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皆で帰らない?

すみません、完全にダウンしてました。

コロナではなさそうですが……無理は禁物ですね。

聖騎士(パラディン)魔法騎士(ルーンナイト)ねぇ……


天職の儀での衝撃的な出来事から数刻。


リーシアとキリトの手を引き、教会から逃げ出した俺はそんな事を考えながら走っている。

先ほどからこちらの後をつけている気配も感じる……その気配を無視しながら。



職業には様々なものが存在する。



いずれもそれに合わせた『スキル』を手に入れる事ができるので、生きていく上でとても有利になるものだ。


どんな職業につくか……これは運と血統、そして人生の経験値だ。


人生の経験値とは何か?


例えば、騎士の家柄の者は『騎士(ナイト)』の職業になるものが多く、商家の家のものは『商人』になる事が多い。

それは血統によるものと言われている。


だが、それだけが原因ではない。


騎士の家に生まれれば幼少から剣を振るし、商家に生まれれば自然と計算ができるようになる。


そのような生まれてから天職の儀までの己の経験の積み重ねも職業に対して大きく影響しているようだ。


ただ、あくまでも多いというだけであって。


騎士の家に生まれ、どんなに剣術修行に明け暮れていても『狩人』になる時もあるし、農家の家に生まれ、魔法の『ま』の字も知らないまま、『魔法使い』になる場合もある。


そうなれば、それは『運』としか言えないだろう。

ただ、このような場合、前者では家から追放される、後者では他の者達からいじめにあうなど悲劇が生まれる事も多いのだけれども……




そんな人生を左右する職業だが、これには【生産職】と【戦闘職】に分けられる。


前者は字の如く、『農夫』や『商人』、『鉱夫』や『大工』『狩人』『漁師』などなど……


普通に生きていく上で必要なスキルを得るにはこちらの職業だろう。


この職業の者は戦争にでもならない限りは、おそらく戦闘など無縁にそして平和に生きていける。



そして後者が、いわゆる『戦士』や『魔法使い』、『闘士』『騎士(ナイト)』と言った戦闘に特化した者たちだ。


衛兵や騎士と言った者たちから冒険者に至るまで、戦いを生業とする者たちはその職業が多い。

スキルも当然戦闘に関わるものなので、有利に戦いを進める事ができるのである。


もちろんそれ以外にも『僧侶』や『回復師(ヒーラー)』『盗賊(シーフ)』と言ったどちらにも属しない職業もある。



そして今回の騒動のタネになりつつある、『魔法騎士(ルーンナイト)』や『聖騎士(パラディン)』という職業であるが。


こちらは滅多に出ないレア職業……所謂(いわゆる)上級職と言われている。


戦士や魔法使いなどを一定のレベルにすると、教会に頼んでクラスチェンジしてもらうと上級職につける。

A級の冒険者などは上位職業が多く、上級職のスキルは皆強力だ。


今回キリトが手に入れた職業……『魔法騎士(ルーンナイト)』はその上位職の中でもかなりレアな職業だ。


攻撃に特化された『魔法剣士』などと異なり、攻守バランスの取れた魔法を扱う騎士……それが『魔法騎士(ルーンナイト)』である。

話には聞いてたけど本当になった人を初めて見た……ってか、それがキリトなんだもんなぁ……


そしてそんな上級職の中でも……最上位と言われるのが『英雄職』と言う奴だ。『勇者』を筆頭に『賢者』や『剣聖』といった職業の者たち。伝説や物語にある『魔王』や『ドラゴン』と戦うような職業……スキルも当然強力である。


リーシアの『聖騎士(パラディン)』なんかも、この部類に入る。神に愛された騎士、『聖騎士(パラディン)』の英雄譚なんて、各地に伝わっているぐらいだ。


そういえばヴィルヘルムの職業に聖騎士(パラディン)の文字があったような……?


そんな聖騎士(パラディン)が現れたなんて広まったら。色々なところから勧誘が殺到するだろう。

王宮では騎士として欲しがるだろうし、冒険者協会だって黙ってはいない。最大限の優遇措置をもって、誘ってくるはずだ。

それだけでなく、貴族はここぞとばかりに囲おうとするだろうし、商人は己が商品の宣伝として使うかもしれない……

教会の人たちからすれば、格好の宣伝戦略(プロパガンダ)になるわけで。

特にこのエルハシアの教会の人間からすれば自分のところから生まれた『聖騎士(パラディン)』だ。絶対に手放したくはないだろう……


そして何よりリーシアは女だ。

血縁に引き込もうとするふざけた考えの輩もいるかもしれない……


うーん……頭が痛くなってきた。どうにもリーシアはトラブルを呼び込む体質があるのだろうか……?


……なーんて、口が裂けても本人には言えないが……


「アル……私もしかしてマズい職業だった?」


心配そうな顔でこちらを見るリーシア。そりゃそうだ。あの教会連中の色めきたった様子と俺が慌てて逃げていくのを見ればそうなるよね……


「話は後だ。今はとにかくアルバ村に戻ろう。今後の事はそれから話をする」


俺はそれだけ言うと、来た道をひた走るのであった。




アルバ村に戻った俺は、その夜、主だった者たちと話し合うことにした。


リーシア、ダリアはもちろん、ヴィルヘルムに加え、エリックを帰る途中引っ張ってきた。


そういえば。ヴィルヘルムのやつ、キリトが『魔法騎士(ルーンナイト)』になった事を喜んでいたな。


さすが、我が弟子っ!!って。


なんか呑気にそんな事を言ってるのがちょっと腹立つ。


「しかし……聖騎士(パラディン)とはねぇ……」


エリックは呆れたように俺の方を見た。

分かるよ……お前の気持ちは。どうせトラブル体質だとでも言いたいんだろ?


いや、でもね……今回は俺のせいじゃないから。


「確かに……これから鬱陶しい輩が来そうではありますな」


ヴィルヘルムもそんな事を言う。


彼の職業は『勇者』と『聖騎士(パラディン)』の『二つ持ち』だ。


普通の『二つ持ち』でも珍しいのに、【勇者』と『聖騎士(パラディン)』って……どう考えても反則だろう?


で、この職業が分かった後、やはり色々なところから声がかかったと。


「王族、貴族なんでもござれ、でした。縁談もよりどりみどり。まぁチヤホヤされましたよ……かなり鬱陶しかったですが」


そりゃそうだ。鬱陶しいよねぇ。


「で、とある王宮にお世話になったのですが……今振り返ると利用されるだけ利用された感じですねぇ」


まぁ、そうだよね。宣伝戦略(プロパガンダ)としては最高の素材だから。

経験者の話は説得力があるよなぁ……


でも、リーシアをそれにするわけにはいかない。


ふとリーシアを見れば、青い顔をしている。そりゃそうだ、ただ強くなりたいがために天職の儀を受けたのに、それがトラブルを舞い込む形になったのだから。


「……私、ただアルと一緒に戦う力が欲しいって言っただけだったんだけど……」


そう呟くリーシアに


「……しかし不思議ですな。なぜリーシア嬢に聖騎士(パラディン)の素質が現れたのでしょう??」


と首を捻るヴィルヘルム。


確かに……先程もあげたように職業には『運』『血統』『人生経験』が大きく関わってくる。


キリトの魔法騎士(ルーンナイト)はちょっと分かる。

ヴィルヘルムがここ最近つきっきりで鍛え抜いていた。それが大きく影響したのだろう……本当は騎士になれば重畳、戦士か剣士かなぁ?なんてヴィルヘルムと話していたのは秘密だ。


だが、リーシアは。剣も持たないし、戦いの経験もない。それなのになぜ英雄職?


もしかしたらリーシアには俺たちの知らない秘密があるかもしれない……そんな事を思ったりする。


『神眼』がもっとレベルアップすればそれが分かるようになるかもしれないが。


それよりも……


「そんな事より、これからどうするか?だよなぁ」


俺の声にその場にいた皆が頷いた。


「で……俺に考えがあるんだけど……」


そう言って俺は一呼吸おく。


ずっと以前から考えていた事。もしかしたらそれを実行する時なのかもしれない……


皆の顔を眺めてから、俺はそれを口にした。


「皆で帰らない?俺たちの故郷の村、『ゼノ村』に」




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