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123『偵察』

 ポーションの作成がひと段落ついて、アンナリーナは前回と同じように隠蔽したセトに乗り、あの【穴】を訪れていた。


「これは……」


 思わず絶句したアンナリーナ。

 彼女は今日、魔獣を途切らせないように魔力を注ぐつもりだったが、そんな必要はまったくなかった。


「穴が広がっている」


 魔獣たちを湧き出している【穴】が見るからに広がり、湧き出るスピードも上がっている。

 その、次から次へとスタンピードの列に加わっていく姿は、アンナリーナたち以外の者が見れば恐怖のあまり腰を抜かすだろう。

 それはまさしく何もかも破壊し、畝って進む大蛇のように、途切れる事なく続く畏怖するものだ。


「先日はまだザコが多かったけど……

 うん、ずいぶん強くなってるね。

 体力値が5000近いのがちらほらいるよ。あれに対抗できる冒険者がどれだけいるだろう」


 その時、アンナリーナの頭に2人の顔が浮かんだ。

 思わず顔を顰めてしまう。


「主人、あの連中なら大丈夫だと思うぞ。そんなに気になるのなら王都のギルドハウスに行って見ればよいだろう?」


「うん、そうだね。

 帰ったらテオドールに聞いてみるよ」


 ドラゴンのままのセトが、アンナリーナの方を振り返って頷いている。


「で、どうする?

 見るからにここには、これ以上の魔力は必要ないように見えるが」


「そうだね。

 今回は要らなさそうだね。

 ……ねえセト、ちょっと気になるから、この行進がどこで討伐隊と遭遇しているか、見てみたい」


「わかった。少し高度を上げる」


 風魔法を使って、羽ばたく事なく上空へ飛んだドラゴンは充分な隠蔽がされていて、よほど高度な魔法職でないとその存在を感じられない。

 アンナリーナの隠蔽を見破るものは、ほぼこの世界に存在しないのだ。


【穴】のある、元村があった場所から通商都市まで間に村3つ。

 アンナリーナたちはゆっくりと街道の上空を遡っていった。

 彼女らの眼下には蠢く黒い集団が前方を目指して進んでいる。

 最早、村2つは完全に呑み込まれ、どうやら最後のひとつに防衛線が張られているようだ。


「思ったよりも苦戦しているようだね」


「圧倒的な数の暴力だ。

 よく保っている方じゃないのか?」


「まあ、そうだね」


 村の入り口に設けられた防衛線。

 そこから次々と兵士や冒険者たちが飛び出していく。


「ああ〜駄目だな。

 ちゃんと、防衛と攻撃を分けなきゃ……

 それに攻撃ももっと集中させないと」


 指揮する者がいないのだろうか。

 てんで勝手にバラバラで、突撃していく人間たち。

 これでは無駄に命を捨てるようなものだ。


「魔法職も少ないね。

 ……通商都市に人員を集めているのかしら」


 魔獣と人間がぶつかり合う、その場の上空で旋回するドラゴンのセト。

 その背に乗るアンナリーナとセトの膨大な魔力が魔獣の軍団に力を与えているなど、当の本人たちも気づいていなかった。



 いつもの風魔法にひと羽ばたきして、次は通商都市に向かって街道上を飛んだ。


「うん、結構戦力を温存しているようだね」


 先ほどの村の防衛線にいた連中よりも、見るからにレベルの高そうな冒険者が揃っている。

 共にいる兵士たちと共に鑑定してみると、冒険者はB級で体力値は平均で6000。兵士たちも3000〜4000で猛者揃いだ。


「防衛線は捨て駒なんだ」


 そりゃあ、そんな所に魔法職を派遣しないだろう。


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