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214『船旅の始まりは……』

 アンナリーナと船長側との話し合いで決まったのは、件の女商人を偽っている強盗団に対しては様子見を、その間アンナリーナたちが重要参考人として部屋に軟禁される……と言うことに決まった。

 一応、一等客室の乗客で何も被害がなかったのはアンナリーナだけ、ということになっているので怪しまれる事はない。

 アンナリーナにとっても部屋に篭っている、いい言い訳になるので問題ない。


「では、内側から結界を張りますので、何か用があれば3回ノックしてください」


 一応、保安部の船員に囲まれて、アンナリーナたちは部屋に戻ってきた。

 大々的に、人目に晒したのは犯人を油断させるためだ。



「でも変だね。

 そもそもこんな出航すぐに騒ぎを起こして、航海が丸々3ヶ月もあるのに、どうするつもりなのかな」


 それに、今回の被害は大した事はないのだ。

 富裕層は、貴重品は基本、携帯しているアイテムボックスに入れて持ち歩いている。

 今回盗まれたのは、部屋で過ごすための細々とした品だ。


「そもそも、この船に乗っているのは、大陸と交易する商人がほとんどなのよね?

 その人たちが大陸の商品を取り引きするためのものって一体何なんだろう……

 金や宝石なんてあちらにもあるだろうし、通貨はもちろん違うだろうし。

 この辺は、詳しそうな船長に聞くしかないわね」


 わからない事ばかりで混乱してしまう。

 この疑問は、先ほど船長と取り決めた、日に一度、深夜に会って話し合いを持つことに決めた、その時間まで待つことにする。


「では、少し早いけど、夕食を済ませてしまおうか。

 インベントリに入っているものだから、大したものはないけど」


 本当はツリーハウスで夕食を摂るつもりだったのだが、たまにはこういうのも良いだろう。

 少しずつ残っていたような、てんでバラバラの料理がテーブルに並べられていく。


「熊さん、ホロホロ鳥のから揚げがあるよ。食べる?」


 テオドールが思わず身を乗り出した。

 揚げ物はほかに、オークのトンカツがある。


「ビールは、今夜は控えめにしてね」


 テオドールの他に、セトとイジにも瓶ビールを一本ずつ配られ、アンナリーナは今夜はコーラにする。


「トンカツにはキャベツの千切りとトンカツソース。

 クリームコロッケも出そうかな。

 ……うふふ、ポテトサラダも見ーっけ」


 テオドールも大食らいだが、セトやイジには比べるべくもない。

 今気づいたのだが、ちょこちょこと残ったものをインベントリに収納してずいぶんと溜め込んでしまったようだ。


『牛の薄切り肉を焼肉のタレで炒めて、明太子を和えたもの。

 これは前世でよく食べたものだね。

 プチっとした食感がいいの』


 その他に異世界小説で定番の生姜焼き……これは豚肉でなく、オークのロースで代用したのだが、前世のブランド黒豚肉に匹敵する美味しさだ。


「あとは……エビフライがあるね」


 目の前に座っている3人が、一気に顔を上げた。


「これは揚げたてをそのまま収納してるね。作ったのを忘れたのかな」


「何て勿体ない事をするんだ!」


 無類のエビフライ好きであるテオドールの目が、最早血走っている。


「ほらほら、特製タルタルソースを出してあげるから、そんな顔しないの!」


【異世界買物】で購入した小型の鰯を手開きして作った鰯のフライ。

 これはソースの方がよく合う。

 こちらの人間は骨を取るのが苦手なので、あまり好まれない煮魚はムツ。

 アンナリーナはやや甘い目の味付けが好みだ。


「パンとご飯、どちらがいい?」


 定番のサラダやほうれん草とコーンのバター炒め。タコのマリネやアスパラガス。

 本当に、ありとあらゆる種類の料理が並び、それがものすごい勢いで男たちの胃袋に収まっていく。

 アンナリーナは小さなココットに入ったグラタンに舌鼓を打ちながら、この穏やかな?時間を楽しんでいた。


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