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第60話 ルイルイの過去➀

「あれは約22年前のあの日から始まったんだ……」


 ル、ルイルイのやつ、マジで語り出したぞ!!


「私が5歳の幼稚園年中さんの頃、超がつく程、めちゃくちゃ可愛らしくて誰が目に入れても痛く無い子だったんだが……」


 そんな情報は要らねぇよ!!


「ただ当時の私は余りにも可愛過ぎたせいで周りの女子から嫉妬され、『あんたはブス、凄いブス』と言われ続けてしまい、いつしか男子達にまで言われるようになったんだ。簡単に言えばいじめられていたんだよ……」


 美人過ぎてイジメられるってかぁ……よく聞く話だけど……どこか先輩達の環境に似たようなところもあるよな? 


「だから言われ続けているうちに私はいつのまにか自分の事をブスだと本当に思い込み、次第に自分に自信を無くしてしまった。勿論、性格も大人しくなり何をするにおいても引っ込み思案になってしまったんだ。そして私は常にビクビクしながら人の顔色ばかりを見て生活をしていた……」


 えーっ!?


 このルイルイが大人しくて引っ込み思案だっただと!?

 どの口が言ってるんだ。冗談も休み休みに言えよな!!


「そんなある日の事、私の通う幼稚園に『名染伊太学園』の『ポジティ部』の部員達がボランティア活動の一環として私達園児と交流をする為に訪問して来たんだ」


 おーっ!!

 ここでまさかの『ポジティ部』登場かよ!?


「さすがポジティブな性格の部員達が集まった部活だ。みんな明るくて面白い人達ばかりだった。そしてその中でもひと際、目立っていたのがポジティ部部長だったのさ……」


 なんか、ポジティ部部長って聞いたらあのテンテン部長の事を思い出しちまって、さっき食った晩飯が出て来そうになるぞ!!


「ポジティ部部長……その部長こそが私の初恋の人『ヒトヤン様』だ……」


「ひ、『ヒトヤン様』って……『様』を付けるなんて余程尊敬していたのか!? このルイルイが人を尊敬なんてできるのか!?」


「『このルイルイ』ってのは失礼な奴だな!? それに私だって自分が認めた人間に対しては敬意を示すぞ。フッ、まぁいい……このヒトヤン様は他の部員達と比べてもレベルが違い過ぎるほど『超ポジティブ』な方だったんだ」


「あの、テンテン部長よりもか?」


「バカ野郎!! あんな『クソ野郎』と比べるのも恐れ多い方だ!!」


 あれだけルイルイの事を崇拝しているテンテン部長を初めて気の毒に思えたぜ……


「ヒトヤン様はあっという間に園児達に大人気となり、彼を取り合い園児同士で争いが起こった程だ」


 う~ん……あのテンテン部長だったら園児達が取り合いになるどころかウザすぎて逃げ惑うかもしれないよな。


 あっ、なんかすみませんテンテン部長……


「勿論、当時の私は彼を取り合いをしている光景を指をくわえて眺めているしかできなかったんだな。なんてしおらしい私なんだろうか!?」


 自分で言うなよ!?


「しかし私が指をくわえて見ていたその時、ヒトヤン様の目と私の目が合ったんだ。するとヒトヤン様はニコッと素敵な笑顔で私の方に近づいて来た。そう、これが私とヒトヤン様との運命の出会いの始まりなのだーっ!!」


 ルイルイのやつ、めちゃくちゃ大袈裟に語ってないか?


 っていうか、いつものルイルイの喋り方じゃなくなってきているから俺としては聞いていて凄く気持ち悪くなってきたんだが……


「さぁ、ここから先は子供時代の回想シーンをお送りしよう!!」


 お送りしなくてもいいよ!!


――――――――――――――――――――――

【22年前・ルイルイ5歳当時 ルイルイ視点】


 うあわっ、どうしよぉ? 

 あの面白そうなお兄ちゃんが私のところに来たっちゃよぉぉ。


「お嬢ちゃん、名前は何ていうんかな?」


「クチガワ……ルイ……」


「お~そうなんや~!? お嬢ちゃんの名前は『ルイ』ちゃんっていうんか~!? 顔も可愛らしいけど名前も可愛らしいな~?」


 え? 私、可愛くなんてないよ。お友達からはブスって言われてるのに、お兄ちゃんは何でそんなことを言うのかな?


「お、お兄ちゃんのお名前はなんていうの?」


「ああ、お兄ちゃんの名前はなぁ『ひとし』っていうねん。小さい頃からみんなには『ヒトヤン』って呼ばれてるから、ルイちゃんもお兄ちゃんの事は『ヒトヤン』って呼んでくれてええで」


「ヒ、ヒトヤン……?」


 変な呼び方だなぁ……


「そう、よーく言えました!! ちゃんと覚えといてや? そんじゃぁ、お兄ちゃんはルイちゃんの事を今日から『ルイルイ』って呼ぶ事にするわな!? その方が愛嬌があってええやろぉ? 『ルイルイ』……うん、ええ呼び名やわ~っ!!」


「ル、ルイルイ……?」


「そう、『ルイルイ』や!! おっ、気に入ってくれたみたいやなぁ?」


 あまり気に入ってないんだけどなぁ……でも嫌がったりしたらヒ、ヒトヤン悲しいだろうなぁ……


「う、うん……とっても気に入った……と思う……」


「ハッハッハッハ!! そうかそうか、それは良かったわ。ところでそのルイルイは何でみんなと一緒に遊べへんのや? さっきから1人でこっちの方をずっーと見てたからめっちゃ気になっとってん!!」


 そ、それは……だって……


「だって、私みたいなブスが行くと……みんな嫌がるし……」


「え―――っ!? そんな事ないやろ~っ!? ルイルイめっちゃ可愛いやんか~っ!!」


「か、可愛くないもん!! いつもみんなから『超ブサイク』って言われてるもん……」


「な、なんやて~っ!? 『超ブサイク』やて~っ!? それは絶対無いわ~ひどすぎるわ~っ!!」


 ヒトヤンは本当にそう思っているのかな?


「あっそっか!! そういうことか!? フムフム、なるほどなぁ……」


 え? 何がなるほどなのかな?



「ヒトヤン、早くこっちに来てよぉぉ!?」

「そうだよぉぉ!! そんなブスはほっといて早く僕達と遊んでよぉぉ!?」


「・・・・・・」


「ヒトヤン、私達とも遊んでよぉ!?」

「そうだよぉぉ。男の子達とばかり遊ぶのはズルイわ!!」


「よーし、みんな集合やーっ!! みんなヒトヤンお兄ちゃんのところに集まれ~っ!!」


 ガヤガヤ……ガヤガヤ……


「ヒトヤンどうしたの?」

「みんな集まったよ? 何か面白い事してくれるの?」


「みんな、今からヒトヤンお兄ちゃんの言う事をよ~く聞きや!!」


「 「 「 「うん!!」 」 」 」


「よ~し、ええ返事やなぁ!! ほんなら言うでぇ? 今お兄ちゃんはここにいるルイルイと凄い約束をしたんや~っ!!」


 え? や、約束?

 私とヒトヤンが約束??


 ヒ、ヒトヤン……私、ヒトヤンと何も約束なんてしてないよ……

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