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186『偽者たちの罪』

 あの後、アンナリーナたちは何度か聴取を受け、事情を聞かれた。

 この町の領主が、ハルメトリア国から詳しい事情を記した書状を送られていた事と、そこにも記してあった【国王の処刑許可書】があったのでそれほど厳しいものではなかった。

 ただ、辺境の村の純朴な村民が騙されたことに少々胸が痛んだが、どうすることも出来ない。

 唯一、アンナリーナに出来るのはポーションや薬を卸すことなのだが現実的ではないだろう。


 と、思っていたら。


「とりあえず足跡の追える、近々に被害にあったいくつかの村々に憲兵を派遣した。

 もうすぐ売りつけられた偽薬のリストが届くので、それに沿って薬を売って欲しいのだ」


 偽者たちの手口は巧妙だった。

 まず街道沿いの村には近づかない。

 そしてギルドや薬屋があるような大規模な村もしかり。

 宿屋はあるが、雑貨屋が薬屋も兼ねるような小規模な村、そして【鑑定】のスキル持ちがいない、もしくはいても宿屋に販売して素早く出立する、を繰り返していた。


「ほわ〜 ずいぶんと手慣れていたのですね。

 これは余罪が、相当ありそうです」


「今、順番に聴いていますが……

 本人たちも記憶が確かではなくて」


 もうアンナリーナが連中に関わることはないだろうが、気分の良いものではない。


「では、薬の準備はしておきます」


 この日もようやく解放されたアンナリーナは、冒険者ギルドに向かった。

 大陸渡航の船が出港するのは約3ヶ月先の事なのだ。

 一度、学院に戻るか、デラガルサダンジョンの攻略に戻ってもいいかもしれない。



 所用でテオドールが外れて、アンナリーナは1人で冒険者ギルドの扉をくぐった。

 その瞬間、集まる視線は今まで数え切れないほど受けてきたもの。

 ゆっくりと受付カウンターに向かうアンナリーナを、好まれるものではない視線が追いかけていた。


「こんにちは」


 アンナリーナは挨拶だけをして、ギルドカードを差し出した。


「私たち、こちらのギルドは初めてなのですが、今日はこの近辺の様子やおすすめの狩場を伺いにに来ました」


 受付嬢は腰をあげようとしたが、アンナリーナはそれを制した。


「わざわざ上の方を呼んでこなくてもいいですよ?」


「では、こちらへ」


 受付嬢はカウンターの横にある、相談コーナーのような机と椅子のあるところに場所を移した。

 その手には地図とファイルを持っている。


「では、リーナ様のご希望の狩場をいくつかご紹介します。

 まず、今一番のおすすめは、このアシードから馬車で2日の所に最近出来たダンジョンですね」


「ダンジョンが出来たのですか?

 それも、そんな近くに?」


「はい、なので当ギルドは優先して冒険者の皆様に攻略を推奨しているんです」


 それもそうだ。

 もし、こんなに近くでダンジョンから魔獣が溢れかえったら大変なことになる。


「新しいダンジョンですか。

 面白そうですね」


「はい、リーナ様のランクなら十分楽しんでいただけると思います」


 営業用の笑みを浮かべて、受付嬢はアンナリーナに場所を記した簡単な地図を渡した。


「なにぶん、新しいダンジョンなので周りの施設もまだまだ不十分です。

 この町で充分にご準備下さい」


 楽しくなりそうである。




「ダンジョン?」


 テオドールと合流したアンナリーナは、ギルドで情報を得てきたダンジョンについて説明していた。


「新しいダンジョンなんだけど、ギルドでは攻略を推奨してるみたい。

 “ 湧き ”が怖くてそうしてるみたいだけど……ちょっと潜ってみない?」


 テオドールが眉間に皺を寄せて睨んでくる。


「反対しても聞かないんだろう?

 わかった。だが条件がある。

 俺たちのほかにセトたちも一緒に行く。いいな?」


「もちろんだよ。早速明日から潜ろうか?」


 アンナリーナのはしゃぎっぷりに反して、テオドールはどこまでも不機嫌を隠さない。

 そして明日を思って溜息した。


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