表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐食姫  作者: 野中 すず
16/49

2−6 月も見えない夜


 月明りもない闇の中、いつもの身を丸めた体勢でラストラは周囲の異変を感じ取っていた。何者かが集団で、洞窟を抜けて来た。まだ、森にも入っていないだろう。



 ぞろぞろぞろぞろと……。三十人くらいか。相手にするのも馬鹿馬鹿しい。何故、死に急ぐのか。


 楽観的に考えていたラストラだったが次の瞬間、黒の巨躯が(わず)かに震えた。


 最後に入って来た奴……。

 コイツだけ格が違う。



「……シャラ。……シャラ、起きろ」

 眼の前で眠るシャラに、静かに声を掛けた。

 ラストラ同様、身を丸めて眠っていたシャラが身を起こす。

「ん……。なに?」

「時間がないから詳しくは言わないが、少しだけ面倒な事になりそうだ。お前が、食い物を溜めてる穴が森にあるだろう? そこに隠れてろ。まだ間に合う」

「うん、分かった」

 それ以上言わず、シャラは素直に聞き入れる。


 シャラは走り出した。十才の少女とは思えない速度。

 あっという間に森に消えた。



 ――――


 シャラが消えて数分後、ラストラは自分の周囲の木々に隠れ、息を殺している人間達を察知していた。


 囲まれている。しかし、何故かこいつらはそれ以上近寄らない。

 ここまできて怖気ずく訳もあるまい。


 不信に思いつつも、ラストラは動かない。先制攻撃をしようとは考えない。

 それは「腐食の王」としての誇りか。

 それは「要注意は一人だけ」という慢心か。


 身を動かす事もなく、丸まったままラストラは事態が動くのを待つ。


 シャラはちゃんと隠れただろうか。


 そんな事を思ったとき、森の中から一人の男が現れた。

 全身傷だらけの男。武器も何も持っていない。ひどく怯えている。

 ラストラの正面をまっすぐ歩いてくる。


 囮かなにかのつもりか? 見くびられたものだ。


 その男の出現によって、(むし)ろラストラは正面の男より周囲へ意識を向けようとした。

 

 しかしその時、ラストラはある事に気付いた。それはラストラを動揺させ、冷静さを失わせた。「腐食の王」らしからぬ失態だった。


 この男の血――、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()






 男の肩に蠍の刺青が見える。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シャルを襲った男か。 その上で盗みを働いて、仕舞いにはこんな事に。 しかしこれだとラストラが隙だらけになってしまうなあ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ