エピソード023 私、模擬試合の作戦を立てます
ルシアの現戦闘能力の確認です。ちなみに勇者グレンとの模擬試合は負けルートと勝ちルートを用意してます。どちらになるかは次話を書いてる時の私の気分次第です。
火の勇者グレンと模擬試合をする事になった。
会場の準備があるから、と一旦控室に戻された私は入った途端頭を抱えた。
ど う し て こ う な っ た
「王は同情的だったからもう少しやり方があった気がするのじゃ」
「すみません……つい、売り言葉に買い言葉で。というか気持ち悪くで我慢できませんでした」
「気持ちはわかるがの……」
とりあえず、こうなっては仕方がない。
何とか、嫁云々のバカ話は消す事ができたので、出来る限りやってダメそうなら降参しよう。
私は、普段から武器として使用している石入り小袋を吊ったベルトを装着した。
ふと吊るしてある小袋のうちの1つに触れて名案が浮かんだ。
「師匠。アレは使っちゃダメですか?」
「アレってまさか先日考えた複合魔法のやつかの? ダメに決まっとろうが! まだ試し打ちもしておらんから威力も規模も分からんのじゃぞ」
「ですよね。聞いてみただけです」
私はメテオライトが入った小袋を取り外した。
地味に重いから使用しないのであればただの重りにしかならない。
「ルシア! 隊長から聞いたぞ。なんでこんな事になってるんだ! 俺とやったのとは比べ物にならんぞ」
「成り行きだもの。仕方ないよアッシュ。それより模擬試合の方法は決まった?」
「ルールは一騎打ち。武具や魔法の使用は解禁されるらしい。致死性の攻撃は禁止だが、それ以外は何でもありだ」
それ模擬試合ってレベルじゃないよね。
ほとんど実戦想定の試合じゃないか。もし怪我とかしたらどうするつもりなんだろう。
「勇者が指定したのかの?」
「……そうです」
アイツ、一般小市民相手に本気になりすぎだろう。
私なんて吹けば消し飛ぶ存在だよ?
リアルに魔法を打たれればありえそうなのが怖い。
「もし怪我をしたら……?」
「王都の教会から神聖魔法の使い手を呼んでる。死なない限りは何とかなる」
それ、死なない程度の怪我をする可能性があるってことだよね。
全然安心できない情報ありがとうございます。
「ねぇ、アッシュ。火の勇者の戦い方とか弱点とかって知ってたりしない?」
せめて少しくらいは善戦したい。
相手の情報収集は基本中の基本だ。というか、私は玉座の間で魔法や武具のことある程度喋っちゃってるし。
「弱点はわからないけど、戦い方に関しては多少は。勇者様の武具は見たことないが剣で炎を操るらしい。少しの間騎士団と訓練していたのを見たことあるが、そのときも大剣を使っていたよ」
なるほど、大剣か。
これが異世界物の本ならば、勇者召喚された主人公は特殊な武術や剣術を学んでたりすることが多いけど、あの勇者はどうなんだろう。
そもそも、なんで大剣なんだろう。
日本で仮に剣術を習っていたとしても刀がベースである可能性が高いのに、西洋剣のしかも力で叩き潰す系の武器では違いがありすぎてあまり参考にならない気がする。
「ということは剣技は学んでいない……? むしろステータスゴリ押しパターンかな?」
「ああ、剣の扱いに長けているわけではなさそうだぞ。パワーはあるから厄介だが」
る○剣の某斬馬刀使い(初期のみ)の人みたいな感じか。知らないけど。
なら武器だけの戦いなら何とかなるかもしれない。
武具の全容がわからないのが厄介だけど。
「アッシュ。私でも扱えそうな軽めの盾無いかな? 右腕に付けたいんだけど」
「軽装備用の小盾があるが、使えるのか?」
「たぶんね。練習したいから持ってきて」
オーク戦の時には自分の手を使って攻撃をそらしたりしたんだ。
何とかなると思いたい。
「さて、問題は魔法なんだよね……」
私はDEFの高さから物理的な攻撃に関しては結構対応できる。
でも、逆にアーシアのおかげで魔法防御(MND)は実質1。
魔法を直に食らったらほぼ一撃で落ちる可能性すらある。
【聖環結界】には魔法防御の機能もあるけど、一度壊れてしまったらクールタイムがあってしばらくは再使用できない。
その時点で私は詰みだ。そこで降参するって手もあるけど……。
「おそらく火の勇者と呼ばれるほどなのじゃ。強力な火属性魔法が使えると考えて間違いないのじゃ」
「師匠。対策とかって……」
「事前に道具を買いに行けるならともかく、今から準備するのは無理なのじゃ」
ですよね。
実は、私の武具に消火の特殊効果を持つのがあるんだけど、使えるのは最大3回。
火属性魔法を連打されたら対応できない。
「せめて警戒しておくべき火属性魔法の系はありますか?」
「そうじゃのう……。広範囲に延焼を引き起こす『ブレイズ系』と強力な単体攻撃の『カノン系』かの。元々火属性は攻撃に特化した魔法が多いので基本の『ボール系』でも危険なのじゃが」
打つ手なしってわけですね。
これは本格的にどこで降参の宣言をするのかしっかり見定めなきゃいけないかも。
……待てよ。そうか、あの手があったか。
私は自分のステータス画面から武具と魔法、その効果を見返して、1つの可能性を思いついた。
今使って回数を減らすわけには行かないから、これも正直ぶっつけ本番だ。
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ルシア [一流の農民]
lv: 9
HP: 140/140 MP:300/300 AP: 3/3
STR: 085(-60) DEF: 010(+249)
MAT: 012(-11) MND: 024(-23)
SPD: 018(-17) LUK: 009(-8)
[スキル]
・土いじりlv.3
・投擲 lv.3
・加護 (聖環・地)lv.3
・加護 (アーシア)lv.6
[魔法]
・【ストーン・バレット改】lv.1
-掌で持てるくらいの大きさの石に作用し、打ち出す速度を大きく加速させる
・【アース・プロテクト】lv.4
-対象の表面全体を物理強耐性膜で覆う。地面と接しない場合能力半減。装備品にも効果あり
・【ジオ・グラビティ・バインド】lv.1
-強力な重力場の檻を対象の空間に発生させ、動きを拘束する。拘束時間が長いほど、更に魔力を消費する
[聖環・地]
・鑑定(自然)
-植物および地形に関する詳細を鑑定できる
・聖環結界
-物理および魔法耐性のある障壁を出現させ、一定量防御できる
[武具:農耕祭具殿]
・鍬:特殊スキル【開墾】
-指定範囲を一気に耕す
・鎌:特殊スキル【刈取】
-指定範囲を一気に刈り取る。対人不可
・馬穴:特殊スキル【鎮火】
-一定期間指定対象が燃えないようにする
・円匙:特殊スキル【掘削】
-指定範囲を一気に掘り返す。鉄以上の硬度の場所では使用不可
・軍手:特殊スキル【???】
・鋤:特殊スキル【地均】
-指定範囲を一気に均す。細かく指定可能
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「ルシア、小盾を持ってきたぜ」
アッシュは息を切らして盾を持ってきた。
その様子はフリスビーを必死に取って戻ってきた犬に似ていて少し可愛い。
「ありがと、アッシュ」
私はお礼にアッシュの頭を撫でてやる。
うむ、うい奴よの。
その後すぐにメイドが私を呼びに来た。
どうやら準備ができたようだ。
「無理するでないぞ。負けて問題ないのじゃからの」
「怪我しないように気をつけろ!」
「はい! 行ってきます」
実は長くなりすぎたので戦闘シーンと泣く泣く分割したのでした。
ルシアが次話でどうやって戦うのか想像してみてください。当たるかな?
お疲れ様でした。
楽しんでもらえたらなら幸いです。




