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238『魔導ギルド』

 アンナリーナたちが次に向かった【魔導ギルド】は、冒険者ギルドからさほど離れていない、市場を挟んだ向こう側だった。


「ほえ〜 立派だね」


 冒険者ギルドはどちらかと言うと質実剛健、華美さを抑えた造りだが、こちらは中世の瀟洒な貴族の館を思い出させる造りだ。

 冒険者ギルドと違ってポーチがあり、その入り口の左右に番兵が立っている。

 ネロが先に立ち、扉を開けようとすると、番兵が両開きの扉をサッと開けてくれた。


「ようこそ、いらっしゃいませ」


 魔法金属製の鎧をつけた番兵が軽く会釈してくれる。


「こんにちは。どうもありがとう」


 やはり普段から接するのがインテリ層だからだろう。

 冒険者ギルドでは考えられない対応だ。

 ……実は、アンナリーナには思ってもみなかった理由があるのだが。



 建物の中に一歩足を踏み入れた瞬間、その設えの上品さに息を飲む。

 白い漆喰の壁には所々壁から生えているかのような女性の像が並び、彼女らが持つ壺から注がれる金粉は床につく瞬間に消えてしまう。

 なんと不思議な仕掛けだろう。

 他には、宝玉で作られた花がホールを飾っていた。


「ほお〜 豪華だね」


「お褒めいただきありがとうございます。

 当方への本日のご用件、承けたまわらせていただきます」


 いつのまにか側に来ていた、水色の髪のエルフ女性がにっこりと笑う。

 実はアンナリーナは、このエルフ女性がすべからく皆に親切なのだと思っているが、それは違う。

 彼女はアンナリーナたち……とりわけアンナリーナから漏れ出す魔力に敬意を表したのだ。

 魔法職にとっては魔力がすべてだ。

 自然、魔力の高いものは尊敬されるし、そうでないものは高位のものを尊敬する。

 今、この魔導ギルドに入ってきた2人は彼女が今まで感じたことがないような魔力を漂わせている。

 何しろ魔力が溢れて、髪や瞳の色に反映されている者など初めて見たのだ。


「ありがとう。

 この紹介状をお願いします」


 アンナリーナに渡された封筒を見て顔つきが変わったエルフ女性は軽く頷くと、すぐに踵を返して奥に引っ込んでいった。

 これは冒険者ギルドのマスターから魔導ギルドのマスターへの親書である。



「この魔導ギルドでも登録しなきゃ駄目よね。

 もちろんネロも一緒にね。

 ……だってあっちの分野では、今では私以上のエキスパートだものね」


 黒地に鈍銀の織り柄のローブにフードを深く被り、今日は骸骨をモチーフにした面をつけているネロ。

 そんな、見るからに怪しい姿だが、ここ魔導ギルドでは気に留める者はいない。

 同時に、一見成人していないように見えるアンナリーナにも違和感を感じるものは少ない。


「リーナ嬢、ネロ殿、どうぞこちらへ」



 アンナリーナたちが今までいた、広いホールの中央に大きく円を描いた大理石のカウンター。

 そこに等間隔に並ぶ受付にはエルフの男女が座っている。

 その受付カウンターの奥にある通路を抜けると階段があった。

 そこから先は限られたものしか通れない、特別な通路だ。


「どうぞ。この扉の向こうにギルドマスターがおられます」


 アンナリーナが頷いて、扉に手をかけようとした時、ふいに扉が開いて声が聞こえてきた。


「ようこそ、お客人。

 わざわざきてもらって悪かったね」


 そう言って手を差し出したのは、どこかで見た面影を持つ、エルフの老人だった。


「私は、この魔導ギルドの長をしているオルドメーシェ。

 冒険者ギルドの長をしているフミラシェは従兄弟にあたる」


 道理で見たことがある気がするはずだ。

 目の前のオルドメーシェはフミラシェを少し老けさせて、瞳の色を僅かに濃くした容貌をしていた。


「さて、リーナ嬢。

 あなたは “ 異邦人 ”だそうだね。

 私はあなたたちのこれからの為に、ぜひ魔導ギルドの登録を勧めたいと思うのだよ」


「そうですね。

 私たちもそのつもりで、今日ここにやって来たのですが、その他にお尋ねしたい……いえ、教えを乞いたく参りました」


 おや、と眉尻をあげたオルドメーシェに、アンナリーナは切り出した。


「属性魔法の事です」


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