表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/39

暗黒剣 『宵闇』

ダンジョンコアが出てきたということは…






ゾクリ






あぁ、やっぱり。気配感知の悪寒が俺の背中を走る。


俺がそちらのほうに目を向けると……そこには黒い甲冑に身を纏った異様に巨体の剣士が立っている。その手には2本の剣が。

顔は甲冑で隠れているが、肘と膝に僅かにある隙間から黒い骨が見えており、そのモンスターがアンデッドである事が伺えた。


むう…何か嫌な予感しかしない……


俺は黙って『神眼』のスキルを使う。


◇◇


死霊騎士デスナイト




Aランク魔獣


体力2000


魔力2000


攻撃力3500


防御力2500


俊敏性800




スキル 双剣術



いやいやいやいや。


デスナイトって。もうかなりやばいモンスターだよ!!


確かあれ一体を倒すのに……王国の一個師団が投入されたとかなんとか?


前回倒したハイオーガなんかよりもよっぽど強力じゃないかっ!!


しかもスキル持ちって!!おかしいだろ!?


あんな奴が最後にいるってことは……やっぱりここはA級ダンジョンだったんだ……じゃなきゃ、あんな化け物現れないもんなぁ……


そんな事を考えていると……





ドドドドドド




デスナイトはその巨体から想像もつかないようなスピードで俺の方に向かってきた。


「ちいっ!!」


俺は身体強化のスキルを使うと全力でその場から飛び退る。


ドゴッ!!


奴の巨大な長剣が俺のいた場所を叩く。その威力でそのあたり一帯の地面が吹き飛ぶ。


「デタラメだっ!!」


俺はそう思わず口走った。


冗談じゃない。あんなの食らったらソウルイーターのシールドを使ったとしても終わりだ。


とりあえず奴の様子を伺う。全身甲冑で身を包んでおり、隙と言う隙が見当たらない。


強いて言うなら肘と膝のところにあるあの鎧の繋目、もしくは首筋の僅かに骨が見えるところ……か?


そこを狙えばもしかしたら……


その一手にかけ、俺は呼吸を整えると、腹の底に力を入れた。


そして叫ぶ。



「暗黒剣 『紅』」




俺の今使える技の中でも最大の技。魔力が身体全身を伝う。


地面を蹴り、デスナイト以上の速さで奴の首筋の隙間を狙った。……だが。





ガキン!





鈍い音と共に、簒奪王の太刀の刃は弾き返される。


やはり自分の弱点が分かっているのか、その双剣でしっかり防いできやがった。


そしてそのまま俺の体勢を押し崩してくる。



「なっ!?」



体勢が崩れた瞬間。デスナイトはその双剣を俺に向けた。


恐ろしいまでの速さで奴の巨大な長剣が襲う。


一本目は躱せた。だが、もう一本の剣が吸い寄せられるように俺に迫ってくる。


(これが双剣術のスキルか!)


まるで生き物のように迫り来る2本の剣。タチが悪い。


俺は慌ててソウルイーターで盾を作り、それを防ぐ。


斬撃自体は防げたが、その勢いを止める事はできず、俺は後方に吹き飛ばされた。


「ガハッ!!」


地面に強く身体を打ち付けられ、思わずむせかえる。


「ゲホッゲホッ」


たった一撃。それなのに身体全身に伝わる衝撃。そして霞む視界。


だが目を逸らせば殺られる。


どうすれば良い?一体どうすれば……


悩んでいる間にもデスナイトは襲いかかってくる。避ける度にあたり一面の地面が吹き飛んでいく……


何か手はないか?


とにかく考える時間が欲しい。幸いなのはこちらの方が速いことだ。


できる限り、デスナイトから距離を取る。


とにかく奴の双剣さえ防げれば……そんな思いを抱きながら俺は己がスキルを確認した。



◇◇

アルス


職業 

暗黒剣士 LV15

死霊術師 LV1

魔物使い LV1


LV28

体力1300

魔力1200

攻撃力1300

防御力1000

俊敏性1200



スキル

暗黒剣「紅」

暗黒剣「朧月夜」

暗黒剣「宵闇」

ネクロマンシーLV1

モンスターテイムLV1

神眼LV3

アイテムボックスLV♾

ダンジョンキーLV3

強奪LV3

気配感知LV10

身体強化LV2

堅牢LV1


◇◇


そういや、ダンジョン入ってから確認してなかったけど……俺、随分と能力上がってるな……


えっと、何か使えそうなスキルは……


『紅』は防がれた。『朧月夜』もきっと効かない……ん?


まてまて。なんだ?この『宵闇』って?


新しい暗黒剣?


こんなのあったっけ?


そんな事を考えてる間にもデスナイトは猛烈な勢いで迫ってくる。


いや。悩む暇はない。神眼で調べたいところだけど……打つ手がないなら、今はこれにかけるしかない。

やり方はきっとスキルと職業(ジョブ)が分かってるはずだ。あとは魔力を込めるだけ。


覚悟を決め呼吸を整えると俺は大声で叫んだ。


「暗黒剣『宵闇』!!」


予想通り、暗黒剣士の力が身体を勝手に動かしていく。


刀を腰に当て、そして抜き放つように俺は簒奪王の太刀を振りかぶった。


その瞬間


刀身から黒い斬撃が放たれるとデスナイトの甲冑の胴の部分に直撃した。


ガキン!!


鈍い音が響き渡る。

思わぬ攻撃に驚いたのか、デスナイトもまたその勢いで後ろに尻餅をついた。


え?これって……なんか斬撃が飛んでいるの??


……となると……これはある程度距離を取って攻撃できるのでは??


「これは……使えるぞ」


思わず笑みが溢れる。


狙うはあの甲冑と甲冑の隙間。あそこにこの斬撃を入れる事ができれば。


近くに行けば双剣をくらう可能性が高い。だが、遠距離攻撃ならば。


そして肘の隙間にこの斬撃を入れれば奴の腕を落とせる。あの双剣さえ封じてしまえばデスナイトであってもただのでくの坊だ。


俺はこの暗黒剣『宵闇』を狙いを定めて撃ち始めた。まずは奴の右腕。あの肘のあたりの隙間だ。


一発なら防がれる。だから一定の距離を保ちながら俺は何発も何発も連続で斬撃を打ち込んでいく。そしてそのうちの一発が隙間に入り込んだ時……


ガキンっ!!


今までとは違う木が折れるような音が響き渡った。それと同時にデスナイトの右腕が地面に落ちる。


「やった!」


思わず声が出てしまった。


でも狙い通りだ!!


今度は奴の左腕を狙う。


さっきから頭痛がする。それが斬撃を打つたびに酷くなってくる。だが、そんなのに気を取られるわけにはいかない。やらなければ殺られる……


何発打っただろうか。

またしても一つの斬撃が、今度は左腕に吸い込まれる。



再び乾いた音とともに今度は左肘から地面に落ちた。


あの剣が,無くなればこっちのものだ。


奴の動きも止まっている。何か戸惑っている様子だ。例え、Aランクモンスターのデスナイトとはいえ……腕がないのはちょっと滑稽だな。


俺は脱兎の如く駆け出した。狙うは……デスナイトの首。


身体全身に身体強化のスキルを纏い、そして





「暗黒剣『紅』」





俺は必殺の一撃を奴に叩き込む。と同時に……


「よこせっ!!」


奴のスキルも勿論狙った。


俺の右腕が小さく輝く。




ガキン!





幾度目か……何かがぶつかる乾いた音がダンジョン内に響き渡った。


それと同時に、デスナイトの首は……胴と離れ、地面に転がり落ちた……




「ふぅ………」


盛大なため息と共に俺は床にへたり込んだ。


ってか、もう限界……身体が動かないや……





     



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 章をありがとう。 [一言] アルスくんも前の章で魔法のスキルを習得したと思いますが、その名前は彼の「ステータス」には記載されていません。
[気になる点] 防御力が「100」にダウンしてますが…。 攻撃を受けたから? [一言] 更新ありがとうございます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ