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54『学校の事を聞いてみた』

「今日はあの書類を片付けて、それからギルドに行って、熊さんにイジの訓練してもらって〜 マスターさんの返事は向こうから言ってくるまで放っておく、として……あと、何かあったかな」


 ダイニングで朝食を頬張りながら、アンナリーナは今日の予定を諳んじる。


「ねえ、クランっていう組織はお抱えの鍛治師とかいるのよね?」


「ああ」


「そろそろイジの防具や武器を作ってあげたいの。

 でも、領都の鍛冶屋に連れて行くわけにはいかないでしょ?」


「うちの鍛治師はこの建物の敷地内に仕事場を持ってる。

 紹介してやろうか?」


「マスターさんの許可は?

 いらないの?」


 テオドールはパンを噛みちぎりながら考える。


「そうだな、ヨーゼフには一言かけといた方がいいな」


「じゃあ、まずは書類整理だよ」


 ホットミルクを飲むアンナリーナの横で、熊男が盛大に嫌そうな顔をしていた。




「熊さん、これ何よ?」


 山と積まれた書類を整理して、その中身を見てみると、ほとんどすべてが計算の必要なものだった。


「あー、依頼報酬の請求書?」


「なんで放っておくのよ。

 依頼を受けてお金もらわなかったら意味ないじゃん」


「別に金には困ってないし」


 そう言う問題ではない。

 アンナリーナはカリカリしながら書類を手にした。


『会計ソフトとか、せめて電卓でもあれば楽なんだけど……まあ、いいけど』


 熊男の部屋でペンとインクを探すのは無駄である。

 自前のものを取り出して、さっさと仕上げてしまおう。

 幸い、大した桁数ではないのでサクサク進んでいき、一刻ほどで仕上がった。


「クランに所属するとこんな事もしなきゃならないのね。

 次からはマメに、自分でしなきゃ駄目だよ?」


 自分の半分の歳の少女にそう言われて、どちらが年上かわからない。


「読み書きは問題ないんだが、計算はな〜」


 これはしょうがない事かもしれない。

 識字率も低いのだ。

 四則演算までこなせる冒険者がどれだけいるだろうか。


「あ〜 そうだ。

 私、魔法学校に通いたいんだけど、どうしたらいいのかな?」


「学校ォ?」


 テオドールは勉強が苦手で、準成人になって教会主催の勉強会から解放されて、清々した口だ。自ら願って勉強とか理解出来ない。


「そう、この間ダンジョンで治癒師の人と会ってね。

 その人から王都には魔法学校があるって聞いたの。

 ねえ、この国の魔法学校のレベルってどうなのかな?」


 そんな事を言われてもテオドールにとっては畑違いだ。


「アーネストにでも聞いてみるか?

 あいつもエメラルダも魔法学院卒だから」


「ほんと? ありがとう」




 ギルドに行って、目を見張るような金額を平然と受け取って、アンナリーナはテオドールと連れ立って領都の門をくぐり、森に向かった。

 人目のないところでテントを出し、イジを呼ぶ。


「師匠、よろしくお願いします」


 木剣を持って礼をするイジとそれを見つめるテオドール。

 アンナリーナはその場をテオドールに任せ、テント経由でツリーハウスに戻る。


 そこで腰を据えて【異世界買物】の画面を見つめ、今夜の夕食のための買物を始めた。


「むひひ……食べたかったアレ、お腹いっぱい食べるよ!」


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