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194『ダンジョン入り口にて』

「今、何パーティくらい、ダンジョンに潜ってますか?」


 小走りに近づいてきた少女が、開口一番そう聞いてきた。

 ダンジョンの入り口……ポッカリと開いた洞窟の入り口で、すっかりダレて手近にあった木箱に腰掛けていた兵士が、その勢いにびっくりして立ち上がった。


「おう、何だ。

 びっくりさせるなよ。

 ……ちょっと待ってくれな……

 今、ダンジョン攻略に潜っているのは……まず、嬢ちゃんたちだろ?

 それと、ほぼ同じ頃に潜った【インディペンデント】こいつらはすぐに戻って来て、今は本格的な攻略に備えてアシードに戻ってる」


 アンナリーナは、ここでひと息つく事が出来た。

【インディペンデント】とはヘンリクスたちのパーティの名だ。


「嬢ちゃんたちの前に……う〜ん、6日前に、これはパーティというよりクラン規模だな。

 こいつらは王都を本拠地としている大手ギルド【ジャスティスハート】のメンバーで、20人。

 予定ではそろそろ戻ってくるはずなんだが」


「その方たちが6階層にいるという話の?」


「ああ、前回パーティ規模で6階層まで攻略して、今回はそれ以上下層まで攻略する予定だ」


 それなら6階層に姿が見えなかったのも納得する。

 大人数なので、よほどの “ モンスターハウス ”にならなければ、切り抜ける事ができるだろう。


「その他は?」


 兵士はペラペラと、書類をまとめた紙束をめくっていった。


「う〜ん、この、10日前に潜っていった連中……8人パーティだったんだが、ギルドのランクがC級か。

 浅い階層を2〜3日で戻ってくると言ってたらしいが、駄目かもしれんな」


「それだけですか?」


「そうだな、もっと以前ので、帰ってきていないのならいるが、そいつらは絶望視されてる」


「あの、寄生の女の子は?」


「あいつ、また潜り込んでいたのか!

 嬢ちゃん、会ったのか?」


「戻ってきてない?」


「おい、嬢ちゃん?」


 兵士の顔に、今日初めて焦りの色が浮かぶ。


「3日前?

 同行を願われたけど、断ったの。

 うちは家族だけだから。

 2階層で別れたんだけど……もし追ってきてたなら、拙い事になるわね」


 兵士たちも3階層からぐっと難易度が上がることを知っている。


「それよりも!

 私たちがいた5階層で “ 湧き ”があったの。制圧に2日かかったのだけど、他にそんな話を聞いた事ってない?」


「あるぞ!

 このダンジョンが解放されて、冒険者を受け付けるようになってすぐにこの1階層で【ミニラット】と【スナップローチ】が溢れた。

 ちょうど調査に来ていた学者の中に魔法に秀でた奴がいて、火魔法で全部焼き払ったんだが……あれは凄まじかった」


 思い出して顔色を悪くした兵士は、アンナリーナの前でぶるりと身体を震わせた。


「わかったわ、どうもありがとう。

 私たちはこれからギルド出張所に報告してきます」



 兵士たちから十分離れてから、アンナリーナはテオドールに話しかけた。


「熊さん、どう思う?」


「全階層同時に “ 湧く ”わけではなさそうだから【ジャスティスハート】の連中はおそらく大丈夫だろう。

 後の奴らは……おそらくダメだろうな」


 アンナリーナも同感だった。

 例の寄生少女は姿も見えず、探査でもその存在を感じられなかった。


「2日も経ってるんだもの。

 どっちにしても、もうダンジョンに取り込まれているでしょう。

 覚悟の上のダンジョンでのハイエナでしょうし」


 そこで話は止まり、アンナリーナはギルド出張所の粗末な扉を開けた。



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