表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/164

149話目 お久しぶり

 例の来客は時に回り道をしながらも、やはりというべきか真っすぐにこちらへと向かってきた。これまでの客《アホ貴族》は当てもなく森の中をうろちょろするばかりだったし、例外《皇帝》は予兆というか前振りみたいなものがあった。


 何の前触れもなく、しかも迷うそぶりを見せずに一直線にこちらへ向かってくるというのは初の事態なのである。加えて言うならば、そいつはたった一人でこちらを目指して歩いてきているし皇帝の気配とも違うので、誰が何をしに来たのか全く予想がつかない。そんなわけでここ数日間、一日に何度も気配を探っては微妙にルートが逸れたり修正されたりしているのを感じて一喜一憂しながらそわそわとしておりました。まる。


「そんなに気になるなら師匠が迎えに行けばいいんじゃないの?」

「いやいや、違うんだよ。自力でここまで来るヤツが初めてだってことに意味があるのに、こっちから迎えに行ったら意味がないんだよ」

「はあ……?」


 シャルの身も蓋もない発言に対して反論してみるが、いまいち伝わらなかったようである。『まあ師匠が良いならそれで良いんだけど』と、俺の意見を尊重はしてくれたが共感を得ることは出来なかった。解せぬ。


 来客は一体誰なのか? どうやってこの場所を割り出したのか? 遠見の魔法を使えばええやん、読心の魔法とかでも使えばええやん、とは言ってはいけない。そのあたりを想像しながら待つのが乙なのだ。


 そして我が家から1kmくらいまで近づいたあたりで我慢できなくなり、家の外で話し合い用の椅子とテーブルをセッティングしてお迎え状態に。せわしなく立ったり座ったりを繰り返す俺を見てシャルは苦笑している。


 ここまで期待させておいてただの冒険者でしたー、とか山賊でしたー、とかだったら勢い余って殺してしまうかもしれない。お互いのためにそれはないことを願っていると、がさごそと茂みをかき分けて姿を現した。


「え、子供……?」


 現れたのは10歳にもなってなさそうな女の子。いや、予想外にも程があるって。


 予想外すぎて何も言えずに固まっていると、女の子はカッと目を見開きこちらを指さしてわなわなと震えながら口を開いた。


「あ……」


 あ?








「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」


 あたり一帯に、叫び声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ