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130話目 昼寝ドラ

「あれ?」


 とある日、昼食を終えて午後の狩りに行こうとしたリーディアが似合わない素っ頓狂な声を出した。何かを探すそぶりを見せながら我が家をぐるりと一周し、探し物が見つからなかったのか頭をぽりぽりと掻きながら二週目へと突入する。


 それでも見つからないのか、やがてその端正な顔に焦りが見え始めたので俺は声を掛けることにした。


「どうした、リーディア」

「いや、その……」


 言い出しにくい事柄なのか、普段の快活な物言いと違い言葉を濁してハッキリとしない。いささか訝しみながらも尚問い詰めると、どうやら彼女は魔法の補助装置――彼女に合わせて剣の形をした――をどこかへやってしまったらしい。


「せっかくリョウ殿から頂いたものだというのに……。申し訳ない」

「いや、別にもう一個作ればいいだけだから、そんなに気にしなくていいぞ」


 実際、シャルが補助の杖を失くしたとしても別に思うところは無い。流石にイヤリングを失くされたりしたら本気出して探すだろうが、あくまでも実用重視の道具である補助の杖や剣にそこまでの思い入れは無い。更に言えば、確かに最初に創り出すのはデザインやら形状やらで苦心したが、一回作ってしまえば複製するのは非常にたやすい事なのだ。


 とはいえ、当の本人からすればそれなりに思い入れや愛着があるようで『もうしばらく探させてほしい』と言うや否や家の周りや中をくまなく探し始めた。しかし探し物は探しても全く見つからないというのはこの世界でも同じなのか、小一時間程経っても彼女は見つけられずにいた。


「うー、何処に行ったんだ……!」

「なあ、剣を最後に見た場所を憶えてるか?」


 段々と涙目になってきた彼女が気の毒に思えたので、そろそろ加勢することにする。狩りから戻ったらいつも家の外壁に立てかけていて、今日もそうしたはずらしいがどうにも見当たらないらしい。


 シャルの研究室棟と化して久しい調理室棟からシャルも呼び寄せ、三人がかりで捜索するも一向に見つからない。もうこれ新しく作った方が早いんじゃね?と思いリーディアに提案してみるものの、どうにも乗り気ではないようだ。


「リョウ殿は知らないのかもしれないが、騎士にとって主人から頂戴した剣には深い意味があるのだ……。それも、主人が手ずから作って頂いたものを失くすなんて私は騎士失格なんだぁ……」


 話しているうちにぐすりと鼻を鳴らし、本格的に泣き顔へと変わっていく。どうやらちゃんと探してやった方が良さそうだ。はてさて何処に行ってしまったのか、もしくはどっかの化け物が俺の気づかぬ間に持ち去ってしまったのか。


 そういった可能性に頭を巡らせていると、ふと気付いた。こういった時野次馬根性を発揮するか、それとも空気を読まずに構ってちゃんを発揮するドラ助がうるさくない。見やればヤツはお昼寝タイムと洒落込んでいた。


 しかし俺は見逃さんぞ。お前今俺が視線をやった瞬間ほんの少しだがビクッとしただろ。

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※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
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