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136話目 クエスト

「それじゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃーい!」


 旅に出るとは思えぬ軽装で俺は家を出発した。普通であれば自殺行為に等しいが、自分で言うのもなんだが生憎俺は普通ではない。創造魔法で飯を出すことも出来るし、収納魔法でシャルの料理を取り出すことも出来る。更に言えば狩りをして食料確保も出来るので水場さえ確保できれば魔法抜きでも何年だって街に寄らずに一人旅が可能なはずだ。


 だが、もしもこれだけであれば俺はシャルを説得することはできなかっただろう。初め、俺が一人で旅に出ると言った時シャルは酷くショックを受けていた。『師匠からすれば外に危険は無いだろうけれどももしかしたら師匠が居ない間にここが危険になるかもしれないから自分もついていくしかないというか師匠のお世話は弟子がするのが義務だから師匠が何といっても自分はついていくし置いていくというのなら口を利かない』と、要約すればこんな風な事を顔面を蒼白にしながらも一息に喋るくらいショックを受けていた。


「え、いや、飯時とか寝る時とかは戻ってくるからそんな言わんでも……」

「えっ?」


 俺としてみれば当然のことであったが、シャルの頭にはそんな考えは無かったようだ。今まで旅そのものには使っていなかったから影が薄いが、転移魔法を使えば日帰りの旅行だって簡単にできる。元の場所に再転移すれば再開だって楽々だ。


 前回街に行った時に思い知ったが、街の宿と食事は衛生的にアウツだ。安全さえ確保出来れば外で野宿した方がマシまである。そしてそこに転移魔法とくれば最早一々家に戻らない方がおかしい。


 そんな説明によりあっさりと納得したシャルの協力の元旅の準備は着々と進み、旅とも言えぬ旅が始まった。しかし、その難易度と反比例するかのように旅の終わりは全く見えていない。この旅の目的は()()()()()()()という面倒な旅だ。しかも相手は居るか居ないかも分からないと来ている。


 俺がドラゴンを全滅させたと言っても、それはこの森の中の限った話だ。ドラゴンの群れに一斉に襲われて訳も分からぬまま返り討ちにしてしまい、当時卵だったドラ助以外は確かに全滅した。だが、そもそもドラゴンが森の外に居ないなんて聞いたことは無い。逆に、どこに居るという話も聞かないので目的地の設定もしようがない。


 居るか居ないかも分からないドラゴンを探す理由は、ドラ助が飛べない原因に当たりをつけるためだ。成熟したドラゴンを捕まえて、通訳魔法とかをでっちあげて質問攻めにしてやればいい。


「それならドラ助に通訳魔法を使えばいいんじゃないの?」

「シャル、ドラ助が質問にまともに答えられると思うか?」

「あー……」


 可愛がられてはいるものの信頼はゼロ。そんなドラ助。


 かくして、ドラゴンを探すクエストは始まった。

最後の一文は、最後まで書いてハッと気づいて付け足しました。

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※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
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