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129『捜索隊』

「どんな様子?」


 アモンと御者が、テントで休んだのを確かめてから、テオドールが世話をしていた馬たちの元に行ったアンナリーナは、ようやく落ち着きを取り戻した様子に安堵していた。

 それには解析をしてみて目立つ異常がなかったのが大きい。


「【回復】」


 馬たちを宥めながら、特に脚を中心に治癒魔法をかけていく。

 その心地良さがわかるのだろう、馬たちも大人しくしていた。


「よくもまあ、丸一日走りっぱなしで保ったよね。

 ……恐怖が、通常ではあり得ない力を与えたのかな」


 そっと腹を撫でてやる。

 アンナリーナの身長ではそこしか届かないため、馬たちが喜ぶ部位を撫でてやる事が出来ない。


「しかし、王都のそんな近くに魔獣が出没しているなんて、情報は上がってないぞ」


「うん、これが初回なんだろうね。

 それと、逃げのびた馬車が他にもあるかもしれない。

 セトを斥候に出そうと思うんだけど」


「いいんじゃないか?

 あいつなら空から捜索出来る。

 その気になれば魔獣を退治する事も出来るし、まあ、あの姿を見せたら驚くと思うが」


「それと、人間と接触しなきゃならなくなった時のためにアラーニェを同行させようと思うの」


 テオドールは頷いた。


「それと熊さん、こうなったからには速攻でこの国も抜けるよ。

 ギルドに接収されたらアホらしいからね」


 アホらしいでは済まない。

 基本、アンナリーナはタダ働きなど好まないのだ。




 アンナリーナの命令で、夜闇に紛れて飛び立ったセトは、アモンたちのきた道を遡っていった。


「あそこに火が見える。

 このまま、しばらく上空を旋回して様子を伺うぞ」


「了解です」


 セトはぐんと高度を下げ、地上に広がる景色に注意を向けた。

 そこには見るからに疲れ果てうなだれた人間が5人、焚き火を囲んで座り込んでいる。

 他に3人が立ち上がり、あたりを監視しているが、その他にはもう居ないようだ。


「あの8人はどうやら一行の生き残りのようですね。どうします?」


「しばし待て。

『主人、ここに生き残りが8人いる。

 どうやら冒険者のようだがどうすれば良いか?』」


 念話で聞いた応えはすぐに返ってきた。


『そちらは私たちが対応するわ。

 セトたちは先に進んでくれる?

 それから、どんな細かいことでも報告してね』


『承りました』



「腐っても冒険者なのだ。

 あとしばらく、しのぐことは可能だろう」


「左様ですね。

 ではセト殿、参りましょうか」



 再び飛び上がったセトたちは、人間よりはるかに優れた視力で、暗闇の中に隠されたものにも目を向けていた。


「魔獣はさほどおりませんね」


「ほとんどが集団と化し、王都を目指しているのだろう。

 ……あそこに壊れた馬車がある」


「一度降りてみて、生存者がいないか確かめますか?」


「そうだな」


 セトの目には、見るからに生きているものが居そうにない状況に溜息する。

 この箱馬車は、自身のスピードに耐えきれず、道の僅かな凹凸に車輪を取られて転覆した様相を示している。

 今、主人と一緒にいる、あの2人も運が悪ければこうなっていたのだろう。

 ちょっとした【運】が二組の運命を分けた……現実は残酷である。


「駄目だな」


 降り立った2人は、その人間とは比べられない膂力を持ってして、ひっくり返り、ひしゃげた馬車を捜索して、いくつかの骸を発見した。

 御者は激しく飛ばされ、森の木に激突している。

 馬たちももつれ合うようにして木の枝にぶら下がっていた。

 ……この場に命あるものは居ない。


『主人、転覆した馬車を発見した。

 生存者は無し。

 この場を離れ、先に向かいます』


『わかったわ。ありがとう』


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