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149『図書館と過去の転生者』

 アーサーの具合が落ち着いたのを確認して、アンナリーナは町の探索に出かけることにした。

 テオドールはすでに、独自に情報収集に出ている。

 彼は冒険者ギルド経由なので、アンナリーナはそれ以外で行おうと思っていた。



 アンナリーナは事前に調べていた図書館に向かう。

 その場所は、ちょうど市民地区と学研地区の境にあり、どちらの住民も使いやすくなっているが、そもそも市民はあまり図書館には来ない。

 アンナリーナが訪れた時も、受付の係りの者は暇そうに本を読んでいた。


「こんにちは。

 すみません、図書館を利用したいのですが」


「はっ、はい。

 初めてですか? なら、こちらに記入後、閲覧カード発行代金、銀貨10枚頂きます」


 なるほど、一般市民の姿が少ないはずだ。

 銀貨10枚と言えば決して少ない金額ではない。

 アンナリーナは納得しながら書類に書き込んでいく。

 最後に保証書代わりにギルドカードを出し、銀貨10枚を添えた。

 その場ですぐに発行された図書カードを渡されたアンナリーナには、閲覧は自由だが持ち出しは厳禁。しかし書き写しは認められていて、なければ専用のノートが販売されている事が告げられた。


「ありがとうございます。

 あの、この国の歴史が書かれた本はどのあたりにありますか?」


「はい、ではご案内しますね」




 階段を上がり、ずらりと並んだ書架の間を通って、アンナリーナはある一角に案内された。

 そこには建国の成り立ちから近世まで、大陸共通語から古くは古代エレメント語で書かれたものまで揃っていた。

 アンナリーナはその中から迷わず、中興の祖と言われる、元勇者であったエドワルド王に関する書籍を選び出し、閲覧卓に着席した。


 図書館の静寂の中、ページをめくる音だけがする。

 その音をたてるアンナリーナは次々と本を積んでいく。

 そしてその顔は段々と強張っていった。



「やっぱり……この人も転生者だ。

 間違いないわね。そして何か特別なギフトを与えられたっぽい」


 その後、閉館まで居座ったアンナリーナは、この国の今のシステムは彼が前世の記憶を元に作り上げたものだと確信し、そして本を閉じた。


 この国の、乗り合い馬車のシステムは秀逸だ。

 よくわからないが、ひょっとしたら野営地や中継地の起源もこの国なのかもしれない。

 どうやら冒険者ギルドも、現在の形態にまで高めたのは彼の功績であるらしい。


「一度、会ってみたかったな」


 前世のラノベ談義など、盛り上がる自信100%だ。


「ひょっとして……今、この時もどこかで転生者、もしくは転移者が暮らしている可能性もあるかもしれない」


 少し探してみようかと思ってしまったアンナリーナだった。




「リーナ」


 図書館から出てくると、建物の外でテオドールに声をかけられた。


「熊さん?」


「遅いから迎えに来た。

 もうすぐ暗くなるっていうのに、何してんだ、おまえ」


 背中に怒りのオーラを背負っているようなテオドールである。


「ごめんね。

 熱中しちゃって、閉館時間だって言われるまで気づかなかった」


 それには思わず、苦笑いしか浮かんでこない。

 アンナリーナには自身が入り込んでしまうと、周りが見えなくなる習性がある。


「明日はこの町の中心部と言うべき、大学院に行ってみるね」


 当分この町から離れられなそうだ。


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