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167『アンナリーナなりの考察』

「ひょっとして……見込み違いなのかしら」


「リーナ?」


 テオドールは訝しげだ。


「時を置かずして起きた2件の襲撃……私たちを含め、皆が同一犯の仕業だと思っていたけれど、根本的に間違っていたのかも。

 襲撃犯が別なのなら痕跡も違って当たり前だよね?

 ひょっとしたら最初の乗り合い馬車の方は、犯人が人間ですらないかもしれない」


「魔獣の仕業だって言うのか?」


「巨大な飛行型の魔獣なら一切の痕跡を残さず、襲撃を終える事ができる。

 飛べる魔獣なら国のひとつやふたつ、越えて来るんじゃないかな」


 今まで考察すらしてこなかった可能性に、男たちは固まった。

 テオドールだけが頷いている。


「出立するまでにシャルメンタルさんの耳に入れといた方がいいね。

 多分だけど、今までは盗賊の襲撃の痕跡しか探してなかったと思うの。

 それが魔獣なら探し方も違って来ると思うし」


「確かに、馬車ごといなくなったのなら、人の脚では行けないような森の奥は探さないわな」


 ダマスクが納得したように頷くと、冒険者たちは顔色を悪くする。


「そんな魔獣がウロウロしてるんじゃ、いつまで経っても故郷に戻れない……それだけじゃない、そいつは今日にでもこの町を襲って来るかもしれないんだ」


 言われてみればその通りである。

 アンナリーナは思案を巡らせ、まずシャルメンタルに手紙を書く事にした。




 その日の夕刻、先ほど市場で別れた面々とは、酒場での夕食を約束している。

 それまでの間に買い物を済ませたアンナリーナたちは件の串焼き屋に足を運んだ。


「嬢ちゃん、さっきは済まなかったなあ。

 あれからも売れに売れて結局20本しか残りがないんだ」


「じゃあ、それを。

 明日もお邪魔させてもらうので、よろしく」


 実はこの急な繁盛は、アンナリーナの注文の為に串焼きを大量に焼き始めたところ、その食欲をそそる匂いにつられて集まった客たちから、その後も口コミで広まり大繁盛となったわけである。そして、それを知らぬのはアンナリーナたちだけであった。




「では、乾杯」


 エールの入った杯を掲げ、乾杯の音頭を取ったが、テオドール以外の男たちは顔色が冴えない。


「乗り合い馬車の運行は今のところ無理。馬車と馬は準備出来るが護衛がな、こうなったからには十分な実力を持つ冒険者をそれなりの数雇わない事には許可が下りない。

 今のところ南向きは俺たちしかいないし、今ギルドに護衛の依頼を出しているんだが……思わしくないな」


「護衛か……」


 テオドールが意味ありげな眼差しを向けてくるなか、アンナリーナは、ダマスクに話しかけた。


「ダマスクさん、私たちは元々王都経由で隣国に行き、そこから船に乗って大陸に渡ろうとしていたんです」


「ワラニア大陸にかい?」


 ダマスクが驚いた表情を浮かべた。


「この大陸の西側にある、かなり遠いそうですがその大陸だと思います」


「それは……船旅でも相当かかるそうだが、採取のためかい?」


 彼にはアンナリーナが貴重な薬草の採取の為に各国を回っていると話である。


「ええ、そんなんです。

 でも、この度の事件で王都方面は通行止め、だから私たちは南のアシードから船が出ていないか、南下するつもりだったんです」


「確かにアシードからも船は出ている。ただ、それほど頻繁ではないぞ?」


「それで十分です。

 では、その依頼、私たちがお引き受けしましょうか」


「本当かい?だが、数がなあ」


 どうやら乗り合い馬車の組合は頭数を揃えることにこだわっているようだ。


「うちにはあと2人……いや2頭? C級冒険者がいますけど」


「う〜ん、まだ足りないなぁ」


「話に割り込んで済まない。

 その依頼、俺たちにも受けさせてもらえないだろうか」


 そこにはアンナリーナには見知った顔、バルトリを始めジルたちがいた。


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