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エピソード053 私達、魔物の大群に撤退戦です

今回カットしていったら大分短くなりましたね……。


 グラネロの村に到着した途端、私達は魔物の大群に囲まれた。私やアレックスの広範囲殲滅攻撃によって一時的に魔物を倒す事には成功した。

 しかし、謎の召喚魔法によって次々と現れる魔物に、私達はなすすべなく騎士団が駐留している場所へと、撤退戦を強いられていた。



「ほっ、ほっ、ほっ……」

「ご、ごめんね。私、足遅くて……」


「だいじょうぶ! ……ごめんね。今のベルは一人じゃないとおもくてとべないの。そのかわり、ちゃんとルシアをおんぶして走るの!」


 そして私は今、ベルに背負ってもらっている。

 理由は簡単、皆より私の足が遅すぎるからだ。迅速な移動のために私が邪魔になるわけには行かないが故の苦肉の策だ。

 こんな所でステータスのマイナス補正が効いてくるとは。


 騎乗する事も考えたが、残念ながら馬のほとんどが魔物の大群に怯えてしまい、連れてくる事は出来なかった。


 今は方円のように円を描くような陣形で、各パーティの回復役が中心に、前方はクロム、側方はシュルツやシャロ達、殿しんがりをアレックスが担当している。


「右から4足歩行の魔物が2匹、左からも3匹くるわ! 」


「後方にオークが2体出現。わしがやるのでアレックスは目の前の魔物に注力するのじゃ! 【ゲイル・ランス】x2」


 アーシアはケーニッヒが跨る軍馬に相乗りし、索敵能力を全力で使って皆に指示を送っていた。

 一方、箒で飛翔できるソフィアは、空から目視で状況を監視し、厄介な敵を遠距離から強力な魔法で屠っている。


「2連シュート」「はぁッ!」


 私達の集団に急接近する、ジャネロと呼ばれる小型のジャガーのような魔物を、ローラが矢で足止めし、その隙に側面からアーシアが斬り込む。

 二人は息のあったコンビネーションで次々と魔物を戦闘不能に追い込んでいた。


「ガルルルッ!!」

「きゃあああ!!」

「魔物の接近を、僕が許すと思うのかね?」


 急接近する魔物に驚き叫び声を上げる女性冒険者。その横を閃光のような速度でレイピアが横切り、魔物の眼球を貫き、その奥にあった魔石を粉砕した。


「閃光の如き連撃、受け給え。『ピアッシング・ラッシュ』」


 さらにシュルツがゆらりとレイピアを振るうと、切っ先がぶれ、迫るジャネロ達を穴だらけにする。


「「「「キャアアア!! シュルツ様素敵ぃ!」」」」

「ふっ」


 シュルツは仲間の声援に走りながら髪をかき分け、ウィンクをするという器用な事をやっている。

 そんな事してる暇があるなら一匹でも魔物を減らして欲しい。


「前方からトードが5匹……」

「――閃ッ。……前は気にしなくていい。俺が確実に道を切り拓く」


 私達の進行方向からも魔物が押し寄せてくるが、アーシアが言い切る前にクロムやその仲間達が一瞬で魔物を魔石に変じ、退路を絶たれるのを阻止する。



 しかし、いくら倒してもわらわらと魔物が現れる。

 姿も知らない召喚魔法の使い手よ、魔力切れとか起こしてくれてもいいんだよ?



「【バーン・アックス】……クソッ、めんどくせぇ! 幾らやってもキリがねぇぞ!? 」


 殿を務めるアレックスの負担が酷い。

 燃える斧槍ハルバードを振るい、並外れた強さで次々と魔物を切り刻み、消し炭にするが、数十体倒すとすぐにそれとほぼ同じ数が後ろから迫ってくる。


「ケーニッヒさん! 騎士団の陣地はまだなんですか!?」

「もうすぐそこだ! 皆、踏ん張れ……アッシュ? アッシュ、どうした、なぜ戻ってくる!?」


 叫ぶケーニッヒの視線の先を見ると、先行して騎士団の陣地に向かったはずのアッシュが、顔を青ざめながら逆走して来ていた。


 隊列を開いて招き入れると、アッシュは慌てたように口を開いた。


「ほ、報告します! ……味方部隊は1体の暴走種オーガにより全滅……こちらに向かってきます! 申し訳ありません!!」



「なんと……最悪だ……」



「最悪ついでに追加の情報なのじゃ。暴走種と思われるオークが左右に1体ずつ、わしらに近づいてきよる」


 後方は魔物の大群。前方は派兵された騎士団を壊滅させた暴走種オーガ、そして左右には暴走種オーク。私達は文字通り、四面楚歌となった。


「……おもしれぇ。チマチマ逃げながら戦うのにウンザリしてたところだ。おい、『フォー・リーフ』、俺と変われ。後方の雑魚共はお前達がなんとかしろ」


「「なっ!?」」

「ベル! シャロ達と協力して魔物を退けるよ!」

「わかった! つかまっててね、ルシア!」


 突然持ち場を離れるアレックスに仰天するシャロとローラ。慌てて穴を埋めるためにベルを走らせ、前に立つ私。

 いきなり交代なんて何を考えてるんだ、とアレックスを恨みたくなったが、彼がその後続けた言葉で納得した。


「クロム、シュルツ。左右のオークを死ぬ気でなんとかしろ。……前方のオーガは俺がやる」


 うぅ、遭遇戦に撤退戦、そして四面楚歌の戦いかぁ。

 まさに絶望と言っても過言じゃないよ!



 ……なんて泣き言を言うと思った?


 

「シャロ! ローラ! ベル! 師匠! 一匹も魔物を通さない。私達が全力で蹴散らすよ!!」

「「「「おう!」」」」


 残念。

 私だって、冒険者として何度も修羅場をくぐった数だけ、心が強くなってるんだから!!



「……良い気合だ。さぁて、踏ん張れよお前ら。It's show time (ショーの幕開けだ)!!」



お疲れ様でした。

いつも貴重なお時間を頂いて読んでもらい、とても感謝です。

楽しんでもらえるよう、そして何より、私自身が楽しんで書いていきますね。


※ 事前連絡:8/4は投稿をお休みさせていただきますね。

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