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97『穏やかな朝』

「おはようございます!」


 御者ボリスがぐっすりと寝て、目覚めたテントから顔を出すと、昨日から旅の仲間となった少女が魔導コンロを前にして笑んでよこした。


「おはよう、リーナちゃん。

 昨夜は……悪かったな」


 どうやら何もせずに眠ってしまったことを言っているようだ。


「ううん、御者さんは一日中外にいるんだもの。寒さ、大丈夫?」


「リーナちゃん、それを言えば護衛のテオドールさんだって一緒だろう?

 それから俺の名はボリスだ」


 テオドールには○ートテックの下着やダウンの胴着、それに耐寒の魔法をかけてある。

 もちろん分厚い毛皮の外套や帽子、手袋もだ。


「ボリスさん、せめて温かいものを食べて暖まって下さい。

 あ、顔を洗うお水、出しますね」


【ウォーター】と言えば桶に水が溜まっていく。

 渡された桶の中身はぬるま湯だった。

 その間に淹れたのだろう、差し出されたカップの中はボリスの知らない、色の濃い飲み物だった。


「これはポタンポと言う薬草の根から作ったコーヒーです。

 身体が温まりますよ」


 もうすぐ食事の用意ができると、そう言ったアンナリーナ の周りでは、パンの焼ける良い匂いがしていた。



 今朝は携帯用魔導オーブンSまで登場し、パンを焼いている。

 隣のコンロではスープが煮立ち、フライパンの中の厚切りベーコンがえも言われぬ良い匂いをさせていた。

 テーブルの上にはアボガドとじゃがいものコロコロサラダがのっている。


「朝からぶどう酒はないですよ。

 そのかわり夜はまた、期待して下さい」


 口の中にこみ上げてきた唾を飲みくだしながら、ボリスは馬たちの元に向かった。

 そこではもう、テオドールが飼葉を与えていた。



「今朝は根菜とチキンボールのスープと厚切りベーコン、アボガドとじゃがいものサラダと焼きたてパンです」


 旅の最中の朝食とは思えないメニューにダージェは目を輝かせる。


「さあ、召し上がって下さい。

 パンはお代わりもありますからね」


 淑やかな仕草でパンにイチゴのジャムを塗り、咀嚼する。

 あっさり味のスープは、意図して身体を温める野菜を選んだ。


「美味いな〜

 リーナちゃん、いいお嫁さんになれるよ」


「あ〜、あはは?」


 とりあえずは笑ってごまかす。




 今日の旅程は、天気と足元の良いうちに少しでも進むということで、今夜も野営になりそうだ。

 ただ、アンナリーナ がいるため心配はしていない。

 もしも野営地に辿り着けなくても、アンナリーナ の結界があれば問題ないだろう。


「熊さん、この香炉をそのへんに吊るして」


「リーナちゃん?」


「これは魔獣よけの香です。

 森狼くらいなら、この匂いを嫌がって寄ってきませんから」


 次から次へと出てくる、常識外れな品やアンナリーナ 本人の魔法。

 ダージェ自身、テオドールとは長い付き合いだが今回連れてきたこの少女は何もかもが規格外だ。

 今日はイジも一緒にいて護衛する事になっている。



 天候がよい、という事はアンナリーナ たち旅人にとっても、その対極にいるものにもプラスとなる。


 最初に気づいたのは、もちろん【探査】をかけっぱなしにしていたアンナリーナ で、次は野生の勘なのか、イジだった。


「熊さん! オークの群れが来る!!」

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