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219『嵐の前の静けさ』

 アンナリーナたちはすぐにツリーハウスに場所を移した。

 あの場に留まっていても意味がないし、何よりも誰かに見られたら騒動になる。

 ネロが土魔法で墓所を整えたあと、ツリーハウスまで転移し、まずは2人に部屋を与えた。

 そこで2人に【洗浄】をかけ、特に棺桶の中でボロボロになった着衣を取り替える。

 これはとりあえず、マチルダの夫にはネロのローブを、マチルダにはアラーニェが学院で侍女をするときのドレスが貸し与えられた。


「すぐに相応しい衣装を用意するから、今夜のところはこれで我慢してちょうだい。

 それと、マチルダさんの旦那様の名前は何と言うの?」


「トラサルディです。お嬢様」


 すっかり骨だけのスケルトンな彼は、生前デラガルサでは大店の店主だった。

 マチルダ共々、その頃のノウハウを発揮してもらうつもりでいる。


「ではトラサルディ、あなたにはマチルダとともにうちの雑務をお願いします。

 うちの中は……細々とした掃除や洗濯などは魔法で行うため、雑用を望んでいるわけではありません。

 特に大切なのは、全体の取りまとめ……これは個々人との連絡ですね。

 それともうひとつはポーションなどの販売です」


「販売ですか?」


 これに関しては、マチルダは自分が関わってきたデラガルサの事しか知らず、トラサルディはまったくの初耳だ。


「そう、細かい事は後で書類にして渡しますが、取引先はいくつかあります。

 そこに、決められた日時に納品して、次の注文を受けてきて欲しいのです」


 今まではアンナリーナやテオドールが時間を作って行っていたが、専任のものがいればずいぶんと負担が減る。


「もちろん、トラサルディには生きた人間に見えるように魔法をかけます。

 マチルダはそのままで大丈夫そうね」


 微笑むアンナリーナの元で、マチルダとトラサルディの “ 第二の人生 ”が始まる。




「おまえの故国のダンジョンに潜りたい?

 何言ってんだ、おまえ!」


 アンナリーナが新たなダンジョン攻略に興味を示して、それならばあの、スタンピートを煽ったダンジョン(仮)を探索しようと思ったのだ。

 だが過保護なテオドールが声を荒げて怒った。


「え? どうしたの、熊さん」


 アンナリーナがびっくりしている。

 だって彼女にとってあの国での事は過去の事だ。

 今でも、このツリーハウスのある魔獣の森はあの国に隣接しているが、気にした事はないのだ。

 あの、アンナリーナにとって忌まわしい記憶しかない村はもうない。

 その母体である国すら存亡の危機に陥っていた。


「私の事、気にしてくれてるの?

 熊さん、優しいね」


「ばっ、何言ってんだよ!」


「主人、あそこにはまだ一度も潜っていない。

 もう少し落ち着いて探査出来る時にした方がいいのではないか?」


 セトからもダメ出しを食らった。

 今回は諦めざるを得ないようだ。


「絶対駄目だと言ってるわけじゃない。だが、せめて船旅が終わってからの方がいい」


 テオドールの言葉がトドメだった。


「デラガルサの深層で我慢しろ。

 何なら新しい階層に行ってもいい」


「やったー!!」


 喜びのあまり、くるくる回るアンナリーナの姿に、皆は笑いを誘われた。

 こんな風に皆でツリーハウスのリビングでまったりしているが、本来彼らは大陸へ渡航中なのだ。

 見張りとしてイジが残っているが、1日のほとんどを船以外で過ごしているアンナリーナはただ日々が過ぎて行くのを待つばかりだ。


 そんな風にして2ヶ月ほど過ぎた時、本当に思いがけない事件がアンナリーナたちを襲った。


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