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91『ツリーハウス』

 テオドールに抱かれたままのアンナリーナが、ツリーハウスの内部を案内している。


「ここが玄関なの。

 もう残り少ない、師匠に譲られた時のままの間取りなの」


 アンナリーナの師匠、オッティリネリーナは魔獣の森のあの場所に住み着くまで、もっと町に近いところに住んでいた事もあったそうだ。

 その時、客として訪れる事を許した者たちの為に、玄関を入ってすぐの部屋は店舗に近い設えになっていた。


「ここはもう使うことはないけれど、よく薬師様に色々と教えてもらったの……」


 以前はソファーやテーブルがあった場所は通路となり、次の部屋に繋がっている。


「次は居間と台所。

 台所も、広げはしたけどほとんどそのままなの。今はアンソニーのお城だけど、時間が許す限り私もお料理するんだよ」


 居間には、セトから話を聞いた “ 家族 ”たちが集まって来ている。


「こっちの扉はみんなの部屋が並んでいるの。

 そしてこの扉はさっき入ってきたところね。こっちの奥の方の扉が私のためのものなの」


 その扉を開けると、右側にまた扉がある。


「こっちは調薬室と書庫があるの。

 これも以前と一緒。

 そしてこっちが自室なの」


 アンナリーナのプライベートな居間があり、書斎がある。

 そして一番奥に寝室があり、浴室などの水回りが付属している。


「熊さんのお部屋は私の隣でいい?

 居間や浴室は共用しようと思うけど……何か意見があったら言って?」


 アンナリーナはウルウルと目を潤ませている。


「いや、何か凄いな。

 ここも空間拡張してるのか?」


「うん、基本的にはテントや馬車と一緒。ただここは元々薬師様の持ち物だったから……だから私に “ 従う ”という形をとった者しか入れないんだ」


 テオドールは一度振り返り、そして居間を見回した。


「熊さん専用の部屋を隣に作るね。

 居間も、もう少し広げようか」


 感極まったアンナリーナがテオドールの首に抱きついて、小さな嗚咽が聴こえてくる。

 震える背中を撫でながら、テオドールは感慨ひとしおだった。



 この日を境にテオドールは、本拠地をツリーハウスに定め、クランハウスに置いていた荷物をすべて引き揚げてきた。

 王都とハンネケイナ、両方のクランハウスの彼の部屋は完全に中継場所となり、これよりテオドールのクラン離れは顕著になっていく。




 学院は新学期が始まり、今年もギフト授与式や入学式が行われていた。

 初等科の授業から解放されたアンナリーナはアグボンラオールへの遠征に向けて、準備を重ねていた。

 長期の遠征を見込み、卸先への納品に向けて調薬をしていたある日、その報せが飛び込んできた。



「第一騎士団が大敗?

 一体相手は? いつの事です?」


 この国は、多少色ボケの感があった国王がそれなりに治めている、他国との抗争もない平和な国だったはずだ。

 眼前のユングクヴィストも渋い表情でいる。


「西の魔の森で討伐演習を行っていたところ、いきなり現れた一団と交戦状態となり善戦したのだが……魔獣討伐の最中だった事もあり劣勢に転じ、かなりの被害が出たもようなのだ。

 悪いがリーナ、治療を手伝ってもらえんか?」


「もちろんです。

 ユングクヴィスト様とご一緒します」


 そしてふたりは立ち上がった。


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