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125『クランハウスでの夕餉』

 エメラルダとアーネストの無事を確認してホッとしたアンナリーナは今、4人で再会の夕餉を囲んでいる。


「ちゃんと用意してなかったから、あり合わせのものになっちゃうけど〜」


 クランハウスの簡易のキッチンで、ローストビーフ(ミノタウロス)の塊を切り分けたアンナリーナが2種類のソースを取り出した。

 これは以前試しに作ったソースで、少なくてもこの3人は食していない。

 ひとつは玉ねぎのすりおろしをベースにしたオニオンソースだ。

 醤油やみりん、砂糖、酒、にんにくのすりおろし、生姜のすりおろし、りんごジュースをひと煮立ちさせた甘みのあるソース。

 もうひとつは麺つゆをベースにしたわさびソースだ。

 これはピリッとわさびが効いていて、特に酒に合う。

 アンナリーナ以外は基本酒飲みなので、今日は酒のつまみになるものを出すつもりでいる。


「まずはビールで乾杯!!」


 キリッと冷えたドライなビールは、もちろん揚げ物にも合う。

 以前好評だった極楽鳥の南蛮漬けタルタルソースは案の定、エメラルダとアーネストにも好評で、屋台で買い込んだケバブをトルティーヤ風の薄焼きパンでトマト、レタスの薄切りとともに包み、オーロラソースで食べる、今日の主食は皆に絶賛された。


「ビールが進むわぁ〜」


 ジョッキのビールを一気飲みし、プファ〜と息を吐くエメラルダはまるで町のおっさんだ。

 その美貌がもったいなすぎる。


 野菜を食べないエメラルダのために、キッチンに立ったアンナリーナは、あり合わせの材料……人参と大根の千切りと水菜、アボガド、それにスモークサーモンをライスペーパーで巻いて生春巻きを作った。

 スィートチリソースを添える。


「これも美味しいわぁ!」


 楽しい夜は更けていく。




 クランハウスを後にしたアンナリーナは、ツリーハウスの寝室でテオドールの膝に抱かれていた。

 風呂上がりの濡れた髪を、甲斐甲斐しく拭いてやるテオドール。

 芳しい薔薇の香りを吸い込んで、こめかみに口づけると、一層強く抱き込んだ。

 毎日髭を剃るようになって、頬ずりしても嫌がられなくなり、それはふたりのコミュニケーションとなっていた。


「これからどうするつもりでいる?」


「うん、もう少しだけドピタで仕事して、北の方に……もう少し大きな町に行こうと思ってる。

 この国にも魔獣の森があるだろうし、色々見てから越境するよ」


「おまえに限って大丈夫だと思うが、あまり無理をするなよ」


 テオドールの心配には訳がある。

 アンナリーナは先ほどこちらに戻って来るときに、デラガルサかダンジョン穴の魔獣を狩りたいと言い出したのだ。


「ひょっとしたら変異種が出るかもしれない」


 珍しい素材に目のないアンナリーナは、それを傷つけない為に限られた魔法を使う。

 彼女の能力なら遠距離から極大魔法で屠る事も可能なはずなのに【血抜き】か【サファケイト】を好んで使うのだ。


「まずはデラガルサかな。

 商品を納品しがてら、行ってみようか」


 実はこの時、アンナリーナはある商品を開発中であった。

 これが完成すれば、一時しのぎにはなるだろう品は、今までの常識を覆す画期的な商品なのだが、アンナリーナにはその自覚がない。



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