表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
483/577

243『明らかになった危機?』

 エルドランとの商談に疲れたアンナリーナは、この後予定していた薬師ギルド訪問をキャンセルして、テオドールの提案で冒険者ギルドにやって来ていた。


「何か、いい依頼ある?」


 依頼票が貼ってあるボードの前で、アンナリーナとテオドールの凸凹コンビが見繕っていた。


「おい、依頼を受けてくれるのか?

 感心、感心」


「手持ちの素材の依頼があれば、と思って。

 熊さんはヤル気満々ですけどね」


 ちょうど通りかかったフミラシェが、アンナリーナたちに声をかけてきた。


「そうだな。

 素材集めも今のうちだからな」


「今のうち?」


 アンナリーナは小首を傾げた。

 “ 今のうち ”とは期限を設けた表現だ。今は秋……確かに採取できる素材が増える時期だが、何か含みのある言い方だ。


「ああ、そろそろ【冬籠り】の準備の時期だろう?」


「……その【冬籠り】って何ですか?」


 フミラシェがピシリと固まった。


「知らない? いや、誰からも聞いていないのか?」


 そう呟いたフミラシェを見て、アンナリーナは嫌な予感がした。


「この大陸の南部は、冬には気温が氷点下まで下がり、雪も積もる。

 なので人々は冬の間の準備を整えて、なるべく家から出ないようにして暮らすんだよ」


「それは町の機能が停止する、と言うことですか?」


「そうだな……ほぼ、それに近い」


 その時アンナリーナは気づいた。気づいてしまった。


「あの、私……1月に首都へ試験を受けに行くのですが」


「おいおい、冬の旅なんてとうてい無理だぞ」


 思わず悲鳴をあげそうになったアンナリーナは、これからの予定を頭の中で整理する。

 そして脱兎のごとく駆け出した。


 あっという間に市場を抜けて魔導ギルドに飛び込んだアンナリーナは、すぐにオルドメーシェとの面会を求めた。

 受付にいたギルド職員は、アンナリーナのあまりの様子に二つ返事で応じ、階段を駆け上がっていく。

 そしてすぐにとって返してきて、アンナリーナたちをオルドメーシェのところに案内してくれた。



「オルドメーシェさん!」


 アンナリーナ、えらい剣幕である。

 そしてそのまま詰め寄り、食いついた。


「私、属性魔法を使うために、精霊と契約しなければならないし、来年1月の試験も受けるつもりです。

 なのに “ 冬籠り ”などと言う未知の行事があって、私の頭はパンク寸前なのです!」


 この大陸、この国に生まれた時から住んでいるオルドメーシェたちにとって、冬籠りとはあって当然の事。

 それは呼吸するのと同じくらい自然なものだ。


「冬籠りか?

 そう言えばリーナ嬢はどうするつもりだ?」


「どうするつもりじゃないでしょーっ!」


 ずいぶんと感情的である。


「精霊の召喚と学院への入学を薦めておいて、そんな事まったく言ってなかったですよね?」


「ああ、そうか……申し訳ない。

 そう言うところも配慮しなければならんな。

 精霊の召喚は来週、月の日から順次行っていけるし、その後でも十分首都には着ける」


 それを聞いて、少し落ち着いたアンナリーナは勧められた椅子に座り、出されたお茶に手をつける。


「そもそも “ 冬籠り ”って、どんな事をするんですか?

 それって私たちもした方がいいのでしょうか?」


「そうだね。首都に行ったとしても、冬籠りは変わらない。

 いささか忙しいが、あちらで落ち着く場所が決まり次第、設えた方がいい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ