俺は変わったんだ
ごめんなさい。
朝未完成のまま、投稿してしまいました……すみませんでした。
「グオォォォォオォォォォォォォォォ!」
狂った様にハイオーガは叫び、そして猛烈な勢いで飛び込んできた。
「ぐっ」
一度でも捕まったらあの腕に握り潰されるだろう。
捕まらず。攻撃されず。そしてあいつに触れる……
そうすれば、ソウルイーターが奴の生命力を奪うはず……
ハイオーガは狂ったように俺を狙ってくる。
それを避ける。避ける…避ける!!
ギリギリの攻防。ヒリヒリする様な感覚。
昔の俺なら……確実にビビって動かなくなってるのに….
あれ?俺、笑ってる??
強い奴と戦う事に興奮している……なんだろ?これ。これが職業
の影響なのかな……
そんなことを考えながら着実に近づいていった。そして……
よしっ!足に触れた!!
「ガァアアアアアア?」
「ぐあっ!?」
触れた瞬間、膝を崩したハイオーガ。だが、同時に手を振り払い、俺を弾き飛ばした。
「がはっ!?」
俺はまた呼吸が出来なくなるほど地面に叩きつけられた。
なぜだ?
今までのゴブリンでは一瞬でも触ったら膝から崩れ落ち、そのまま絶命したはずだが……
もしかして強いやつには効かない?いや、そんなわけがない。現にあいつは嫌がっていた……となると多少は削れたと言うことか……
地道にやるのか?いや、それではダメなのか……?
改めてハイオーガの様子を『神眼』で確認する。
◇◇
ハイオーガ
Aランク魔獣
体力1200
魔力0
攻撃力1500
防御力2000
俊敏性600
スキル 剛腕
雄叫び
◇◇
うん、かなり体力も減っている……けど、あれって片腕がないから……だよね。
時間を稼げば出血多量で死ぬか?とも思ったけど、血は止まってるし。どういう身体だよ、あいつ。
ちょっとずつ削っても難しいかもしれないな……いつかは俺が疲れてあの拳をくらい……
あー、想像したくない。
本当はやりたくはなかったんだけど……ひとつだけ、考えていたことがある……けど。こりゃあ少し覚悟を決めないといけないかもね……
俺はそうやって一息つくと、ハイオーガを睨みつける。
「やるしかないか……」
そう呟くと、俺はハイオーガに向かって走り出した。
◆
避ける避ける避ける
ハイオーガの拳を徹底的に避け続ける。
まだだ。これじゃない。
できるだけ近づくんだ。そうすれば奴は
殴らずに掴みかかってくるはずだ。
俺は懐近くに近づいていく。その時
きた!!
ハイオーガは拳ではなく、手を広げて俺を掴みにきた。
呼吸を整え、腹筋に力を入れて。そして身体強化を忘れずに……
ハイオーガは俺の胴をガッチリと掴む。ロックリザードの鎧がギリギリと音を立てて悲鳴を上げた。
と、同時に俺も胴を掴んでいるハイオーガの手を握り
「吸い取れ!ソウルイーター!!」
と叫ぶ。
「ガァアアアアアア!!」
ハイオーガの悲鳴が響き渡る。と同時に……
「あぁぁぁあああああああ!!」
俺の叫び声もそれに重なる。
さぁ、我慢比べだ、ハイオーガ。負けた方が死ぬ方さ。
俺が潰れるのが先か。それともお前の生命力がなくなるのが先か……
勝負だ……!!
◆
視界が霞む。
あれほど頑丈だったロックリザードの鎧はよく見るとヒビだらけになっている。
……これはまずい……
すでに肋骨は何本かいってるだろう……口の中はすでに血の味で充満している。
でも……俺は離さない。離したら俺の負けだ。すなわち死を意味している。それに……
ここで負けたら……俺は何も変わらない。
昔の俺なら辛さに負けて手を離していたのかもしれない。でも……俺はもう違う。
「俺は変わったんだ。もう、あの底辺にいた頃とは違うんだ……!!」
思わずそう叫んだ、その瞬間だった。
ハイオーガの手の力が一気に緩む。そして……俺はするり、とその中から解放された。
(何があったんだ……?)
薄れゆく意識の中、俺もその場に倒れ込む。その時……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
大きな地響きとともに、世界が壊れ始める。
あ、これってダンジョンクリアかな??
そう思った瞬間……
俺は最初にいた孤児院裏の森の中に倒れていたのだった。
◆
いつもの画面が横たわった俺の目の前に現れる
霞む視界と戦いながら、俺はほの文字をゆっくりと読んだ。
◇◇
チャレンジダンジョン LV2クリア
◯報酬◯
簒奪王の大刀
鬼戦士の鉈
魔石(小) ×50
魔石(中) ×2
魔石(大) ×1
ゴブリンの耳×300
帰還玉
ポーション×10
ハイポーション×2
全てアイテムボックスに入りました。
ダンジョンキーがLV3となりました。
◇◇
おぉ、なんかとんでもなく今回はアイテムが入ってる。
魔石……凄いたくさんだ。魔石は高値で売れるからな……ラッキーかも。
でも。そんなことよりとにかく今は……
俺は動かない身体を無理して動かし、アイテムボックスを開く。
そのハイポーションを飲んで、身体を治さないと……




