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2−5 ロードン
サナが横になるロードンを眺めていたとき、ロードンは眠っていなかった。
周囲の者たちが期待している「強大な敵と戦う直前に眠れる豪胆な男」を演じていた。サナに気付かれないように溜め息を吐く。
怖くない訳がない。命懸けなのだから。名誉も大金も諦めて逃げ出したくなる事だってある。
しかし……、しかし、剣以外に何も取り柄がないオレは戦い続けるしかない。
そう、戦い続けるしかない。
ロードンは自分に言い聞かせた。
――コクッ
サナが、水を飲み下す音が聞こえた。意識がサナに向く。
ロードンは、下衆な連中が「二人は出来てる」と陰で噂話を広めている事を知っている。
非常に不愉快に感じている。
同じ孤児院で育ち、物心ついたときには横にいた。
恋人ではない。
友だちでもない。
家族でもない。
強いて言えば、「相棒」か……。
サナがいなければ、とっくにオレは死んでいただろう。
――――
数時間後、ロードンは身を起こした。
突入する。
負ける訳がない。
オレは「伝説の勇者の生まれ変わり」なんだから――。




