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67『氷魔法』

 顔色を変えたザルバが駆け寄ってくる。

 アンナリーナは【洗浄】であたりに飛び散った黒い粉を処理していた。


「嬢ちゃん、あんた一体!」


「ん? なあに?」


 アンナリーナ本人は呑気なものだ。

 なぜなら実は彼女、この惨状に行きあったのは初めてではない。

 彼女が老薬師の代理で村に回復薬を届けはじめたころ、村の有力者の娘ナタリアに唆された少年がアンナリーナからアイテムバッグを取り上げたことがある。

 もちろん大人たちはこの行為がどのような事を引き起こすかよく知っていたのだが、ナタリアたちは知らなかったようだ。

 ナタリアの命令で中身を取り出そうとした少年が真っ黒に変色して細粉化し、崩れてしまったのだ。

 そして恐ろしい出来事はそれで終わらなかった。

 少年の家族全員が同じ状態で命を落とし、所有していた畑までが真っ黒に染まったのだ。

 その時は、自分の付与した魔法に “ 触れられた ”老薬師がすっ飛んで来て、村長たちに厳重な注意が行われた。

 さすがにナタリアもアンナリーナに罪をかぶせる事が出来ずに罰を受けたようだ。


「そうそう、あの人の縁者とかいたら同じ事が起こっているかもね」


 そして人は、薬師の恐ろしさを知るのだ。



「さて、部屋に戻って薬の準備をするよ。ザルバさんやフランクはどうするの?」


 ザルバは庶務を片付けに、一旦アンナリーナから離れるようだがフランクは部屋の前で護衛(監視)をするらしい。

 とりあえず、アンナリーナはテントからツリーハウスに戻ってやる事がある。




「【体力値供与】【魔力値供与】

 そして【鑑定】」


 セト(アイデクセ、雄)

 体力値 25000

 魔力値 2600


 今日もまずセトに供与し、鑑定する。

 彼は小さなアイデクセだが、その数値はすでに一般の魔法剣士を凌駕している。


「いい感じになってきてるね。

 よかったね」


「ア、アルジ……」


「セト!! 話せるようになったの?」


「アルジ……アリガトウ」


 セトがアンナリーナを見つめて、黒い目に涙を溜めている。


「セトがお話できるようになるなんて、なんて嬉しいことなんでしょう!」


「アルジ、オレ……ズット、アルジトイル」


「うんうん、そうだよ!セトはずっと私と一緒にいるの。だってたった1人のお友達だもの」


 色艶よく、黒光りするセトを手のひらに乗せ、頭から背にかけてゆっくりと撫でてやる。

 そうしてやると、セトはうっとりと目を閉じた。


「じゃあ、念話も出来るかしら」


『アルジ……コレデ、ヨイ?』


「上等、上等!

 これならお留守番や監視も出来るね」


『デキル。マカセテ』


「主人様、良かったですわね」


 ナビが言葉を発した。

 彼女はアンナリーナから離れられないため、例えばテントとツリーハウス間の連絡などは出来なかったのだ。

 これからはそれが可能になる。


「じゃあ、次は私の番だね。

 今日はどうしても取得したいギフトがあるのよ」



「ギフト【氷魔法】

 そして、ステータスオープン」



 アンナリーナ 14才

 職業 薬師、錬金術師、賢者の弟子

 

 体力値 102400

 魔力値 34843571020255/34843571040256)

(ステータス鑑定に1使用、氷魔法に20000使用)


 ギフト(スキル) ギフト(贈り物)

  [一日に一度、望むスキルとそれによって起きる事象を供与する]

 調薬

 鑑定

 魔力倍増・継続 (12日間継続)

 錬金術(調合、乾燥、粉砕、分離、抽出、時間促進)

 探索(探求、探究)

 水魔法(ウォーター、水球、ウォーターカッター)

 生活魔法(ライト、洗浄(クリーン)修理(リペア)、ファイア、料理、血抜き、発酵)

 隠形(透明化、気配掩蔽、気配察知、危機察知、索敵)

 飛行(空中浮遊、空中停止)

 加温(沸騰)

 治癒(体力回復、魔力回復、解毒、麻痺解除、状態異常回復、石化解除)

 風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)

 冷凍(凍結乾燥粉砕(フリーズドライ))

 時間魔法(時間短縮、時間停止、成長促進、熟成)

 体力値倍増・継続(12日間継続)

 撹拌

 圧縮

 結界

 異空間収納(インベントリ、時間経過無し、収納無限、インデックス)

 凝血

 遠見

 夜目

 解析(スキャン)

 魔法陣

 マップ

 裁縫

 編み物

 刺繍

 ボビンレース

 検索

 隠蔽(偽造)

 従魔術(ティム)

 体力値供与

 細工

 再構築

 無詠唱

 悪意察知

 魔力値供与

 空間魔法(転移)

 異世界買物

 位置特定

 異空間魔法(空間接続、空間増設)

 宣誓魔法

 火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ]

 氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)


「これでマリアさんの熱を下げるのに氷が使える。

 さて、そろそろ様子を見に行ってみようかな」


 ツリーハウスのリビングに出現している扉をくぐると、そこは洞窟内の部屋に出したテントの中。

 そこの机の上に籠を出してセトを降ろした。


「セトはここにいて、誰か来たら知らせてくれる?」


「ワカッタ、アルジ」


 仕事を与えられたことが嬉しかったのだろう。

 漆黒のアイデクセが尻尾を振って、主を見送っていた。



「フランク、マリアさんの様子はどう?」


「大した動きはない。

 それよりリーナ、おまえ大丈夫なのか?」


「私?何が?」


 前を歩くアンナリーナの手を掴んで、その歩みを止めさせる。

 抱かえこむように向かい合うと心配そうなフランクが覗き込んでいた。


「だって、おまえ……」


 アンナリーナがたまにする邪悪な笑みを浮かべ、背伸びをしてフランクの頭を撫でる。

 ようやく届く手のひらが気持ちよく、フランクはこのとき『もう、離れられないな』と思ってしまう。


「心配してくれてありがとう。

 私にはまったく影響ないから。

 あれはね、ここの人たち……ザルバさんやフランク、ゲルトさん以外の人を牽制したの。見事にビビったでしょ?」


 ビビったどころではない。

 先ほどの殺戮熊だけでもアンナリーナの力は認められている。

 最早、化け物認定されているほどだ。


「さあ、マリアさんとこ行くよ。

 今夜は忙しくなるかなァ」



 マリアの部屋に入ると空気が変わった。やはり換気が出来ない部屋には澱んだ空気に包まれている。


「【洗浄】

 マリアさん、具合はどう?」


「少し……のどが痛くなって」


「うんうん、無理して話さなくていいからね。今、飲み物を出してあげる」


 バッグから水差しを取り出す。

 精巧な模様が刻まれた水差しの中には8分目くらいの液体とハーブが一掴み浮いている。

 これもまたバッグから取り出したグラスに、差し出した手のひらから氷がふた欠けら溢れ落ちた。


「氷?!」


 マリアが目を見張る。

 なぜなら、氷魔法を持つ魔法師など滅多にお目にかかれないほど稀有な存在なのだ。

 そんなマリアに構わずに、アンナリーナはグラスにハーブ水を注ぎ、これまたバッグからストローを取り出して片方の端に近いところを曲げる。

 そしてマリアの口に近づけた。


「そのまま、寝たままで飲めるでしょう? ゆっくり、ゆっくりね」


 カーブしたストローのおかげで楽に飲むことができる。

 そしてハーブ水の、そのミントの爽快感と絶妙な按配の味わいに、マリアはそれだけで気分が良くなった気がした。


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