表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/577

74『8階層での拾い物』

 翌日からアンナリーナたちは2つのグループに分かれて探索と狩りをした。

 アンナリーナとセト、ツァーリは階層をどんどん深く潜っていくグループ。

 テオドールとイジ、そしてネロは9階層のハンバーグ村と昨日の12階層の極楽鳥を主に狩っている。


 アンナリーナが階層を進めていると、膠着状態と言うか、魔獣の種類が固定されて来ていた。

 3階層くらい獣系が続き、食べられない魔獣ばかりでアンナリーナが辟易としていたとき、その報せが飛び込んできた。



『主人様、イジです。今、よろしいですか?』


『どうしたの?珍しいね』


『主人様のご指示をいただきたい案件です。

 実は今、7階層にいるのですが……

 まだ生きてはいるのですが、ひどい怪我をした人間を見つけたのです』


「人間?」


 アンナリーナは思わず口に出していた。

 困っている(この場合は生死に関わる怪我をしている)者を助ける博愛主義ではないが、以前から考えていた事があるので、この階層での狩りを中止し、上がっていく。




 8階層はオークとミノタウロスが基本、単体で現れるダンジョンだ。

 得物を振るい、ばっさばっさと両断していくテオドールとイジ、ネロは2人に付与を与え強化に徹していた。


「ヒトの血臭がする」


 人間よりも格段に臭覚の発達したイジが立ち止まり、剣で草むらをかき分け始めた。


「ヒト?

 俺らがここに上がってきたのは初日以来だ。その間にここまで来たパーティがいるんだな……」


 一応生死を確認しなければならず、探していたテオドールたちの前に現れたその人間は、一言で言えば酷い状態だった。


「意識はないが、まだ生きてますね」


 止血はされているようだが右足が膝上から切断されている。

 そしてわき腹にも大きな傷……噛まれて抉れている。


「これは……さほど保たんな。

 足手纏いになって置いていかれたか、それとも他の連中は喰われたか」


 テオドールとネロが話していた間に、イジがアンナリーナに連絡したようだ。

 以前に置いていた9階層の転移点を使って、アンナリーナはすぐに駆けつけて来た。


「残ってるのはひとりだけ?」


「はい、あちらこちらで血臭はしますが、この階層に他にヒトはいませんね」


「逃げたのか、それとも……」


 アンナリーナがあえて口にしなかった言葉、今回はそちらの可能性の方が多そうだ。


「とりあえず、どんな感じか見てみましょう」


 ぐったりと横たわった重戦士の鎧を外し、ヘルムを取る。

 その瞬間、アンナリーナが息を呑んだ。


「アントン?!」


「リーナ、知り合いか?」


 テオドールが訝しげに、そして心配そうにアンナリーナを見る。

 彼女は顔色ひとつ変えていないし、喜んでいる様子でもない。


「私は……生まれ育った村を後にするまで、毎日のようにいじめられていたの。その主犯が先日のナタリアとこのアントンだったの」


 テオドールと従魔たちからザワリと殺気が吹き上がる。


「さて、と」


 アンナリーナの手が、アントンのわき腹に添えられた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ