7『ネロの成長』
久しぶりの学院に、アンナリーナは多少うんざりしていた。
「おはようございます。
お久しぶりですわね。
休暇中、いかがお過ごしでした?」
このような挨拶があちらこちらで行われていて、さほど多くないがアンナリーナにも声をかけるものがいる。
「リーナ様、おはようございます。
休暇中はこちらにいらっしゃったのですか?」
一部の者は、アンナリーナがギィ辺境伯領の出身だと知っている。
「おはようございます。
そうですね。
王宮のパーティに行った後は、護衛依頼でアグボンラオールまで行ってきました」
教室が、しんと静まり返る。
「あれ……?
そ、そうですわね、冬の護衛依頼は少々骨が折れました。途中で寒波に襲われて、まあ事なきを得ましたが」
ほとんどが貴族の、同級生たちが沈黙した理由はそちらではない。
「あの、リーナ様?」
恐る恐るといった様子でひとりの女生徒が話しかけた。
「王宮のパーティ……と、仰いました?」
「ええ、年越しのパーティにユングクヴィスト様のパートナーとして出席いたしました」
周りからどよめきが沸き起こる。
アンナリーナとしてはそれほど大ごとだと思っていなかったので、この事自体が驚きだった。
「そ、それで?
どのようなパーティでしたの?
ユングクヴィスト様とご一緒なさったのならひょっとして、国王陛下に……」
「はい、ご挨拶してお言葉を頂きました」
悲鳴のような叫びが沸き起こって、アンナリーナはげんなりした。
その夜アンナリーナは、ツリーハウスでネロと対面していた。
「調子はどう?」
「はい、ご主人様、この通り快適に過ごさせて頂いております」
アンナリーナが折を見て、体力値と魔力値を供与していたので、今のネロはずいぶんと成長している。
「それでは先に【体力値供与】【魔力値供与】【スキル供与】雷魔法【鑑定】」
ネロ(スケルトン、雄)
体力値 1560
魔力値 1485
スキル
火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ]
氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
水魔法(水球、ウォーターアロー、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
「勉強は進んでる?
ご飯はちゃんと食べている?
それから……何か思い出した?」
「はい、この指で書くことも慣れましたし、食事も美味しく頂いています。
……読み書きや計算や、食事の作法や生活に関することは思い出したと言うか、覚えていた?のですが、自分自身のことはまるで無かったかのように思い出せないのです」
「うん、まあ無理しなくていいと思うよ。今はもう、ネロは私の家族なんだしね」
骸骨の下顎が震え、小さく頷いた。
「それでね、ちょっと以前から考えていたんだけど……ネロの仲間を増やそうと思うの」
「スケルトンをですか?」
「それも、行く行くは考えているけど、今回はアンデッドだよ。
ネロはどう思う?」
「ご主人様が死霊魔法を使って【眷属】を増やそうと仰るのですね?
もちろん私に否やはございませんが」
「次の子は、純全な戦士になると思う。イジ並みにごつい子だけど面倒見てあげてくれる?」
「もちろん、私に出来る事ならば」
そう言って立ち上がったネロは、アンナリーナがうっとりするほど綺麗な礼をした。




