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247『首都に向かって』

 アンナリーナたちは今、首都に向かって馬車を走らせている。

 ドゥンケルスでの滞在中、何かと便宜を図ってくれたフミラシェとオルドメーシェに対しては出来る限りの感謝を持って別れてきた。

 エルドランとは良い取り引きが出来た。彼に売った代金でひと財産を得たアンナリーナは、首都に行っても金銭的に困る事はないだろう。

 ……結局、薬師ギルドには最後まで行かなかった。



「マスター、この馬車は便利だねぇ」


 アンナリーナの移動住居型馬車の居間では今、西風の精霊王イェルハルドがソファーに座ってくつろいでいた。

 空間魔法によって広げられた室内には揺れもなく、アンナリーナとともに紅茶を飲んでいる。


「何であなたがここにいるのかな?」


「やっぱり気になるだろう?

 我はこのようにヒトと関わるのは初めてなのだ」


 アンナリーナはほとほと呆れている。


「まあ、いいけど……でも約束してね。

 あのドアの向こうは私の家に繋がっているんだけど、正直あなたたち精霊がそこを通れるのかわからないんだよね。もしもの事があったら怖いから通らないでね」


「わかった。

 わざわざリスクのあるような事はしない」


 イェルハルドとて消滅の可能性のあるような事はゴメンだ。

 この件に関しては大人しく了承する。



『リーナ、そこに野営地があるんだが、どうする?』


 御者台にいるテオドールから念話が飛んできた。


『そうだね。

 今日はずいぶん進んだから、このへんで泊まろうか』


 チラリとイェルハルドを見ると平然としている。


「我もここにいる」


「こちらにずっといて大丈夫なの?

 精霊の世界ってわからないけど、一応王様なんでしょ?」


「問題ない」


 軽く肩をすくめたアンナリーナは、そのまま馬車から降りていく。

 その後ろからイェルハルドがふよふよと浮かんでついていく。


「熊さん、近くに魔獣がいるから、ちょっと狩ってくる」


「おう、俺も付き合うわ」




 森の植生からして違う、そしてそこに潜む魔獣も違った。


「紫の熊……」


「ヴァイオレットベア。

 マスターのところにはいない?」


「こんなにカラフルな熊はいないねぇ。

 イェルハルド、いくよ。【風刃】」


 いとも簡単にあっさりと。

 アンナリーナの魔力を使い、イェルハルドの能力で【ウインドカッター】にあたる【風刃】でヴァイオレットベアの頭をスッパリと落とした。


「おお〜 いい感じ!」


 体長5mはある熊の身体がゆっくりと倒れていく。

 素早く飛び退いたアンナリーナの、今までいたところに地響きすら立てて横たわる熊。

 アンナリーナは満足そうに頷いて、熊をアイテムバッグに収納した。


「あちらに固まって反応があるわ。

 次の獲物よ」


「我のマスターは偉大なる狩人なのだな。

 そしてその手伝いが出来ることを誇りに思う」


 群でいた、前世での駝鳥にそっくりな1mほどの鳥は【血抜き】で屠っていく。


「イェルハルド、この鳥はもちろん食べられるわよね?」


「よく町に住むものたちが食べているのをみかけるよ。

 以前、よその町では家で飼っているのを見たことがある」


 それならと、アンナリーナは機嫌を急上昇させた。

 ウキウキと献立を考えている。


「最初は無難にソテーにしましょう。

 もちろん唐揚げもいいけど、チキンロールのオレンジソース煮にチャレンジしましょうか。

 ところでこの鳥は、何という名なのかしら」


「ラインケトル」


「何か尖った名前だね」


 ラインケトルのオレンジ煮は、近日お披露目予定である。


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