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王妃1



頭を抱えて本格的に悩み始めた国王陛下。

愚かな王子の愚かな行動のせいで我が国は他国の嘲笑の的と言われますが、愚かなのはエドワード王子だけではありません。我が子可愛さのために、一国の王が土下座して許しを請うた事も原因なのです。


幾ら相手が宗主国の皇帝であっても国王が土下座するなど前代未聞。


『私が何とかするから待っていてくれ』


陛下の言葉を信じたのが間違いの元でした。

何故、私も一緒に帝国について行かなかったのか……せめて宰相あたりを供について行かせるべきでした。

そうすればバカな行動を何としても止めたでしょう。


せめて非公式の場なら何とかなったかもしれません。ですが、謁見の場であのような行動(土下座)をしては隠しようがないではありませんか!


陛下は「誠意を見せなければならない」と仰いましたが、恥を曝して帰って来ただけです!


なにが「皇帝陛下は笑って許してくださった」ですか!

道化(属国の王)が面白いパフォーマンスを始めたのを眺めて笑っていただけでしょう!

どうして分からないのですか!!


()()皇帝陛下が帝国皇女を蔑ろにされて怒らないはずがありません!

忘れたのですか?

五年前に起こった出来事を!


皇帝陛下の御長女が同盟国の王太子と結婚なさいましたが、夫である王太子は側妾を寵愛して正妃の皇女に冷たくあたり、王太子を諫めなければならない立場の王妃()からは嫁いびりをされ、とうとう皇女殿下が父君の皇帝陛下に現状を訴えた事で、両国の同盟は破棄され、皇女殿下の離婚を以て戦争が開始されたのです。

武力を誇る帝国に攻め込まれた元同盟国は三ヶ月もせずに降伏なさいました。

事の発端になった王太子と王妃は罪人として断頭台の露と消えたのです。


皇族に対する不敬は決して許さない――


あの戦争は属国の国々ですら恐れおののいた程です。


その帝国が今回に限って何故か甘い処分を下しました。

まぁ、我が国にとっては甘くないですが……。

最初は属国だからこその処分だとばかり思っていましたが…果たして、あの皇帝陛下がこのように甘いだけの罰を下すのかと、時間が経てば経つほど疑問が出てきたのです。

皇帝陛下は何かの思惑があって、このような事をなさっているのではないかと。


宰相も疑念を抱いているようでしたが、帝国が我が国のような小国に一体どのような罠を仕掛けるというのか、と。そんな面倒な事をするよりも帝国自身が動いた方が早い。今回は偶々、皇帝の機嫌が良かったからこその判決であろう、と考えを改めたようでした。


確かに、属国の立ち位置としても新参者である我が国です。

宰相の言うように、皇帝陛下の気まぐれ……本当に?


「……ひ、…うひ、……王妃!」


「あっ!!!へ、陛下」


「どうしたのだ?先ほどから呼びかけているのに返事もなく……やはりアリス嬢の事で悩んでいるのか?」


「え、ええ。申し訳ございません、陛下」


本当は違いますが言った処で解決にはならないでしょう。


「うむ。それでな、アリス嬢の新しい教育係の事なのだが……シルバー夫人がダメとなると他の者達は辞退するだろう」


「そうですね。シルバー夫人でもやる気を起こさせる事が難しいとなれば教えるのは無理と判断される事でしょう」


「それでだな、王妃。そなたにアリス嬢の教育係をお願いしたいのだ」


「……」


国王陛下、今、何か仰いましたか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分から公開土下座するとかすごいですね。ここまで親バカだと宗主国側は王子の王太子承認を餌にいくらでもコントロールできそう。
[一言] 馬鹿な王様とさっさと離婚しましょう。( ゜д゜)ハッ!
[一言] >「それでだな、王妃。そなたにアリス嬢の教育係をお願いしたいのだ」 王妃「実家に帰らせていただきます」 なんてことにならないといいですね、国王陛下。
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