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第220話 手縫いで布マスクを作ろう。

 ダンジョン飯11巻を買いました。

 やはり面白い。マルシル最高。


「こんな風に作るんだ」


 カグヤがプリントした紙を見ながらそんな感想をもらす。


 僕はネットで見つけた布マスクを作ったという人たちの記事から製作手順が示されている部分をいくつか見比べその中から分かりやすいものを選んでプリントアウトした。


 閉店前の百円ショップで手拭(てぬぐ)いやゴム、針や糸などを買ったので材料の用意は出来た。しかし作り方を知らなかったのでネットで調べてみたら色々と見つかった。凄いなあ、世の中こんなにも裁縫上手な人がいるんだなあ。


「カグヤ、明日はミーンで縫い物するからね」


「ゲンタが作るの?」


「うん。でも、縫い物をちゃんとするのは初めてだから難しいかも知れないけどね…っと、電話だ。カグヤ、ごめん。ちょっと話してくるね」


 電話の相手は地元の友人だった。介護士になる為に専門学校に通っているのだがマスクが手に入らないらしい。近々、実習として介護施設で働いてくるらしいのだがその介護施設でも中々手に入らないらしく困った友人は都会にならあるかも知れないと連絡をしたのだと言う。しかし、マスクが無いのはこちらも同じ。


「どこも品薄なんだねえ…」

 

 僕はもし見つかったら確保しとくよと伝え電話を切った。


「終わった?」


「うん」


「寝よう?」


 そう返事をするとカグヤが再び僕の腕にしがみついて離れようとしない。


 普段はカグヤに僕の布団を使ってもらい、僕は隣で毛布に(くる)まるようにして手をつないで寝るようにしている。


「今日はこれで良いよ」


 いつもはそんな感じでどこか余裕を持って僕に語りかけてくるカグヤだけどなんか今夜は変だ。今日のカグヤはなんだか不安のような…、何か切羽詰まったような様子だ。


 何かあったのだろうか…、しかし正直なところ今夜のカグヤをいつもより可愛いと感じたのも事実だ。カグヤの気持ちが済むようにしよう…、そうして僕は片腕を彼女が眠る布団に入れる。カグヤは眠りについても離そうとはしない。


 うーん。それにしても…なんかこうやって二人で寝泊まりするのに慣れてきてしまった感じがする。良いのかなあ…、特に今日は少し絵的にどうなんだろう。そんな事を考えていたのだけれど、早起きする必要がある僕は横になるとすぐに眠りの中に落ちていった。



「ゲンタと言えども苦手な事はあるもんなんだねえ…」


 一緒にマスクを手縫いしていたマオンさんが手を動かしながら言う。一緒にプリントアウトした紙に書かれた手順通通りにマスクを手縫いしているが僕はなかなか先に進まない。反対にマオンさんの作業は順調だ。


 一方で僕の手縫いマスクは午前中を使ってやっと一つ縫い上げる事が出来るかどうか…そんなやっくりとした進み具合だ。


「やっぱり慣れない事しても駄目ですねぇ…」


 参りましたとばかりに僕は降参の意思を示す。


「初めて縫い物をしたんならそんなモンさ。でも、(わし)みたいな町衆の女は炊事洗濯は当然として縫い物だってこ〜んな小さな頃からやっていたよ。でも、こんなに細い針と糸ではなかったけどねえ」


 僕の持って来た針と糸を見てマオンさんがしみじみと言っ。


 異世界に来て初めて知ったのだが、縫い針や糸というものは日本で売っている物より圧倒的に太い。針は爪楊枝(つまようじ)より少し細いくらいで、糸は極太でタコ糸よりは細いかなと言った感じだ。


「んで、これが耳に引っかける(ひも)かい。なんだか変わってるねえ。あひゃっ!な、なんだいコレは?伸びたり縮んだりするよ!不思議だねえ」


 ゴム素材の紐を見てマオンさんが驚き、精霊のホムラとサクヤは新しいおもちゃを見つけたとばかりにゴム紐を引っ張ったりして遊んでいる。綱引きの要領で遊び始めた二人の精霊。


「あっ、そんなに引っ張ったら…」


 ぱちんッ!


 最大限引っ張って伸び切ったところでホムラが手を滑らせた。ゴム紐がホムラの手を離れその先端が反対側を持っていたサクヤを襲う。


「サクヤ、危ないッ!!」


 そう叫んだ僕だったがサクヤは映画『◯トリックス』のように上体を仰向けに反らせ襲い来るゴム紐の先端を避けた。さすがに光の精霊、その動きは速い。


 何事もなかったかのようなサクヤ、ホムラはそれを見て目をキラキラさせて新しい悪戯(いたずら)を発見したとばかりにもう一回やろうとサクヤを誘っている。今度はサクヤが手を離し、ホムラが見事にそれをかわす。すると二人はさらに盛り上がり今度はいかにギリギリでかわすかとか、よりダイナミックな避け方を追求したりと夢中になっていた。


 というより精霊って凄いな、身体能力もとんでもなく高い。


「サクヤたちはこの伸び縮みする紐が気に入ったようだねえ」


 元気に遊ぶ孫たちを見るような優しい目つきでマオンさんが精霊たちを見守る。しかしそんな中でも手を動かす事は忘れない。


「ほら出来たよ。出来を見ておくれ!」


 そう言ってマオンさんは僕に出来たてのマスクを手渡す。手に取って見てみればミシンとまではいかないが細かく丁寧な運針がされている。見れば見る程マオンさんのマスクは縫い目が綺麗だ。


「凄く綺麗な出来ですよ、マオンさん!」


「そうかいそうかい!(わし)も伊達に歳食っちゃいないよ!」


「ええ、どこに出しても恥ずかしくない出来ですよ」


 僕たちは二人笑い合った。



 その日の夜、僕はマオンさんが作った布マスクをスマホで撮影しその画像を友人に送信した。すると返信がありどうしても不織布の使い捨てマスクが手に入らず困り果てていると言う。なんとか分けてもらえないかと言う。


「介護の研修に行くのにノーマスクって訳にいかないもんねえ。感染(うつ)るのも感染(うつ)すのも避けないと…。分かった、送っておくよ」



「ありがと。だけどやっぱり問題だよねえ、買い占めとかさ…。病院とか介護施設みたいなところに入って来ないんだから…」


 そうだよなあ…。必要な人にマスクが行き渡れば…。なんか良い方法は無いだろうか。色々な人の役に立つような…。



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― 新着の感想 ―
[一言] 多少の手間ではありますが、生地を買ってきて異世界の方で縫ってくれる人を募集とかしたら良いのでは?日本にはマスクを送れるし、異世界の方には雇用が生まれますし
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