻りなさい。またヒナタをいじめたら…ただじゃおかないからね」

「は、はい、わかりました」


 この場はなんとかなったみたいだけど、部屋ってどこよ?


「お嬢様、お部屋へ運ばせていただきます」


 おお、メイドさん、お姫様抱っこで運んでくれるなんて優しいじゃない。

 って、動かないように固定されてるし…。

 暴れたりしないようにってやつ?

 なんだよ、使用人まであいつらの味方ですかそーですか。

 あれ、ヒナタだっけかの口元がニヤけるように歪んでいる気がする…。


 私はそのままメイドにお姫様抱っこされたまま家の二階の奥、それも薄暗い角の部屋に連れて行かれベットの上に降ろされる。


「お嬢様、今日はもう部屋から出ないでください」


 それだけ言うと、メイドは部屋から出ていく。

 部屋に入れられるときにドアノブを見たけど鍵穴のようなものはなかったから監禁状態ってわけじゃないんだろう。

 でもドアの隣に椅子があったからどのみち自由には出れないんだろうな。

 部屋にはベットやタンスなど必要最低限のものしかなく女の子の部屋にしては殺風景だ。

 さらに部屋にはトイレやお風呂もついている…。

 これ、絶対に私をあまり部屋から出さないつもりだよね?

 まぁいい、これに関しちゃ今の私にとって好都合だ、まずは記憶を整理しないといけない。


 まず私はトラックに轢かれて…たぶん死んだはずだ。

 あの状況で生きているとしたら私はもう人間じゃないだろう。

 で、今の私?はヒカゲ…だっけ?

 それであの双子の弟らしい男の子はヒナタって名前だよな…。

 ヒナタにヒカゲ…どっかで聞いたことある双子の名前だなぁ…。

 とりあえず今の私のことを何か思い出せないかなぁ…。


 叩かれたショックや軽いパニックからやっと落ち着いてきた私はゆっくりと記憶を探す。

 ああ、私の記憶と一緒におぼろげながら今の私の事も分かってきたぞ…。


 今の私の名前は白鳥(しらとり)日陰(ひかげ)で6歳か。

 それで私には双子の弟白鳥(しらとり)陽向(ひなた)、もちろん6歳がいる。

 日陰の両親は私から見た限り、物心ついた時からずっと弟を可愛がって姉である日陰を相手にせず、むしろ邪魔者扱いしている。

 それで日陰は親に構って欲しいのに無視されて、弟に依存しており弟の言うことにはなんでも従っているのか…。

 つーか物心ついた時から6歳まで放置なんてどんな親だよ…、そして弟てめぇさっき私が怒られてたのってお前がおもちゃを壊した罪を私に擦り付けるために泣いて、私は知らないって言って喧嘩になり叩いたところを親に見られて怒られてたのか。

 あのクソ野郎…ニヤけていたのは気のせいじゃなかったのか…。


 はぁ…、なんか思い出せば出すほど鬱になってきた。

 こりゃ人格を私に丸投げしたくなってしまうわけだ…(ってことにしなきゃワケわからん)


 この私になってから何回目か分からない溜息をついた私はパジャマに着替えてベットに飛び込む。

 ストレスのせいなのか胃が痛くて眠れない…というかまだ夜の7時なのか…。

 そうだ、今の姿確認しよう。

 ゆっくりとベットから起きて化粧台の鏡を見る。


 そこにはとっても可愛い女の子がいた。

 家から出たことがないのか透き通るような白に、あのクソ家族と同じ綺麗な銀髪碧眼、髪は肩ぐらいまで伸びていて、目は…前世の所為かなぁ…死んじゃって光が宿ってないよ…目にあるのは底が見えない深淵だ。

 それとこれも前世の影響か一切感情の読めない無表情だ。

 元々笑ったことがないんだろうなぁ…前世みたいに顔の筋肉が凍りついちゃって動かせないよ。

 あと歯並びは…おお!CMとかで見るモデルさんみたいに超整ってる!

 ああ、家庭環境は最悪だけどこんな可愛い子に生まれ変わるなんて、最っ高!!!

 っと、そうだ、6歳ってことは小学校に通う年齢だよね?

 誰かに聞いて…まぁどうせ扉の前に誰かいるんだろ。


 扉を開けるとやっぱりメイドが椅子に座って私が部屋から出ないように監視していたよ…。

 っておいおい、めんどくさそうに私を睨まないでよ…。


「お嬢様、部屋から出てわ…」

「部屋からは出ないわ、そんなことより、いくつか聞きたいことあるのだけれどいいかしら?」

「…部屋から出ないのであればいいですよ。いきなりどうしたんですか?」

「私、さっきの事でいろいろ忘れちゃったみたいで…確認みたいなものよ。小学校っていつからだっけ?それと何小学校だったかしら?それとなにか習い事ってしてたっけ?」

「はぁ、お嬢様は明後日から小中高一貫の【鳥籠学園(とりかごがくえん)】に入学ですよ。それと習い事って…礼儀作法を一昨日に辞めてからお嬢様は何もしていませんよね?」


 鳥籠学園!?それって…あの乙女ゲームと同じ…しかも陽向は攻略対象で私こと日陰って悪役令嬢のあの乙女ゲームと同じって事は…これ乙女ゲームに転生したってことでいいんだよね?

 どーりで前世のどっかで、聞いたことある名前だと思ったよ…。

 これ、死ぬ前にやっと完全クリアしたゲームじゃん。


「お嬢様?」

「…っ!そ、そう、学校は明後日からなのね、ああ、習い事に関しては聞いたことは忘れて。それで少しお願いがあるのだけれど…ああ、これが済んだら部屋からは絶対に出ないわ」

「…一応聞きましょう」

「ありがとう、それで私はこのままじゃとっても退屈なの、だから本とノート、それとシャーペンと消しゴムのような筆記用具が欲しいの。えっと予習がしたいのよ」

「それでしたらいいでしょう。本は一緒に選びましょう、ただし、私の傍から決して離れてはいけませんよ。筆記用具はお嬢様の部屋にあるランドセルの中にあるはずですのでそちらを使ってください」

「わかったわ、じゃあ本を取りに行きましょう」


 話を終えた私は逃げないようにとメイドと手を繋ぎ書斎に向かう。

 途中で笑い声が聞こえてそちらを見ると両親と弟がとても楽しそうに笑いながら遊んでいる…。

 なんだよこれ、あまりにも理不尽すぎるだろ…。


「お嬢様」

「っごめんなさい」


 メイドが睨みつけてくるので急いで歩き出す。

 …この家にいるのは敵だけってのはこの短時間で辛くなるほど痛感したよクソッタレ。

 そのまま少し歩いて書斎に着いた。

 おお!小学生用の勉強教材から大学のまでしっかりあるじゃないか!


「で、どれにすんの?」

「えっと、とりあえず全部って可能かしら…?読めないのがほとんどだけど、壁を見つめるよりは有意義になる気がするから」

「ちっ、わかったよ。ここにあんのどーせ捨てる中古もんなんだ、全部お嬢様の部屋に捨ててやるから感謝しろよ?」


 ねぇ、私に対して辛辣すぎない?

 ひどい目に合いそうだから突っ込まないけど、口調とか最悪だよ…メイドに対する夢が壊れちゃうよ。


「とりあえず本棚ごとお嬢様の部屋にぶち込むから部屋の隣にある使わない家具倉庫にいろ、いいな?」

「はい、わかりました」


 なにこれ辛すぎ…。


 しばらくして本の移動が済んだのか倉庫にさっきのメイドが呼びに来て部屋に押し込まれる。

 おお、あんまり時間が経ってないけどちゃんと移動されてる。

 ついでにノートも沢山あるな、これはしばらくなんとかなりそうだ。


「とりあえず、さっき思い出したゲームについてメモするとしますか」


 私はノートを開いて思い出した乙女ゲームについて書き出す。

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