表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

251/767

第250話 【閑話】ツーショット。


「こ、こうですか?ゲンタさん」


 シルフィさんが僕の横に並ぶ。


「は、はい。そのまま動かないで…」


「これは…鏡?私たちが映って…」


 カシャッ!


 スマホでツーショット画像を自撮りする僕。これはブラァタを討伐した日の事。洞穴(ほらあな)に出入りするブラァタを見つけたニモジェーロさんが駆け込んでくる少し前の話である。



 異世界産の(ワイルドボア)(なめ)(がわ)を三尾さんに売った時の事。彼はそれまでに参加した自作甲冑を着てのイベントについて嬉々(きき)として話していた。


「最初はさぁ、俺みたいな歴史オタとか戦国武将好きのおっさんたちが集まるようなイベントだったんだよ。でも、最近は変わってきてさ。やっぱあの『甲冑乱舞』の影響がデケェんだよな。あとは元々いた歴女(れきじょ)って子たちな。早い子は中学生くらいからイベントに来るんだよ」


 そう言って彼は、スマホで撮った何かの仮装行列の集合写真の画像を見せてくれた。なるほど、八割以上は男性だ。四十代か五十代か、そのぐらいの年格好の人もいる。反対に女性陣は若そうな人が多い、高校生か大学生くらいの年代だ。とにかく姫武将とでも言う感じだろうか、実用的ではなさそうなかわいい感じの鎧が多い。いわゆる『甲冑女子』と言われる人たちだろうか?


 たまにコンビニなどでやっている『甲冑乱舞』とのコラボイベントのスイーツフェアがやってるのを見かけるが、それと同じような感じがする。実在の武将が使った甲冑がベースになっているが、その特徴的な部分を強調したり武将自身の有名なエピソードなどから派手好きなら派手なデザインへとアレンジが加わっている。


 こうして見ると参加人数はなかなか多いイベントだが、千差万別である一人一人の始めたきっかけがよく分かる。


「なあ、良いだろう。この子なんて高一だぜ、高一。いやー、こんなおっさんくさい趣味によくぞ若い子来てくれたって感じだぜ!それにしても『甲冑乱舞』、今度は海外の騎士とかの鎧とかやらねーかな。そうすりゃビキニアーマーとか…」


 三尾さんの話が止まらない。


「まあ、とにかく!!ウィッグとかじゃないリアル金髪の子のコスプレとか見たいよなあ。コロナとかじゃなければ、イベントとかあるだろうに…」


……………。


………。


…。


 そんな話を聞いていたからだろうか、僕はシルフィさんとのツーショット画像を撮った。こう言っちゃなんだが…、やはりシルフィさんは美人だ。メガネをかけたエルフのクールビューティ、芸能界を探したってこれほどの人はいないだろう。そんなシルフィさんとツーショット画像が撮れたんだから僕はかなりの幸せ者ではないだろうか。


「これは…先程の鏡に映った私たちの姿?」


「はい。あの時に映った僕たちの姿を…絵画のように残したものと言うか…」


「まあ、そんな事が…」


 画像ライブラリに記録された自撮り写真にシルフィさんが興味を示している。これはアレだな、家に帰ったらプリントアウトをすべきかな。僕はそんな事を考えていた。



 自宅に帰り、買い物を済ませてパソコンに電源を入れた。プリンターにいつものA4プリンター用紙ではなく、写真プリント用の物を差し込む。


 スマホから取り込んだ画像を写真プリントに適した構図に修正した。それとあまり写真のような画像は何かとカルチャーギャップがあるかも知れない。画像のタッチを絵画風にアレンジしてみた。うーん、こんなところだろうか。印刷を開始するとプリンターの稼働音がし始めた。


「ゲンタ」


「何?カグヤ」


「これ、シルフィだよね?」


「そうだよ、シルフィさんだよ」


「ねえ…、ゲンタ」


 カグヤの声が少し低くなる。


「私のが…。無いよね?」


 カグヤは僕のすぐ隣で腕を絡ませながらそう言った。



 カグヤが納得いく出来のものが出来るまで何回か自撮りを繰り返し出来上がった写真プリント。


「ふふ…、よく見える所に飾っておこう」


 満足気に彼女は微笑む。出来上がった写真には、その年頃の女の子には不釣り合いな妖艶な笑みを浮かべながら僕の腕を抱くカグヤの姿があった。


 これを他人に見られたら何を言われるか分かったもんじゃないぞ。最悪の場合、何か不名誉な性的嗜好があるように言われてしまいそうだ。絶対に人を家に呼べない、いや呼んだとしたらこの写真もそうだが、カグヤと一緒に部屋にいるところを目撃される訳で…。うーん、やっぱり誰も呼べない。


「誰も呼ばなければ良いんだよ」


 僕の考えを見越したようにカグヤが声をかけてくる。


「この部屋には私とゲンタだけいれば良いんだからさ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ヤンデレ? 闇の精霊だし
[良い点] おほぅ、まさにヤンデレの子が言う台詞w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ