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114『辺境都市ドピタ』

 辺境の町の冒険者ギルドは、付近に魔獣が多数出没する事が多く、冒険者が集まってくることから自然とその規模が大きくなる。

 このドピタも御多分に洩れず、荒くれの冒険者と、魔獣の素材が取り引きされる、ある意味賑やかな町だった。


 何事もなく門をくぐったアンナリーナたちの馬車は、広場の向こう側の見慣れたマークを掲げた建物に向かっていった。


「この町は、門に入ってすぐのところがこんなに広い広場になってて珍しいね」


「大規模討伐のために冒険者を集めるようになってるんだろう。

 おそらく間違ってないはずだ」


「そんなに魔獣が多いのかな」


 とりあえず、今は付近に魔獣の影はない。

 アンナリーナはここに到着するまで通ってきた森を思い出して、小首を傾げた。


「さあ、着いたぞ。

 俺はエピオルスたちを繋いでいるから、リーナは連中を呼んで来いよ」


「うん、わかった」




 その4人組は否応にも目を引いた。

 大男がギルドの扉を開けて、それに続く少女とその後ろに付き従う漆黒のドラゴニュートとグレーオーガ。

 ギルド内が一瞬、緊張感に満ちたが、その胸に付いたC級冒険者の証が、その場を鎮めていった。


「えーと、こんにちは。

 私たちは今日、入国の登録をしてきたんですけど、門兵さんから従魔はこちらで申請するよう言われたんですけど」


 確かに従魔の登録や申請はギルドで行うものだ。

 だが、ここのギルド側にとって従魔とは獣型であって、これほど上位の人型従魔は見たことがなかった。

 ドラゴニュートに至っては、最早幻の獣人である。


「は、はい、ようこそ。

 申請はこちらでお受けします」


 窓口の男性職員が我に返って、己の前の窓口を指し示した。

 その様子を見ていたテオドールが、意識をそちらに残しながら依頼の張り出されている掲示板に向かう。


 アンナリーナは自分の分と、セトとイジのギルドカードを重ねてカウンターに置いた。


「彼らは私の従魔なのですが、冒険者登録をしてパーティを組んでいます。

 あ、あそこの彼も一緒です」


 掲示板をじっとりとした視線で見ているテオドールを指差す。


「では、拝見させていただきます」


 まずはアンナリーナのギルドカードを手に取った。


『A級冒険者! 薬師!!』


 もう少しで叫んでしまうところだった彼は、続けて従魔たちのギルドカードを見た。それは、少女ほどのインパクトはないが、それでも十分驚愕すべきものだ。

 何と彼らはC級だったのだ。


「今回はどう言った理由で滞在を?」


「私たちは今、西に向かって旅しているのですが……主な目的は素材の採取です」


 なるほど、薬師らしい話である。


「この国にはしばらく滞在して、彼方此方で色々なものを採集するつもりです」


 受付の彼は従魔申請の書類を書き上げ、判を押して、控えをアンナリーナに渡してきた。

 そのタイミングでテオドールがやってくる。

 その、差し出されたギルドカードは、この辺境都市では滅多にお目にかかれない【S級冒険者】だった。



「なぁ、リーナ。

 何か依頼を受けてみるか?」


「良さそうなのがあったの?」


「やっぱり場所柄か、色々揃ってるぞ」


「ふぅん、そうだね」


 4人揃って掲示板の前に立ち、ああでもないこうでもないと話し合っている。特に、いわゆる【塩漬け物件】と言われるものに興味があるのか、アンナリーナなどは持ち上げてもらって読み込んでいる。



「あの〜 すみません、職員さん」


「はい、何でしょう?」


「いくつか質問があります。

 まず、私たちがここで依頼を受ける場合、その対象となる魔獣や素材の分布状況など教えていただけるのでしょうか?

 それからこの素材の募集は、素材だけでよいのですか?

 それとも討伐も込みでしょうか?」


 受付職員たちは、目をぱちくりしている。


「も、もちろん魔獣の分布はお教えします。

 素材の方は特に指示がない限り、素材の納品のみです」


「ふむふむ、ではこの受付が古い依頼のいくつかは納品する事が出来ますね」


 ぺりぺりと剥がした依頼書を持ってカウンターに行ったアンナリーナはキョロキョロとあたりを見回した。


「ここで出していいの?」


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