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決戦⑧

 

 こんなことありえません……。



「おらおらどうした!?俺はまだ戦い足りねぇぞ!!」



 二人掛かりで戦ってもまったく刃が立たないなんて……。


 【武器の神】ケーゴとスイは共闘して【憤怒の悪魔】ガレノスと戦っていた。


 ガレノスの上半身に巻いてある包帯は血で真っ赤に染まっている。

 傍から見ると血だらけのガレノスが劣勢に見えるが全くの検討違いだ。



「くそぉお!!【嫌悪解放:万力(ヴァイス)】!!」



バシィン



「もっと本気で殴ってこい!」


 スイは【力の神に嫌われている】。

 【嫌悪解放】によってその効果を反転させて人間離れした力を手に入れている。


 しかし、その常人離れした力でさえもガレノスの前では無力である。


 ガレノスは軽々スイの拳を受け止めて殴り返す。



「グハァ!!」



 スイが殴られ吹き飛ばされると、

 ガレノスはまるで自分にダメージが入ったかのように身体から血が吹き出る。


 おそらくガレノスは、相手への外傷ダメージを自分に与える能力を持っている。

 その為、殴られた側は見た目からダメージを受けたようには見えない。


 しかし、しっかりと身体の内部にはダメージが通っているようで

 無傷のまま大ダメージを負ってしまっている。



「スイさん!【神力展開:完全治癒(パナケイア)】。」



 ハンナは【癒しの神】で、治癒能力を保有している。

 【完全治癒(パナケイア)】は、生きる気力がある限り傷を癒すことができる。



「ありがとうございます……。」



 もう既にケーゴに3回、スイに4回の【完全治癒(パナケイア)】を使っている。


 回数が増えるにつれて、二人の戦う気力というものがどんどん薄れてしまっているように感じる。


 それもそのはずだ。

 何度立ち上がっても、ガレノスにあれっきり1度も攻撃を当てられていない。



 ガレノスの【穢土掌握:怒首領覇(ドドンパ)】は、ダメージを受けるほど

 パワーアップしていく、肉体強化型だ。


 たとえ、ダメージを受けなくてもガレノスの能力で

 相手への外傷ダメージを自分で受け持つことでパワーアップが可能だ。



「こんなの勝てっこありません……。」

「くそがぁあああ!!【神力展開:神器解放・長手の光(ブリューナク)】!」



 ケーゴは、魔法陣から槍を取り出すと槍の先から神々しい光が放出される。



「消し飛べぇ!!」

「こりゃまずいな。【穢術:怒髪衝天】。」



 ガレノスの髪が逆立ち、右手に赤色の光が集合する。

 そのまま光を握りこみ、光に向かって全力で拳を振るう。



バチィイイイン!!!!



 ケーゴの武器によって放たれた光は、

 結われていた紐がほどけるようにガレノスの攻撃で四方へと散っていった。



「なんだと……。」

「それで終わりか?」

「!?」



 瞬時にケーゴの側にガレノスが移動してくる。



「神力展開:神器解放・ 四連盾(アリー)】!!」


 ケーゴは咄嗟に魔法陣から4つの盾を呼び出した。



「それで防げるかよ!【穢術:怒級漢(ドレッドノート)】!」


 ガレノスの腕が赤く光り出す。

 そしてその腕で1枚ずつ盾を破壊していく。



「一、二、三、四!ちょうど5発だ!」



ドガーーーンッ!!



「グハァァア!!」



 ガレノスの連撃により、盾は跡形もなく破壊されてしまう。


 最後のケーゴへの一発は非常に重く、ガレノスは大量に血を放出する。


 外傷はすべてガレノスが肩代わりするはずだが、

 今回はダメージが大きすぎてケーゴも口から血を吐き出す。



「やべ、やりすぎちまったか?」

「あぁあああああ!!【嫌悪解放:廻天之力(かいてんのちから)】!」

「【穢術:瞋恚(しんに)】。」



バシィイインッ!



 またしてもガレノスによってスイの攻撃は受け止められてしまう。


「いいパンチだ。力は認めるが、使い方がまだまだだ!!」



ドゴーーーーンッ!!!



「ガハッ!!!」


 スイも口から血を吐き出す。

 ガレノスからのダメージが大きすぎたのだ。


 ケーゴとスイはガレノスの攻撃をもろに受けて、動かなくなってしまった。



「まぁ、頑張ったほうじゃねぇか?」



 ガレノスはハンナに向かって歩いてくる。



「すまねぇな。全員殺さねぇと俺もここから出られねぇんでな。」


 ガレノスがハンナに向かって、拳を振り上げる。

 ハンナは思わず目をつぶってしまう。



ドガーーーーンッ



「!?」



 あまりの衝撃に地面が揺れる。

 ハンナはその衝撃でおもわず目を開けた。



 そこにいたのは、



「誰が俺の女に手を出していいって言った?」



 ガレノスの拳を掴んでいるディードだった。


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