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腐食姫  作者: 野中 すず
36/49

4−2 乞食が見たモノ


 翌朝、まだ薄暗い道を老齢の乞食が歩いていた。

 以前は、貴金属店だったらしい大きな建物を目指している。

 今はもう、廃墟と化している建物。


 昨夜遅く、その中に四人の男と一人の女が入っていくのを見た。

 女はどう見ても余所者だった。長い髪の女。


 今はもう、()()を奪われ死んでいるだろう。


 乞食は、女の死体の髪の毛を金にしようと企てている。「あいつらもそこまではしないだろう」と踏んでいる。


「ん……?」

 乞食は異変を感じた。

 悪臭が漂っている。自身も強烈な悪臭を放っているが、そんな乞食でも気付く悪臭。

 建物へ足を進める度に強くなる。

 

 臭え……。なんなんだよ……。


 入口前まで来ると、呼吸も辛くなってきた。大きな扉を開けばどうなるかは、乞食も想像がついた。


 ――引き返せ。


 それが正解だと分かりながらも、乞食は扉を開いた。

 暗い屋内に、扉の動きに合わせて外から光が差し込む。

 暗い屋内から、扉の動きに合わせて外に悪臭が溢れ出す。


 鼻や喉だけでなく、乞食は眼まで痛みを感じる。

 乞食は痛む眼で見た。


 半固形の赤黒い大量の物質が、床上で緩やかに流れていた。

 湯気が上がっている。

 所々に、真っ黒い髪の毛の塊や白い骨の欠片が混ざっている。


 これは……、これは人なのか?


 乞食は激しく嘔吐した。

 (ろく)に食事も出来ていなかったので、殆ど胃液だった。


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― 新着の感想 ―
この惨状よ……………。 下心しかなかったせいで……………。 シャラは情報収集は出来たんだろうか?
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