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220『危機』

 その日アンナリーナはツリーハウスの中庭で、ジルヴァラとコーロナヴァルの2匹と戯れていた。

 そもそもの始まりはこうである。


 朝食の後、船の方に戻ろうとしていたら、2匹の間で一触即発の睨み合いが起きていると報告を受け、アンナリーナはその場に急いだ。

 コーロナヴァルをツリーハウスに連れてきてから、何だかんだと接触を避けていたのだが、今日は違った。

 2匹は睨み合っているそうである。

 これは、縄張り争いが始まったのか、死闘が始まるのではないかと、急いで駆けつけたのだ、が。


 コーロナヴァルの行動は素早かった。

 ジルヴァラの目前でゴロリと横になると、腹を見せて転がったのだ。


「クーン、クゥーン」


 見事な降参のポーズである。

 目の前で腹を見せられたジルヴァラも、いきなり2匹の遣り取りを目撃したアンナリーナも言葉が出ない。

 そしてアンナリーナに気づいたジルヴァラも転がって腹を見せ、甘えて見せたのだ。


「しょうがないなあ」


 2匹とともに座り込んだアンナリーナは、その柔らかい腹毛に指を絡めてなで始めた。

 両手で2匹を同時に撫でる。

 その2匹ともが、今は甘えたように鼻を鳴らして、その身体を押し付けてくる。


「ふたりとも甘えただねえ……

 ふふ、これでどうだ!?」


 脇から乳首にかけて、そして臍のあたりをくしゃくしゃと混ぜ合わせるように撫でると、2匹はもう昇天状態だ。

 ジルヴァラなどは後ろ足をヒクヒクさせて、目は虚ろ、口からは涎を垂らして、何とも締まりのない様子だった。


 コーロナヴァルの方はと言えば……

 こちらはちとヤバい状態だ。


「ちょっと……どうしたらいいんだろう」


 モフっていた場所がよくなかったのか、先ほどまでは甘えて鳴いていたコーロナヴァルの目が欲を孕み、息が荒くなっている。

 何よりも、局所を膨らませて腰を揺らしているのだ。


「うん……コロ、落ち着こうか」


 雰囲気に当てられたのかジルヴァラの方も鼻息か荒い。

 これは困った事だと悩んでいたところに、昨夜から船に残ってくれていたイジから念話が届いた。


『主人様、緊急事態です。

 一度、こちらにお戻りを!』



 慌ててツリーハウスの階段を駆け上がると、テオドールとセトが待っていた。

 そのまま船室のテントへの直通扉を潜り抜けると、そこはけたたましく鐘がなる空間だった。


「何、これ?」


 そこでアンナリーナは、乗船の時に受けた講習会を思い出した。


「え?

 まさか非常警報?!」


 一体、何があったのか、確かめるために4人は、甲板への階段を上がっていく。

 そして外に出た時に見たのは、限りなく黒に近い紫の雲がこちらに向かって凄い勢いで迫ってくる状況だった。


「これは嵐?!」


「違うぞ! これは魔獣の襲撃だ!」


 通りかかった船員が怒鳴るようにそう言いながら駆けていく。

 アンナリーナは精神統一して、自分の周りの360度、深海まで探査を広げた。


「いた!

 これは、かなり大きいよ!」


 おそらく、前世での淡路島くらいはあるだろう。

 アンナリーナは瞬時に頭を巡らせ、結論を出した。


「これは……逃げの一手しかないね」


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