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【漫画3巻発売中】蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ ~夢を叶えた見習い錬金術師の第一歩~【Web版】  作者: あろえ
第二部

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第72話:魔装具作成2

 魔装具の手掛かりを探るべく、本能のおもむくままに錬金術をしていると、その奥深さに心が惹かれていった。


 魔鉱石を加工して矢を作成し、聖なる魔石で付与を施す。


 たったそれだけの作業なのに、矢の形状を変えるだけで魔力の流れ方が変わり、まったく別のものが作れてしまう。


 今までポーションや聖水といった形の持たないものを作り続けることが多かった私には、新しい発見だった。


「これは聖なる矢と違いますよね?」

「聖光の矢になりますね。浄化能力が上昇する代わりに、矢の扱いが難しくなり、命中率が下がります」


 こうして付与を続けていると、鉱物の形を整える形成とは違う難しさがあり、形のあるものを生み出す難しさを痛感するのだが……。


 うーん、なんか思い描いている錬金反応と違う。


 EXポーションを作った経験上、形成と付与を同時に領域展開していたら、もっとグレードの高い矢ができるはず。


 それなのに、現状は普通に制作しているのと変わらなかった。


「魔装具作りを甘く見ていたかもしれません。形成と付与を同時に展開して作れば、もっと良いものができると思っていました」

「品質は良い状態で安定していますから、二重展開している意味はありますね。聖光の矢はDランクアイテムに分類されますので、ミーアさんの錬金術は飛躍的に成長してますよ!」

「……ありがとうございます!」


 うぐっ。宮廷錬金術師の助手は、褒めて伸ばしてくれるのが一般的なんだろうか。とても心地よく仕事ができるので、今度から私もクレイン様を褒めちぎっていこうかな。


 あっ、ダメだ。クレイン様は照れ屋さんだった。逆効果になるかもしれないから、やっぱりやめておこう。


 リオンくんの言葉を信じて錬金術を続けるものの、聖なる矢と聖光の矢がどんどんと量産されていく。


 まだスキルをうまく扱い慣れていないのか、別の問題があるのかわからない。でも、このまま作業を続けていも、魔装具が作れるとは思えなかった。


「ふあ~……。魔力操作が乱れてきましたし、さすがに休憩したいですね」

「さすがにミーアさんでも、これほど作成すれば疲れるんですね」

「作りたい気持ちはありますけど、精神的な問題が大きいです。目的と違うものができるというのは、ストレスがかかりますよ。せめて、作るべき魔装具の見本品があればいいんですけど」

「魔装具の研究で一番悩ましいのは、そこですよね。進むべき道がわからなくて、常に迷子状態ですから」


 たった数時間で根を上げる私とは違い、力の腕輪を作るリオンくんが言うと、言葉の重みが違う。錬金術のことを知れば知るほど、尊敬する気持ちが強くなっていた。


 そして、ヴァネッサさんが作った破邪のネックレスを見れば、どれほどすごいものだったのか、今なら痛いほどにわかってしまう。


 決して見習い錬金術師の私に託すものではない、そう思うには十分だった。


「本当に私にできるのかなー。こんなにも魔力が綺麗に絡み合っていて、均一に張り巡らされているのに、魔装具じゃないんて。これ以上のものを求められても……」


 思わず、破邪のネックレスをうっとりと眺めていると、リオンくんが驚愕の表情を向けてくる。


「もしかして、ミーアさんは魔力路がわかるんですか?」

「……。魔力路って、なんですか?」


 どうやら見習い錬金術師らしいところが出てしまったらしい。何かに期待していたリオンくんが、わかりやすく肩を落としていた。


「魔力路というのは、魔力の流れる通路みたいなものです。普通は素材に魔力が浸透するので、表面に流れるものはともかく、内部に流れるものまでわからないんですよ」


 ん? どういう意味だろう……と思っていると、リンゴを持ったクレイン様が近づいてくる。


「ようやく気づき始めたみたいだが、肝心の本人はチンプンカンプンみたいだな」

「私にとっては初めて聞いた言葉ですし、説明されてもピンとこないですね」

「当たり前のことだと思っていたのなら、無理はないか。まあ、いい機会だ。ミーア、このリンゴの中身がどうなっているか、魔力を探って当ててみてくれ」

「えっ? そんな無茶なことを言われても困りますよ」

「簡単な遊びみたいなものだ。気にするな。リンゴに流れる魔力に集中すればいい」


 クレイン様からリンゴを受け取った私は、ポーションの査定をするようにして、ジッと見つめた。


 今まで普通に過ごしてきて、リンゴの魔力を読み取ろうと思ったことはないけど……、意外にわかるかもしれない。


 魔力の属性は水で、蜜が溜まる中心部に集束している。魔力濃度も濃く、鮮度の良さを表すかのように魔力が活発に循環していた。


「かなり甘そうですね。蜜がたっぷりと入っているかもしれません」

「本当ですか? 甘いリンゴにしては、あまり赤くありませんけど」


 覗き込んでくるリオンくんに否定されてしまうが、あくまで互いの予想にすぎない。ただ、私は何となく確信していた。


 自分の感覚は間違っていない、と。

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