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エピソード030 私、冒険者ギルドで絡まれます

なかなか冒険者になれません。それと、新キャラ登場です。

※総合Pt が100超えました!これも皆様のおかげです!感謝感激です!


ボルカ村から歩いて丸2日。

私は目的の街、スタージュに到着した。


身分を示すものがないので、手荷物検査を受けたりと少し手間取ったが、無事に街の中に入れた。

手持ちの袋には石ばかり入ってて少し怪しまれたが、所詮ただの石ころだ。何の問題にもならなかった。

改めて街を見回すと、王都パンドラほどでは無いが結構大きな街だ。


ここまでの道中、モブリン(ゴブリンの下位種) と遭遇したけど、特に手こずることは無かったので特筆することは無いかな。

強いて言えば、私のベルトに吊るしている小袋にモブリンの魔石が5つ追加されたことだろうか。

私は袋を一つ一つ確認して石が随分減ってる事に気づいた。

そろそろ石集めもしないとね。


石といえば、2年前に火の勇者に放った鉄鉱石がパイル状に変化した事について、他の石も検証を行ってみた。

その結果、鉄鉱石や銅鉱石のように、石に鉱物が含まれている状態のものは形状が変化することが分かった。


ちなみに、鉄鉱石は先程挙げたように杭状に、銅鉱石は円盤状に変化した。どのような形状になるかの法則はまだ分かっていない。


その他、鉱物が含まれない、あるいは含有量が少なすぎる石に関しては形状が変化しなかった。

隕石メテオライトは一応鑑定では鉱石だと判定が出ていたが、形状は変化しない。その分、石それ自体に特殊な効果があるけど。


あと分かったことが、一度形状が変化してしまうと再利用が出来ないということ、そして精錬してしまうと魔法が発動しないことだ。

どうやら私の【ストーン・バレット改】で一度形状が変化してしまうと、その際に一種の精錬した状態になるらしい。


実際に形状変化したものを確認してみると、然程質は良くないらしいが鉄鉱石に含まれていた不純物が取り除かれ、鉄になっていた。

魔法を使った後に再利用が出来なくなってしまうのはそのせいだと思う。


再利用できるがぶつけると砕けてしまう可能性がある石を使うのか、形状が変化して強力な攻撃になるが再利用が出来ない鉱石を使うのか、悩みどころだ。

尤も、鉱石は鉱山にでも行かないと中々手に入らないので選択肢としては低いけど。


そう言えば、試していなかったけど、魔石も一応石なのでもしかしたら何らかの特殊な効果が発動するかもしれない。鉱石じゃないから形状は変化しないと思うけど、今度試してみよう。


気づけば私は道端で突っ立っていたようで、すれ違う人から訝しげな目線を向けられていた。


……早く冒険者ギルドに向かおう。


私は野営の道具が入ったリュックを揺らし、目的地へと急いだ。


-----◆-----◇-----◆-----


冒険者ギルドって不良の溜まり場かな?


街の人々に聞いて到着した建物は、外見は綺麗なものの、そこにいる人達は如何にも荒くれです、と言わんばかりの風貌ばかりだ。


入り口でウ○コ座りしている人達を見て、前世のコンビニ前を思い出した。

田舎のコンビニって何故か溜まり場になるんだよね。


アニメでは冒険者ギルドにも可愛らしい女の子とかも登場してた気がするけど、あれは空想の産物だったのかなぁ。

折角村から出るのだから、同年代の友達出来るかな、と少しばかり期待していたのは儚い幻想だったようだ。


とりあえず、受付で冒険者になるための手続きをしてもらおう。

……怖い視線を向けて来るおじさん達にも辟易するし。


私は、建物内をキョロキョロと見回して受付らしき場所を見つけ、先客がいたのでその後ろに並んでみた。

順番抜かしは元日本人としてありえないよね。


何か揉めているようで男性3名が私の目の前でギャーギャー喚いている。

3人共えらく世紀末な服装をしている。そういうファッションが流行ってるんだろうか。


とりあえず、別に今日はこの後宿を取って休むだけのつもりなので急がない。

存分に言い合ってください。


「おい、何見てるんだよ。見世物じゃねぇぞ、あぁん?」


ボォーっと順番が来るのを待っていると、何故か言い合していた男性のうちの一人が私に目をつけ、因縁をつけてきた。


「別に見てません。順番を待っているだけです」

「はぁ? 何言ってやがるんだこの小娘」


あれ? 受付で用事していたのではなかったのか。

それは私の勘違いだった。


「すみません。何か手続きをされているのかと思ってました。では、私は受付に用がありますのでお先失礼しますね」


ニコリと愛想笑いを浮かべ、前世の習慣でペコリと頭を下げると、私は受付に近寄った。

いや、近寄ろうとしたがその進路を3人が立ちふさがり妨害した。


「どうかしました? やっぱり先に用事がありました?」

「俺達が用事があるのは小娘、お前だ」

「……?私は別にあなた方に用事ないですけど」


あれ? これもしかして私絡まれてる?

初めての場所で粗相したら不味いなぁ、と思って行儀よくしてたのに!


「見学料払いな。金貨1枚だ」

「見てませんし。そんなにお金持ってるわけないじゃないですか」


取り急ぎミケから教えて貰ったが、この国の貨幣の種類は6つらしい。

銅貨・小銀貨・銀貨・小金貨・金貨・大金貨だ。

お金の計算は割と簡単で、基本的には10枚で1つ上の硬貨に繰り上がる。


一応手作りの薬を薬師に売ったお金を貯めていたので、1週間位は生活できる程度のお金は持っている。

しかし、金貨は平民が数年は過ごせるほどの金額であるらしく、間違っても私が持っているような金額ではない。


私の装備、ゲーム風に言うと村人の服と小石だよ?

お金にそんな余裕があるなら盾の1つくらい買ってるよ。


私の返答を聞いた男達は下衆な笑顔を浮かべた。


「ヒャッハー! なら身体で支払ってもらうしか無いなぁ」

「身体で……? 殴り合いで、ってことですか?」

「んなわけねぇだろ!? 可愛い顔して脳筋かよ!」


ですよね。知ってるよ。

こういうの、テンプレって言うんだよね。


それにしても……地味に私が気にしていることを。

以前ソフィアにも似たような事言われて、実はちょっと凹んだんだよ?


「えーと……」

「そこまでよ、ヒャッハー3人組」


私がどうやってあしらうか困っていると、後ろから女の子の声が聞こえた。

ヒャッハー3人組とは如何にも呼び名だ。この世界にもそういう概念が在るのだろうか。


それにしても……やっぱり女の子いるんだ!

私は期待に目を輝かせて振り向くと、そこにはこれまた随分テンプレな女の子がいた。


赤銅色の髪に左右に分けたツインテール。

身長は私とほとんど同じ。胸は……少し負けている。

吊り目と燃えるような赤の瞳がより一層気の強そうな印象を植え付ける。


ツインテ少女は魔法使い然としたローブを羽織っているが、杖の類は持っておらず、その内側には金属性の胸当てをしており、腰元には二振りのショートソードが吊られている。

近接戦闘を想定しているのだろうか。それともアレかな、魔法剣士的な?


彼女の少し後ろにはもう一人女の子が立っていた。

特に喋らず、じっとこちらを観察しているようだった。

紺色のショートヘヤーに少し眠たそうな印象を受ける目元。

身長は変わらないが、胸は……かなり負けてる。くぅっ。


ボーイスカウトのような服装をしており、ハードレザーの胸当てに背中には弓が吊られている。

あの胸、絶対弓引くのに邪魔だよ。間違いない。


そんな女の子達2人が私達の間に割り込んでいた。


「なんだよシャロット。いいとこなんだ邪魔すんなよ、あぁん?」

「何がいいとこよ。この子が何かしたって言うの?」

「俺たちのことを見て誘ってやがったんだ。それに答えたまでさ」


シャロットと呼ばれたツインテ少女が私に振り向いて本当なの?と首を傾げた。

その顔は随分物好きね、という心の声が透けて見えるようだ。


「受付の順番を待っていただけです。世紀末ヒャッハーは私のタイプじゃないです」


プッと後ろにいた女の子が噴き出して、そのまま顔をそむけた。

小刻みに震えているところから見ると、ツボにでも入ったのだろうか。


「だそうよ。どうせなら邪魔だからさっさとのきなさい。私達もクエストの報告に来たんだから」

「な、なんだと……!?」

「やるの? 別に構わないけど、ギルドが血で汚れることになるわよ?」


ツインテ少女は流れる動作で鞘からショートソードを抜き去り、その鋒を男の喉元に当てた。

ヒャッハー3人衆は全く反応出来ていなかった。


私は咄嗟に腰元から小石を取り出そうとして、剣が私に向いてないことに気づき慌てて止めた。

危なかった。誤射するところだった。


少女は私の様子をチラリと見て、視線を男に戻した。

口元は勝ち誇ったようににやけている。


「……チッ! 覚えてろ」


何とも小悪党が吐きそうな捨て台詞を残し、3人は建物から出ていった。

お似合いだね。あれだけ言動が一致しているのは評価してもいいと思う。

それはともかく、ちゃんとお礼は言っておかないと。


「あの。助けてくれてありがとうございました」

「別に礼はいいわ。大して困ってなかったでしょ?」


この子、実力者だなぁ。

確かに彼らの対応には困ったけど、それは命の危険とかそういうのじゃない。

荒事になったとしても、彼らに私のDEFを抜けるとはちょっと思えなかったから。


牽制動作といい、観察眼といい、割とランクの高い冒険者じゃないだろうか。


「えーと」

「だから別にいいって。それよりもギルドの受付に用があったんじゃないの? 依頼?」


そうだった。早く冒険者登録しないと。


「いえ。冒険者になるための登録手続きをしにきました」

「……へぇ?」


ジロジロと上から下へと私の装備を見るツインテ少女。

まぁ、私、どう見ても装備は村人その1だもんね。その視線は仕方ない。


「……まぁいいわ。でも、冒険者の登録ならここじゃなくて向こうだけど」

「へっ?」


少女が指差す方に視線を向けると、別のギルド職員のお姉さんが少し申し訳無さそうに手を振っている。

……なんてこったい。絡まれ損じゃないか。


私は少女に感謝の意を述べて、そそくさと冒険者登録用の場所に向かうのであった。


お疲れ様でした。

いつも貴重なお時間を頂いて読んでもらい、とても感謝です。

楽しんでもらえるよう、そして何より、私自身が楽しんで書いていきますね。


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