表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】愛を知らない傾国の魔女は、黒銀の騎士から無自覚に愛着されて幸せです  作者: 入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
9章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/83

68・今ならお手伝いもできます

 セルディはエレファナのそばから離れずにアステリオンと向き合い、淀みなく告げる。


「すでに警備の者たちが進めているとは思いますが、招待客の安全確保を最優先として、早急に人々をホールに集めて警備の騎士を配備をします。王都周辺に待機中の騎士と魔術師の増援も必要です。……しかし先ほど聞いた未知の影に対して、私も全く知識がありません。初めて聞きました」


「セルディでも知らないか……」


「とはいえ、聖域結界の効果があるようですので、城内の人を守りやすい場所へ集めて警備を固めるのが、当面の対策かと思います。その影を刺激することは避け、慎重に調査するとともに有識者を探すのが先決でしょう」


 アステリオンは頷くと、セルディの言ったままの指示を出し、「私もすぐ行く」と付け足した。


 指示を受けた騎士が立ち去ったあと、室内は静まりかえる。


 セルディはエレファナの肩をそっと抱くと、ゆっくりと言い聞かせるように囁いた。


「エレファナ。君は空間魔導を使えたな?」


(あっ、私の魔導がお役に立てるのでしょうか)


「空間魔導は使えます。でも私は人に魔導を使いません。私の魔力は強すぎて、負担が大きすぎますから。治癒の魔導でも、道具にほんのりつけて間接的に使用しなければ、相手の心身を痛めます」


「では自分だけなら転移魔導で帰れるのだろう」


 思わぬ話の流れに、エレファナは眉じりをさげた。


「……もしかして私だけ帰るのですか? セルディさまは?」


 セルディはあやすように、やさしい手つきでエレファナの肩をぽんぽんと叩く。 


「俺にはすることがあるからな。君なら一瞬で帰り、バートに伝言を頼めるな?」


「伝言……。なにをお伝えすればいいのですか?」


「『王城の敷地にドルフ帝国時代の遺物が出たらしく、魔獣が大量発生している。ドルフ領の砦に配備されている最低限の騎士を残し、他は早馬でここへ来れるようにして欲しい』と伝えてくれ」


 ふたりの会話を聞いて、アステリオンは合点がいったように声を上げた。


「なるほど。何者かが王城の敷地内にドルフ帝国時代の遺物を持ち込んだのか、以前のドルフ領のように魔獣の大量発生が起こっているのだね。そしてエレファナの力を借りて、魔獣の扱いに慣れた砦の騎士たちを、こちらへ向かわせてくれるということかな」


「はい。エレファナだけなら自分の転移魔導を利用して、最速でドルフ領に戻れます」


「セルディさま、お任せください。バートに伝えたらすぐ戻ってきます!」


「いや、夜更かしは良くないだろう。エレファナはそのままポリーと一緒に留守番を頼むよ」


「私はセルディさまのおかげで、もうすっかり元気です。寝て待っているだけではなく、今ならお手伝いもできます」


「しかし俺はこれから遺物の回収をするため、魔獣の出現地を調査しにいくつもりだ。そんな危険がある場所へ、君を連れてはいけない。城内に留まるとしても謎の影が出現して、そちらもどれほど危険なのかもわからない」


「でも危険なのは私だけではなく、この敷地内にいる全ての人たちがそうです。私だけ逃げるなんて、すごくさびしいのです。どうにかお役に立ちたいのですが、聖域結界を王城敷地内に張るだけでは足りませんか?」


 エレファナの思わぬ発言に、セルディを含め周囲も信じられないように耳を疑った。


「……なに?」


「聖域結界を王城の敷地内に数十層張りましたが、それだけでは足りませんか?」


 エレファナが告げた事実に、周囲は聞き間違いかと静まりかえる。


 しかしセルディは多少慣れているため、すぐに聞き返した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ