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235『三人衆見参』

 アンナリーナがドゥンケルスにやって来て5日目、門の関所でちょっとした騒ぎがあった。




 ボロボロの状態で門にたどり着いた3人の男。

 2人は人族、そして1人はオーガ族に見える彼ら……その姿を見てエンドルティーノは確信した。

 警戒しながらも近づくと、精も根も尽き果てたと言わんばかりにローブ姿の男が膝をつく。

 あとの2人も大きく吐息を吐いていた。


「貴殿ら……もしやリーナ嬢のお連れか?」


「リーナ!?」


 髭面の、熊のような男が縋り付いてきた。

 どうやら間違いないらしい。


「先日、リーナ嬢はこの町にたどり着き、今はポーションなどを売って生計を立てておられる。

 今すぐに使いをやるので、貴殿らはこちらに。大丈夫か?」


 膝をついたままのローブ姿の男が顔を上げて、エンドルティーノはギョッとする。

 彼は深くフードをかぶっていたのだが、その中には奇妙な面があった。


「ご親切に申し訳ない。

 これは……見てもらった方が早いですな。少々お目汚しになりますが、勘弁して下さい」


 そっとずらした仮面の下は、醜い火傷の痕がある。


「! すまない」


 問題ないと頭を振って、ローブの男はようやく立ち上がった。


「この通りなので、人前ではこうして仮面をかぶっております。

 やはり不審ですか?」


「いや、そう言う理由なら大丈夫だ。

 こちらこそ無礼をした」


 そしてエンドルティーノは3人をアンナリーナと同じ部屋に案内し、話を聞く事にしたのだ。



 それは悲惨としか言えない、よくぞ3人が生きてここまでたどり着いたとしか思えない、物語にすらなり得る出来事。

 リーナ嬢の護衛として、元々彼女と交流のあった彼らは、珍しい素材を求めて海を渡る事になった。

 そして海難だ。

 彼らも襲ってきた魔獣の姿は見ておらず、話の内容は少女とほとんど変わらなかった。

 そして海を漂う事15日あまり。

 ようやく上陸できた大陸では大森林に迷い込み、大変な目に遭った。

 ようやく、ギリギリで大森林から脱出し、この町にたどり着いたのだと言う。


「よくぞ無事で」


 少女を逃す為に、魔獣を引きつける囮となって、森に分け入った男たち。

 エンドルティーノの眦に涙が浮かんだ。



「熊さん! イジ! ネロ!」


 ちょうど冒険者ギルドにいたアンナリーナが、報せを受けて飛び込んできた。

 迷わず突進していったのは【熊さん】と呼んだヒト族の男の腕の中だった。


「リーナ、本当に無事だったんだな……」


 感無量、といった状態で、ただただアンナリーナを抱きしめ頬ずりしている。

 側から見ると違和感があるが、エンドルティーノは流した。


「では、リーナ嬢の逸れた同行者、と言う事で間違いないですね?

 ……ようこそドゥンケルスへ。

 我々はあなたたちを歓迎します」


 ここからはアンナリーナも通った道だ。

 入町料を払い、ギルドに行って冒険者登録をする。

 そして身分証を手に入れて宿屋に、今に至る。


「思ったよりも上手くいったね」


 すべてが打ち合わせ通り。

 だがテオドールとしてはあながち芝居だけではなかった。

 船上でアンナリーナと別れ、離れ離れだった日々の事を思い出すだけで胸が引き裂かれそうだ。

 その事を思い出すだけで真に迫った “ 演技 ”となったテオドールは今、アンナリーナをその膝に乗せていた。


「とにかく、ようやくこっちで合流出来て良かった」


 まだ、先日の “ 訪問者 ”の件も決着していない。

 だがこれからは強力なボディガードが3名いるのだ。

 アンナリーナは、少しは動きやすくなるだろうと安堵した。


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