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182『港湾都市アシード』

「想像はしてたけど……賑やかだねぇ」


 アンナリーナは周りの喧騒に目を奪われていた。

 ここは【港湾都市 アシード】

 ようやく本拠地に戻ってきた隊商組は、見るからにホッとしている。


「リーナ殿、何から何まで本当にありがとう」


 バルトリが、服が汚れるのも構わず、膝をついてアンナリーナの手を取る。

 そして額に押し戴いて感謝の意を表した。

 だが、これからバルトリを始め隊商組は忙しくなる。

 今回の襲撃で死亡したものたちの家族への説明や、遺体や遺品の引き渡し、それにこの町の憲兵隊での取り調べも待っている。


 次に向かったのは乗り合い馬車の駅だ。そこで預かっていた馬車を出し、これでダマスクたちともお別れだ。

 アンナリーナと冒険者たちも別れを惜しみ、そしてその場を後にした。



 一行と別れたアンナリーナとテオドールは港に向かった。

 まず、大陸に渡る船の運航を確かめなくてはならない。


「リーナ、もし近々に出航予定があれば、どうする?」


「ん〜 次の便との間隔によるかな。

 さすがに1年とかになったら考えるよ」


 例の偽薬師の件も気になるが、大陸に渡航する船は限られている。

 アンナリーナはバルトリに聞いた船会社へと、歩みを向けた。



 結果、次の大陸渡航便は順調にいけば4ヶ月後であって、アンナリーナはその場で内金を入れて予約する。


「4ヶ月……

 何とかその間に目処がつけばいいのだけど」


「普段は普通の冒険者としているのかもしれんな。こいつは面倒だぞ」


「仕方ないよ。時間切れになったら渡航を優先する。気になるけどそれで渡航をずらすのは本末転倒だから」


「そうだな。

 ところでこれからどうするつもりだ?」


「うん、その事なんだけど……」




 アンナリーナは俥屋で、2頭引きの4輪箱馬車を購入した。

 その場でエピオルスを出して調整してもらう。

 これはこれから、例の偽者捜索のために使う馬車だ。


「また、思い切ったもんだな」


「そう? 前から欲しかったんだけど機会がなかったんだよね」


 アンナリーナの経済観念は狂っている。

 これはいつもテオドールが頭を悩ます案件である。


「リーナ」


「じゃ、次は市場をうろつこうか。

 ひょっとしたら、まだ見ぬ鍋との出会いが……」


「鍋は、もういいだろう?」


 学研都市での買いっぷりは、今でも夢に見そうである。


「何言ってるの、熊さん。

 地域によってそれぞれ、形や素材の違う鍋が……」


 始まってしまった、アンナリーナの鍋うんちくに、耳を塞ぎたくなるテオドールだった。




 数日後、宿の前につけられた箱馬車に、裕福な商家の娘を装ったアンナリーナが、侍女に扮したアラーニェを連れて乗り込んだ。

 御者はガムリが、その隣に護衛としてテオドールが座っている。


「リーナ様、うつけ者らは街道沿いには出没しないと言われています。

 このような事をしても網にはかからないのでは?」


「私は、捕まえる事にこだわっているわけではないから。

 情報収集ができればいいと思ってるの」


「私はリーナ様が、心安らかにお過ごしくだされば、それで良いと思います」


 ガタンと振動して馬車が動き出した。

 エピオルスたちは心得たもので、街中ではゆっくりと進んでいく。

 そして門を通り抜け、街道を北に向かって走り始めた。


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