251『アンナリーナ!!』
冒険者ギルドマスター、ヤルディンを後見人として入試を申し込んだアンナリーナは、その出身から無試験で特別留学生として一年間の補完授業……主に語学やブエルネギア大陸の素材や魔獣に関する知識の上積みを言い渡された。同時にアンナリーナの持つ知識のうち彼女が良いと判断したものを教授すると言う知識の交換のようなものが行われる事になった。
そしてそれはアンナリーナの準備が整い次第、始められる事となる。
「まずは住むところだね」
本来ならば、学院生は寮に入るはずなのだが、アンナリーナの場合、ネロが一緒なのと、一年間別個の授業なので学院側が譲歩してくれたのだ。
そして彼女たちは今、商業ギルドへと向かっていた。
できれば学院の近くに一軒家が借りられれば良いと向かったのだが、運良くちょうど良い物件があり、即決定。
そこは、建屋は多少手狭だが敷地が広くて、鍛錬にも利用できそうである。
住居を調え、ポーションなどを売りながら、アンナリーナの授業は始まった。
時は年末、年内最後の月となり寒さも厳しくなってきている。
この首都でもドゥンケルスほどではないが【冬籠り】の準備は必要で、薪は道中調達したものをアンナリーナが乾燥させたもの、そしてエイケナールなどで用意した。
食料に関してはまったく問題ない。
元々アンナリーナは、学院に通う以外はほとんどをツリーハウスで過ごしている。
夜間、見張りのために誰かが残るが、基本生活の場はあちらにあるのだ。
入試とそれに伴う発表があり、春の入学を待つばかりになった頃、アンナリーナにひとつの課題が出された。
それは採取依頼を受けることで、どの依頼かはギルドに行けばわかるようになっているとい事。
雪深い中、アンナリーナは嬉々として郊外の森の奥地に分け入った。
今回の目標は、この季節雪の中にしか見つからない、あるとても貴重な薬草の採取だ。
学院と冒険者ギルドの両方から渡された地図を思い出して、アンナリーナ一行は【飛行】で進んでいた。
「リーナ様、この森の奥には古代遺跡がある、と言う噂があるのはご存知ですか?」
「古代遺跡? いいえ」
古代エレメント語は完璧に操れるアンナリーナも、色々な古文書を読んでみたが初めて聞いた。
「私も又聞き程度なのですが、古代の魔族の魔法文明らしいですよ」
ものすごく興味津々な話だ。
実はアンナリーナも以前から、古い時代……古代エレメント語が使われる前から2つの大陸には交流があったのではないかと思っている。
「魔族かぁ」
アンナリーナとネロは凍りついた雪を踏みしめながら、薬草を探していた。
アンナリーナの探査でも素材としては表示されるが、その素材が何かというのはわからない。
マップにポイントされた印を片っ端から当たっていって、目につく素材は片っ端からアイテムバッグに収納していた時。
足許で『カチッ』と音がして、自分が何かを踏んでしまった事に気づいた。
「しまった!」
アンナリーナの身体を浮遊感が襲い、ネロの自分を呼ぶ声が遠ざかっていって……意識が薄れていった。




