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暗黒剣 『紅』

ワーウルフを倒せた。


今までは相手にもならなかったモンスターなのに。


興奮で俺の手足が震えている……


「……これなら……もしかしたらいけるかも?」


そう呟くと俺はダンジョンの奥へと探索を始めた。


太陽の光など全く入ることのないであろう場所なのに、不思議と周りがよく見える。


灯りが灯っているわけでもないのに。


「変なところだな」


そう呟いたその瞬間だった。





ゾクリ





先程と同じような気配を感じたのは。


思わず俺は再び飛び退る。


何だ?今のは……


しかし、それと同時にワーウルフが転がり落ちてくるように飛び出してきた。


……危なかった……後ろに跳ばなかったらやられていた……


おれは『神眼』を使ってワーウルフのステータスを確認する。


◇◇

ワーウルフ


Cランク魔獣

体力550

魔力0

攻撃力200

防御力200

俊敏性300


スキル 爪撃

    牙撃


◇◇


(落ち着け。前回のやつと一緒だ……きっと同じようにやれるはず……)


そう心の中で念じて俺は『黒金の小太刀』を握りしめる。そして一息呼吸をするとワーウルフに向かって走り始めた。


(不思議だ……全くの素人なのに身体が勝手に動く……これが職業(ジョブ)か…!!)


ワーウルフの乱撃をしっかり見極めて避ける事ができる。


ステータス上では圧倒的に俺の方が不利だったはず。でも……


(それを補ってくれるのが『暗黒剣士』の職業補正だ)


ステータスを状況に応じて向上させる……それが職業補正という奴だ。

それは様々な職業にあると言われている。

おそらくそのおかげでワーウルフの動きに対応できるのだろう。


初心者ノービスの時とはえらい違いだ。


俺は冷静にワーウルフに近づくとその喉元に黒金の小太刀を差し貫いた。


奴の喉からは滝のような血が溢れてくる。


「ふぅ………」


ワーウルフの目から光が消えたのを見計らうと、俺は再び腰を下ろし、大きなため息をつくのであった。





こうやって俺は着実に残り2体のワーウルフも仕留める事ができた。


ただ、ここにきてこのダンジョンに対し、疑問に思う事が幾つかある。


まず一つ。倒したモンスターからは何も得られない、という事だ。


本来モンスターを狩った場合、その体内に宿る魔石や彼らの体の部位を手に入れる事ができる。しかしこのダンジョンの場合、狩ったモンスターは跡形もなく消えてしまうのである。


そしてこのダンジョン。

本来ならダンジョンにはアイテムが落ちている事が多い。それもまた冒険者の糧となるのだが……ここのダンジョンは全くそれがない。


(ここって……俺を鍛えるためだけのダンジョンってことなのか??)


そう、4体目を倒した時、俺は身体が随分と軽くなっていることに気がついた。

これってもしかしてLVアップしているのか??


自分のステータスを確認すると衝撃の事実がわかるアルス



職業 暗黒剣士 LV5

   死霊術師 LV1

   魔物使い LV1


LV15

体力550

魔力220

攻撃力280

防御力240

俊敏性300

スキル 暗黒剣「紅」

ネクロマンシーLV1

モンスターテイムLV1

   神眼LV1

   アイテムボックスLV♾

   ダンジョンキーLV1

   強奪LV1

   気配感知LV5



俺自身のLVもそうだけど、暗黒剣士のLVが上がってる……!


それにスキルも増えてるけど……


(強奪ってなんか物騒な特技だな……)


これってつまりは暗黒剣士のスキルって事だよな。一体どんなスキルなんだろう……


それに気配感知はLV5。さっきからワーウルフの先制攻撃をかわせたのはきっとこのスキルのおかげに違いない。


もしかしてまだまだ増えるのかな??


そう思うと、ワクワクが止まらない。


とにかく次のワーウルフで最後だ。5匹目を倒したら一度一休みしよう……


そんなことを考えていた時。そのお目当てのワーウルフと出会ったのだった。


そしてそのワーウルフは……予想を遥かに超えた奴だった。


後に俺の考えがとても甘かったと反省する事となる……



ダンジョンに入って一刻ほど過ぎてからだったか。


ようやくお目当ての最後のワーウルフと俺は出会った。


あれ……こいつなんか色が違う……



◇◇

ワーウルフ(亜種)


Bランク魔獣

体力1250

魔力0

攻撃力450

防御力300

俊敏性600


スキル 爪撃

    牙撃

身体強化

◇◇




は??Bランク??


ちょっと待って。Bランクなんて、本来ギルド案件のモンスターだぞ?ソロが手出しするようなモンスターではないはずだが??


混乱する俺を尻目にワーウルフ(亜種)は、俺の方をギロリと睨むと、唐突に襲いかかってきた。


「……くっ!速い!!」


動き始めたと思ったら突然目の前に現れる……なんてスピードだ……追いつけない……


相手のスピードに俺は防戦一方となる。


(くそっ!このままじゃジリ貧だ……)


何か手はないか……奴の足が止まるような手は……


ワーウルフ(亜種)の攻撃を防ぎながら俺は奴の動きを観察する。


攻撃をする際に、少しの時間タメがある。この瞬間を狙うか??


俺は呼吸を整えて、奴の足が止まるのを待った。


(ここだ!!)


僅かな時間のタメ。


待っていた瞬間。


そこを見計らって俺は黒金の小太刀を奴の首筋に叩き込む。




ガキン!!


「なにっ!?」



俺の渾身の力を込めて突き出した黒金の小太刀は奴の皮膚を通らない。


(な…なんで?)


俺は慌てて退くも、そこはワーウルフの間合い。


「ぐあっ!!」


ワーウルフの爪が俺の肩を引き裂く。俺の方から赤い鮮血が空を舞う。


ただ幸い、利き腕とは逆の腕だ。


俺は肩を押さえながら再び『神眼』を使った


◇◇

ワーウルフ(亜種)


Bランク魔獣

〈身体強化中〉

体力550

魔力0

攻撃力1200

防御力1200

俊敏性1200


スキル 爪撃

    牙撃

身体強化


◇◇


おいおい、反則だろ……あれ。


防御力が急激に上がっているからか……


って事は俺に打つ手はないじゃないか……


恐ろしいまでのスピードでワーウルフ(亜種)は再び襲いかかってくる。片腕が上がらない事もあり、俺はさらに防戦一方となった。


だけでなく、攻撃力が上がった事もあり、一撃一撃の度に俺は吹き飛ばされていく。


「ガハッ!」


こりゃあ詰んだか??油断した……こんな事が待っているなんてなぁ….


何か他に手は……


そう思った時、俺の脳裏に自分のスキルの文字が浮かぶ。





暗黒剣 『紅』






そういや、あのスキルってなんなんだろう??


そもそもどうやってやれば良いんだ??


(せめてスキルの使い方が分かれば……)


そう念じた時だ。


俺の目の前に『神眼』の画面が現れる。




◇◇


暗黒剣 『紅』


一撃必殺の暗殺剣。心を沈めて魔力を剣と足にタメ、同時に解放する


◇◇



………『神眼』ってこんな事もできるんだ…なんて便利なんだろう。いや、今はそんな事のんびり言ってる暇はないか。


生き残るにはもうこれしかない。


やれるだけやってみるさ。頑張れ俺。


ワーウルフ(亜種)にもう何度目かの攻撃をくらい、壁側に飛ばされた後……俺はその勢いを使ってさらに距離をとる。


(魔力を剣と足にタメて……と)


やり方はなんとなくだけど分かる。これが職業(ジョブ)の力か……??


ワーウルフ(亜種)は飛び退った俺の事を見定めると、先程と同様に凄まじいまでのスピードで襲いかかってきた。


(ってか、その『身体強化』って反則なんだよ!俺だってそんなの欲しいぐらいだ)


そう毒づいた瞬間、俺の腕が一瞬輝いたのが分かった。


(……??)


だが、そんな事に気を取られる訳にはいかない。


集中。集中だ。これに全てをかける……


そう念じながらワーウルフ(亜種)が近づいた瞬間。


「暗黒剣 『紅』」


俺はそれを解き放った。





ガキン。




金属音のような音がダンジョンに響き渡る。そして……


ワーウルフ(亜種)は真っ二つとなり、凄まじいまでの鮮血を噴き出し、地面を『紅』に染めながら、その場に崩れたのだった……


いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ワーウルフ(亜種) Cランク魔獣 〈身体強化中〉 C>Bかな?
[良い点] 面白い・・・・・・・・・・ 毎日更新無理しないでください。 私も社会人なので忙しいのわかります。 お昼休みにこの小説で元気もらってます。 更新ありがとうございます。 無理しないでく…
[一言] 対戦相手から自分のスキルを奪うことができるチート「強盗」スキルが登場します。
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