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5『アンナリーナの気晴らし』

 テオドールの見ている前で、アンナリーナがアイテムバッグをたすき掛けした。

 そしてローブを羽織る。

 その足元は丈夫なブーツで固められていた。


「リーナ、一体何のつもりだ?」


「最近、運動不足だったので、ちょっと運動しようと思って。

 それと、ストレス解消?」


 テオドールは目を丸くしている。


「さあ、熊さんも準備して?

 私はイジを連れてくる」




「それで、ストレス解消……とやらでここに来たのか?」


 今、アンナリーナたちは、デラガルサダンジョンを訪れている。


「うん、久しぶりに暴れちゃおうかな、って。

 熊さんも身体、鈍ってるんじゃないの?」


 そう今回はいつもの、アンナリーナの反則とも言うべき【血抜き】や【サファケイト】ではなく、テオドールやイジがその手で魔獣を狩るのだ。


「しかしリーナ、おまえもまた思い切った事を……

 新学期はもう、4日後じゃあなかったか?」


「そうだよ〜

 もう、ギリギリまで遊んじゃうからね」


 なんとも豪気な事だ。

 裏返せば、それほど精神的に抑えつけられていたということだろう。

 アンナリーナたちはいつものように、8階層の転移点に姿を現わすと、まずは【探査】した。


「……冒険者はいないね。

 しばらくは熊さん、無双できるよ」


 この階層に主に出現する魔獣はミノタウロスである。

 イジは大剣を手に周囲を警戒し、テオドールも今まで担いでいた戦斧を手にした。


「おそらくミノタウロスが3頭、こちらに近づいてくる……イジは右、熊さんは左、後ろのは私が引き受ける。

 来るよ!」


 振り向きざまに放ったレーザーはミノタウロスの眉間を貫き、その場に崩れ落ちる。

 あまりにもあっけなく、アンナリーナの分担は終了した。

 テオドールは気をとりなおし、ミノタウロスに向かっていく。

 その時イジは、すでに相手と対峙し、一合、二合と刃を交わしあっている。

 そしてその大剣は、ミノタウロスの脇腹を切り裂いた。

 そして隣ではテオドールが、お互いの戦斧と戦斧を叩きつけ合いながら、次は距離をとり、宙を切る。

 中々勝負がつかないが、テオドール自身は心底楽しんでいるように見える。

 大柄な身体を軽々と動かして、左右に飛び退る様は、やはり一流の冒険者の名に違わない。

 まるで遊びの相手をしていたように息も切らさず、最後は頭部を一閃した。


「はい〜 ふたりともお疲れ〜」


 いつも通り、そそくさと血抜きして収納していく。

 そして9階層でもそれを繰り返した。


「うん、ハンバーグ村もいつもと変わらず、いい感じ」


 今日はテオドールとイジが魔獣を討伐している。

 腕が鈍らないよう、テオドールは定期的に依頼を受けている。

 だが、今日は少々思うところがあって、イジに討伐させてみた。


「ねえ、熊さん」


「あぁ?」


 10階層に向かう階段の途中、水筒の冷えた茶を飲みながら、テオドールはアンナリーナの声かけに応えた。


「イジを冒険者にできないかな?」


 彼はアンナリーナの従魔だが、魔獣でグレーオーガなのだ。

 そんな彼をギルドに登録させて冒険者にする。そうすれば他国やほかの町に入るとき、一々テントに引っ込まなくて済む。

 そしてアンナリーナたちと、堂々と町を闊歩できるだろう。

 そうなるには障害が大きそうだが。


「ん〜

 以前、リザードマンが冒険者やってた事があるな。

 俺は見たことはないが、ハーフ・サイクロプスの冒険者も聞いた事がある」


「へっ?」


「元々がおまえの従魔なんだ。

 何とかなるんじゃないかな」


 案外あっさりと道は開かれそうだ。


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