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第759話 決着(ゲンタ視点)


 あれ…?


 この章…、もしかしてキリ…ヒロイン枠?


 書いてるうちに当初の予定からキリの出番が増えまくってしまいました。ツンデレ…、強し。


『ま、まだっ!!まだ敵は諦めてないっ、また矢を弓につがえて…う、撃った!う、上に向けていくつも!!あ、雨みたいに降らせてくるつもりよっ!!』


「え、ええっ!?」


『ッ!!!?』


 僕の手のひらの中で叫ぶキリの声。僕は驚き慌てグラは目により一層の涙を浮かべた。


『ど、どうしよう!?こ、このままじゃ、このままじゃ…』


 キリの起こす風では鉛を塗った鉄の矢は防げない、どこに逃げたら良いかも分からない。万事休す、僕がそう思った時、あたりに異変が起きた。


 なんと僕たちの周りがいきなり薄暗くなった。それは真昼間の屋外を歩いていて日陰に入ったような感覚、あるいは分厚い雲が丁度真上に流れてきたような感覚…。僕は思わず上を仰ぎ見た、矢が飛んでくるという空を…。


『〜〜〜ッ!!!!』


 まず目に飛び込んできたのはグラの姿だった。小さな体を…、両手をめいいっぱい空へと伸ばしている。その先にはなんと土の塊…、浮遊する島のように僕たちの頭上を覆っている。まるで土で出来たドーム球場の屋根のようだ。


『ま、まだ大きくなる、大きくなり続けてる…。敵が撃った矢は全部あの土の塊に全部防いだみたい…』


 キリが言うように頭上の土の塊はまだ大きくなり続けていた、どうやら周りの地面から土やら石やらを天に向かって吸い上げているかのようだ。まるでファンタジー作品に登場する空に浮かぶ島…、そんなものを想像させる。そしてその土の塊がコンビニとその駐車場くらいの広さになった頃、泣きべそをかいていたグラの口元が動いた。


『よくも…、みんなを…いじめたな…』


 僕にはキリとカグヤ以外の精霊の声は聞こえない、ソル様たちのような大精霊なら普通に声を発する事が出来るから会話も成り立つという例外はあるけれどなんとなくグラの口元を見てそう感じたんだ。引っ込み思案で泣き虫で…そんなグラが今、目にいっぱいの涙を浮かべながらも下唇を噛んで怒りの感情を露わにしている。


 そんなグラが両腕を振り下ろした、すると頭上に浮いていた島のような土の塊が癇癪かんしゃくを起こした子供が手近にあった物を投げ捨てたかのように飛んでいった。


 ズズ…ンッ………!!!


 グラが投げ放った土の塊が二百メートルくらい先に落下する、その衝撃に大地が大きく震えた。


 しーん…、周囲から音が消えた。そしてキリが口を開いた。


『…もう大丈夫よ。あたりからは何も動く音はしないわ。敵も…、やっつけたみたい。まあ、アレじゃ逃げたくても逃げられないでしょうけど』


 そりゃあそうか…。あんな巨大な土の塊、少しばかり狙いから外れたって問題ないだろうし。


『ちょ、ちょっとアンタ!グラが気を失っちゃったわ!!受け止めなさいよ!』


「えっ!?」


 手の中のキリの声に驚き見上げてみれば氷精霊アイシクルのクリスタがグラを支えながらゆっくりと落下してくる。僕は二人を受け止める、両手のひらに精霊が三人揃う事になった。キリとクリスタがグラを仰向けに寝かせる。


「グラは大丈夫なの?」


『…気を失ってるだけね。力を使い果たしてしまったみたい、今は休ませてあげないと…』


「う、うん」


 キリたちにリュックからタオルを取り出してもらいテーブル代わりにしていた石の上に置いてもらった。グラをそこに寝かせてタオルをさらに折り畳んで布団のようにした。


『この子はね…』


 キリがゆっくりと話し始めた。


『気が弱いし怒ることなんてほとんどないの。少なくともちょっとやそっと嫌な事があっても我慢しちゃう…。だけどね、友達や仲間が危ない目に遭わされたりしたらものすごく怒るの。自分の為に怒ったりはしないけど他の子が困ってたらいつでも助けに来てくれる…、そんな優しい子なのよ』


「うん…」


『だ、だからねっ!!』


 寝ているグラの隣に座ってずっと彼女の顔を見守りながら話していたキリが飛び上がって僕の目の前に迫る。


『グ、グラをねっ!こ、怖がらないで欲しいの!グラはものすごく強い力を持つけど滅多な事じゃ使わないわっ!それも誰かを助ける時とかだけなんだから!アタシの大事な友達なの!だから、だから…』


 キリがものすごく真剣な顔で僕に詰め寄る、その横にクリスタが寄り添い同じように僕を見つめている。


『お、追い出したりしないで…』


 消え入りそうな声でキリが呟いた、うっすらと涙すら浮かべている。


「しないよ、そんな事」


『あ…』


 僕はキリの頭を撫でながら答えた。


「グラは僕を助けてくれたんだよ、もちろんキリもクリスタもね。追い出したりしないよ、それに僕たちは同じ家に暮らしているじゃない。あそこがみんなの居場所だよ」


『ッ!!』


 僕の話を聞いてキリは泣きじゃくりながら飛び込んできた。僕のシャツを掴んで幼い子供みたいにワンワン泣いている。そんなキリの頭をクリスタはずっとずっと撫で続けていた。


 


 ちなみにかつてカグヤは精霊は泣かないと言った事があります。しかしキリは今回号泣しています。


 うーん…この出来事、どう作中に活かしていくべきか…。考える事がいっぱいある…、書いてる者としては贅沢な悩みです。


 次回をお楽しみに。

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