表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
309/577

69『説明』

『どうしたの? 一体何が起きているの?』


 急に厳しくなった良人の態度に、目を潤ませたカテレインはまだ立ったままだ。

 今までなら王の気持ちは常に自分に向いていたと自負する彼女は、到底今の状況を受け入れる事が出来ないでいた。

 学院で知り合って17年余り、常に愛を囁いていた良人が今は疎ましげに睨めつけてくる。


「……ライオネルさま」



【魅了もち】は2種類いる。

 一つは自分が【魅了もち】だと自覚して対象を籠絡してかかるタイプ。

 そしてもう一つは自分が【魅了もち】だと知らずにいて、普通に生活しているのに信奉者を得てしまうタイプだ。

 それぞれに対象者が複数の場合と単一の場合があって、このカテレインのケースは、無自覚な【魅了もち】で単一対象である。


 茫然としているカテレインが女官の手により席に着き、やっと “ 茶会 ”の始まりとなる。



 国王自らの声掛かりにより、アンナリーナが紅茶を淹れることになった。

 破格の扱いにアンナリーナはびっくりしたが、マナーは万全であり問題ない。

 そしてアンナリーナが使う湯は魔力水を沸かしたものだ。

 それを完全に操作して紅茶を淹れていく。



「これは……

 何とも芳醇な香りだ。

 うむ、まったく渋みを感じさせない、素晴らしい茶だ」


「ありがとうございます。

 この場にご用意されていた茶葉が素晴らしいのでしょう」


 大公の言葉をさらりと流して、アンナリーナはちらりとユングクヴィストを見た。


「この魔力水を飲めば、身体に活力が湧きますぞ。リーナはポーションを作る時にも活用しているのです」


 外部から魔力を取り込むことなど滅多にない。

 これには王自らも喜び、カップを持ち上げる。

 そしてしばらくは、カテレインを除いて、優雅な茶会の時間が進んでいた。




「さて、先日報告のあった件だが、此度はそれ以上の報告があるそうだな」


 王自らの言葉に、穏やかだった時間が過ぎ去り、糾弾の時が始まることを告げる。


「陛下、寵姫殿の件は確認が取れまして、護符の効果も確認されました」


「何のこと?」


 あまりの展開に茫然としていたカテレインが、ふらふらと立ち上がる。

 すかさず近づいてきた近衛兵が腕をとって座らせる。

 ユングクヴィストが沈黙の魔法を使ったようで、静かになった。


「さて、これからの話は少々込み入ったものになります。

 リーナ」


 ユングクヴィストに促され、アンナリーナが立ち上がり、一礼した。


「どこからお話しすべきか悩んだのですが……エレアント公爵様、よろしいでしょうか?」


「ああ、構わないよ。

 すべて陛下にお話し申し上げてくれたまえ」


「では、遠慮なく。

 陛下、陛下は昨年の学院の入学式にあった、ある事件をご存知でしょうか?」


「学院の入学式といえば【ツベルクローシス】の一件だな?」


 ツベルクローシスは恐ろしい伝染病であり、感染が確認されれば国家が動くこともある。

 幸い、この一件は初動が早かった事もあり、そして罹患した令嬢の家が協力的だった為、それ以上感染が広がる事はなかった。

 ただ令嬢が罹患した感染経路は結局わからずじまいで終わってしまっている。


「あの件で私は、当時学院にいたすべての方を【解析】しました。

 すると、奇妙な状態の方々に遭遇したのです」


「その方々は3人いらっしゃって、全員女性です。

 そしてその方々は……まだお若いのにお子様を持つ事が出来ない身体になっていたのです」


「それはどう言った状態なのだ?」


 大公が純粋に興味を持って聞いてくる。


「色々調べて見ましたが、一種の魔導具の影響だと」


「それはどのようなものだ?」


「魔力を増強するものです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ